不登校・勉強嫌いの子の学習支援サービス比較|家庭教師・オンライン塾・教材・フリースクールの選び方【児童精神科看護師が解説】

窓辺のテーブルに並んだノートと鉛筆・タブレット・重ねた本・マグカップ。学習支援の選択肢を比べるイメージの水彩イラスト サービス比較・選び方

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この記事の要点

  • 学習支援は「家庭教師・オンライン塾・デジタル教材・フリースクール」の4型で整理できる
  • 選ぶ順番は、サービス名から入らず「今の状態」から入るのが失敗しにくい
  • 心身の調子が崩れている時期は、どの型を選んでも早すぎる
  • 比べる軸は費用・移動・対人負荷・強制力の4つ
  • 無料体験は2〜3社まで。間隔を空けないと子どもが先に疲れる

「学校に行けていない間、勉強はどうすればいいのか」。児童思春期精神科の病棟で働いていると、保護者の方からこの相談を受けない月はありません。そして多くの場合、その方はすでにスマートフォンで何時間も検索したあとです。家庭教師、オンライン塾、タブレット教材、フリースクール。選択肢の名前だけは大量に集まったけれど、どれが自分の子に合うのかがまったく分からない、という状態でいらっしゃいます。

情報が多すぎることは、選択を助けません。むしろ、比べる軸を持たないまま情報だけが増えると、判断は難しくなる一方です。どのサービスの公式サイトにも良いことが書いてあり、どの口コミにも絶賛と酷評が並んでいます。そして検討している間にも、お子さんの学習の空白は広がっていく。この焦りが、判断をさらに雑にします。

この記事では、2018年4月から看護師として勤務し(2か月のブランクあり)、2021年4月から児童思春期精神科病棟で働いてきた立場から、学習支援サービスを4つの型に整理し、それぞれの向き不向きを比較します。当ブログでこれまで個別に紹介してきた15前後のサービスを横断して並べ、「どういう状態の子に、どの型が向くか」という順序で選べるようにするのが目的です。

先にお伝えしておくと、この記事に「これが一番おすすめです」という結論は出てきません。学習支援に唯一の正解はなく、同じ子でも時期によって合うものが変わるからです。代わりに、ご自身で判断するための軸をお渡しします。読み終わる頃には、検討する候補が3つ程度まで絞れているはずです。

なお、私は医師ではありませんので、診断や治療にかかわる判断には踏み込みません。お子さんの心身の状態が心配な場合は、学習の手立てを考える前に医療機関や相談窓口につながっていただきたいと思います。その見極めについても、この記事の前半で触れます。

  1. サービス選びの前に確認したい「順番」
  2. 学習支援サービスは4つの型に分けられる
  3. 型①家庭教師|1対1で「やり方」から立て直す
  4. 家庭教師4サービスの違い
  5. 型②個別指導塾・オンライン塾|通う形と通わない形
  6. 塾系5サービスの違い
  7. 型③デジタル教材|人が介在しない選択肢
  8. デジタル教材3サービスの違い
  9. 型④フリースクール|学習より居場所が主目的
  10. オンラインフリースクール3サービスの違い
  11. 4つの型を一覧で見比べる
  12. 比べる4つの軸|費用・移動・対人負荷・強制力
  13. 不登校の段階別|今どの型が向くか
  14. 発達特性別の選び方
  15. 年齢別の選び方
  16. 3つの質問で型を絞り込む
  17. 「出席扱い」を目指すときの注意点
  18. 費用は「1年間の総額」で比べる
  19. きょうだいがいる家庭の考え方
  20. 精神科看護師の視点|サービス選びで本当に大事なこと
  21. 「わからない」と言える相手かどうか
  22. 無料体験の使い方|2〜3社まで
  23. 体験のときに見るべき3つのポイント
  24. 子どもにどう切り出すか
  25. よくある失敗パターン5つ
  26. 併用は可能か、切り替えはどうするか
  27. 学校・専門機関との連携も忘れずに
  28. 費用が出せないときの選択肢
  29. 問い合わせのときに聞いておきたいこと
  30. 最初の1か月で見ておきたいこと
  31. 口コミをどう読むか
  32. 親自身の負担とセルフケア
  33. 学習支援を「勉強のため」だけにしない
  34. よくある質問
  35. 看護師視点でのまとめ
  36. あわせて読みたい関連記事
  37. 参考にした公的情報・一次情報

サービス選びの前に確認したい「順番」

いちばん最初にお伝えしたいのは、順番の話です。学習支援を検討する前に、済ませておくべき段階があります。ここを飛ばすと、どんなに評判の良いサービスを選んでも機能しません。

人が学ぶためには、いくつかの前提条件が必要です。ある程度眠れていること、食べられていること、日中に活動できる体力があること。そして「明日も大丈夫だ」と思える最低限の安心感があること。これらが崩れている状態で学習を積み上げようとしても、土台のないところに建物を建てるようなものです。

不登校が始まったばかりの時期に、焦って学習支援を入れた結果、お子さんが「家にも安全な場所がなくなった」と感じてしまう例を、現場で何度も見てきました。学校を休むという判断でようやく確保した休息の場に、勉強を持ち込まれたと受け取られるためです。

目安として、生活リズムがある程度戻り、家族と普通の会話ができ、本人が「このままではまずい」と自分から口にするようになってきたら、学習の話を持ち出す時期が近づいています。それ以前の段階の判断については不登校 完全ガイドに詳しくまとめました。

逆に言えば、そのタイミングが来たときにすぐ動ける準備をしておくことには意味があります。子どもが「やってみようかな」と言った数日のうちに始められるかどうかで、その気持ちが続くかが変わることは、よく経験します。この記事を今読んでいることは、その準備として十分に価値があります。

学習支援サービスは4つの型に分けられる

数十のサービス名を並べて比べようとすると混乱します。まず4つの型に分けてしまうと、検討がぐっと楽になります。

  • 型①家庭教師|先生が家に来る、または画面越しに1対1で教える
  • 型②個別指導塾・オンライン塾|教室に通う、または塾のシステムでオンライン受講する
  • 型③デジタル教材|人は介在せず、タブレットやパソコンで自習する
  • 型④フリースクール|学習だけでなく、居場所や交流を目的に含む

この4つは、目的そのものが違います。型③は学習内容の習得に特化していますし、型④は学習より居場所の確保が主目的です。型①と型②はその中間で、人が関わりながら学習を進めます。

ここを混同したまま比較すると、「フリースクールは勉強が進まない」「タブレット教材は続かない」といった、的外れな評価をしてしまいます。それぞれ得意なことが違うのですから、当然のことです。

ですので、まず「今のわが家がいちばん必要としているのは何か」を一つに決めてください。学習の遅れを埋めたいのか、生活に張りを作りたいのか、家族以外の人とのつながりを持たせたいのか。ここが決まれば、検討する型は自然と絞られます。

この「一つに決める」という作業を、多くのご家庭が飛ばしてしまいます。全部欲しいのは当然だからです。けれども全部を一度に満たそうとすると、どのサービスも決め手に欠けて見え、比較が終わりません。実際、相談を受けていて「もう三か月も探している」というお話は珍しくありません。

探している三か月の間、お子さんの状態は変わり続けます。ですから、完璧な一つを見つけるより、今の段階に合いそうなものを一つ試してみるほうが、結果的に早く進みます。合わなければ変えればよいのです。

型①家庭教師|1対1で「やり方」から立て直す

家庭教師の最大の特徴は、完全に1対1であることです。教室に通う必要がなく、先生が自宅に来るか、オンラインでつながります。学習内容だけでなく、ノートの取り方や宿題の進め方といった「やり方」の部分まで面倒を見てもらえるのが強みです。

私が現場で感じてきたのは、勉強でつまずいている子の多くは「わからない」以前に「どこから手をつければいいかわからない」状態にある、ということです。教科書を開いても今日やるべき範囲が判断できない。宿題が三つあると、どれから始めるか決められずに固まってしまう。こうした子に必要なのは、より詳しい解説ではなく作業の分解です。

この分解を毎回やってもらえるのが、1対1の価値です。集団授業では物理的に不可能ですし、家庭で親がやろうとすると、感情が近すぎて長続きしません。第三者の大人だからこそ、淡々と手順だけを渡せる場面があります。

弱点は費用です。人が時間を使うサービスですから、4つの型の中では高くなりやすい。また訪問型の場合、家に他人を入れることへの抵抗という、費用とは別のハードルもあります。

この「家を見られたくない」という感覚は、決して些細な問題ではありません。毎週決まった時間に来客があるということは、その時間までに片づけを終えなければならないというプレッシャーが、毎週発生することを意味します。お子さんの調子が悪い時期は、家の中も回らなくなっているものです。その状態を人に見せることが親の新たな消耗になるのなら、無視してよい負担ではありません。

幸い、現在は主要な家庭教師サービスの多くがオンラインに対応しています。訪問型が前提だった頃と比べて、この型を選びやすくなったのは確かです。オンラインなら画面に映る範囲だけ整えれば済みますし、お子さん側も「自分の部屋に他人が入る」という抵抗を感じずに済みます。

家庭教師4サービスの違い

当ブログで紹介してきた家庭教師系のサービスを、性格の違いで並べます。

学研の家庭教師は、大手ならではの安心感と研修体制が特徴です。不登校のお子さんを対象としたコースも用意されており、資料請求や無料相談から始められます。組織としての体制を重視される方、初めて外部支援を頼む方が最初に検討しやすい選択肢です。

家庭教師のグッドは、不登校や発達特性のあるお子さんへの理解を打ち出しており、訪問型・オンライン型の両方に対応しています。無料体験を経たうえでの判断を尊重する姿勢が示されており、家庭側に検討の時間が確保されやすいのが特徴です。

家庭教師のガンバは、きょうだい2人の同時指導で1人分の指導料が約半額になる料金体系を持ちます。指導料は小中学生で30分1,000円(税込)から、無料体験は120分。訪問は関東・関西・甲信越・東北の一部、オンラインは全国対応です。きょうだいで学ばせたいご家庭には、費用面での現実味が出てきます。

ゲムトレは少し毛色が違い、ゲームのオンライン家庭教師です。教科学習ではなくゲームを題材にした習い事という位置づけで、「ゲームばかりで会話もない」という状態から、大人との接点を作り直したい場合の入口になります。学習の遅れを埋める目的では選べませんが、その手前の段階では意味を持ちます。

4つを一言で分けるなら、体制の安心感なら学研、特性理解ならグッド、きょうだい・費用ならガンバ、興味からの再接続ならゲムトレ、という整理になります。

どれを選ぶにせよ、家庭教師系は担当者個人との相性で結果が大きく変わります。ですから、サービスの知名度や実績より、「交代の制度があるか」「体験でわが子がどんな顔をしたか」のほうを重視してください。看板ではなく、実際に目の前に座る人がすべてだと考えて差し支えありません。

型②個別指導塾・オンライン塾|通う形と通わない形

塾型は、教室に通う通塾型と、塾のシステムでオンライン受講する形に分かれます。家庭教師との違いは、講師1人に対して生徒が複数いる場合があること、そして塾としてのカリキュラムや進度管理の仕組みを持っていることです。

通塾型の利点は、家から出る機会が生まれることです。不登校の状態にあるお子さんにとって、「週に一度、決まった時間に外出する」という予定があること自体が、生活のリズムを支えます。学校以外の場所に通えたという事実が、本人の自信になることもあります。

一方で、外に出ること自体がハードルになっている段階では、通塾型は選べません。その場合はオンライン型を選ぶことになりますが、こちらは家庭教師とかなり近い体験になります。違いは、塾のシステムに乗るぶん、進度や教材が整理されている点です。

費用は家庭教師よりやや抑えられる傾向がありますが、これはサービスによって幅が大きく、一概には言えません。通塾型の場合は交通費と送迎の手間も計算に入れてください。

塾系5サービスの違い

ティントルは、不登校の小中高生に特化したオンライン個別指導です。最初から「学校に行けていない子」を対象に設計されており、講師の研修や面談の流れが不登校支援に合わせられています。学校復帰を急がせない方針を明示している点が、他との大きな違いです。

キズキ共育塾は、不登校・発達障害・中退経験のある方への指導実績を持つ完全1対1の塾です。学習だけでなくメンタル面のサポートを重視しており、講師自身に不登校の経験がある場合も多いとされています。つまずいた地点まで戻り直すことを前提にした設計です。

ウィズスタディは、公式サイトで月額5,980円〜と案内されているオンライン学習管理塾です。学習計画や進捗管理を含む支援内容はプランによって異なるため、無料体験で本人との相性と総額を確認してください。

明光義塾は全国に2,000教室以上を展開する大手の個別指導塾です。講師1人に生徒2〜3人という形式で、対象は小学生から高校生・浪人生まで。家の近くに教室がある可能性が高いことが最大の利点ですが、通塾が前提になるため、外出が難しい段階のお子さんには向きません。

通塾型の個別指導という選択肢全般については不登校の子の勉強の遅れが気になる親御さんへで、年齢別の考え方を含めて整理しています。

型③デジタル教材|人が介在しない選択肢

タブレットやパソコンで学ぶデジタル教材は、4つの型の中で対人負荷がもっとも軽い選択肢です。誰とも会わずに、自分のペースで、何度でも繰り返せます。人と関わることそのものに強い緊張がある段階のお子さんには、これが唯一入れる入口になることがあります。

費用も4つの型の中でもっとも抑えられます。多くは月額制で、家庭教師や塾の数分の一で済みます。学年をまたいで戻れる「無学年式」の教材であれば、つまずいた地点まで自由に遡れるのも利点です。

ただし、最大の弱点があります。強制力がまったくないことです。自分で起動しなければ何も始まりません。「教材は良かったけれど、結局やらなかった」という失敗は、非常によく起こります。私が相談を受けた中でも、この理由で挫折したご家庭は少なくありません。

そしてこの挫折には、副作用があります。教材を用意したのにやらない日が続くと、親のいらだちが溜まります。「せっかく契約したのに」という言葉が出るようになり、結局その教材が親子の新しい火種になってしまう。これでは、何のために外部の手を借りたのか分からなくなります。

もし教材型を選ぶなら、始める前に「やらない日があっても責めない」と決めておくことをお勧めします。あるいは、親が一緒に座る時間を週に何回か作る前提で設計する。放っておけば進むという期待だけは、持たないほうが安全です。

ですので、デジタル教材を選ぶ際は「本人が自力で始められるタイプか」を冷静に見てください。もし難しそうなら、教材そのものより、伴走する人がいる型を選ぶほうが結果的に安く済みます。

デジタル教材3サービスの違い

すららは、国語・数学・英語・理科・社会に対応した無学年式のオンライン教材です。学年の枠を越えて戻れるため、不登校で授業から離れている期間が長いお子さんにも使えます。全教科をまとめて立て直したい場合の基本形といえる存在です。

天神は、月額制ではなく買い切り型という点が大きく異なります。必要な学年・教科を選んで購入し、自分のペースで学ぶ形です。長期間使う前提なら総額を抑えられる可能性がありますが、初期の支出は大きくなります。料金は組み合わせで変わるため、資料の価格表で確認が必要です。

RISU算数は算数に特化した無学年式のタブレット教材です。専用端末が貸与され、進捗に応じた料金体系になっています。対象が算数のみですので、全教科の立て直しには使えませんが、算数のつまずきが学習全体の足を引っ張っている場合には有効です。

3つを分けるなら、全教科をまとめてならすらら、買い切りで長く使うなら天神、算数だけを集中的にならRISU算数、という整理になります。発達特性のあるお子さんの教材選びについては発達障害の子におすすめの勉強方法・学習ツールもあわせてご覧ください。

型④フリースクール|学習より居場所が主目的

フリースクールは、他の3つとは目的が異なります。学習の提供もありますが、主眼は居場所と人とのつながりです。ですから「勉強が進むかどうか」で評価すると、必ず物足りなく感じます。

不登校の期間が長くなると、学習の遅れよりも深刻になるのが、社会との接点の喪失です。同年代と話す機会がなくなり、生活が家族の中だけで完結してしまう。この状態が長引くと、学習を再開する以前に、人と関わること自体への不安が育ってしまいます。

フリースクールが埋めるのは、この部分です。学習の遅れは後からでも取り戻せますが、人と関わる感覚は、離れている期間が長いほど戻すのに時間がかかります。私が現場で優先順位を高く見ているのは、実はこちらです。

フリースクールという選択肢全般の考え方はフリースクールという選択肢にまとめてあります。通所型か在宅型か、費用、在籍校との関係など、基本的な整理はそちらをご覧ください。

オンラインフリースクール3サービスの違い

クラスジャパン小中学園は、不登校の小中学生向けのオンラインフリースクールです。在籍校と連携して出席扱いを目指せる仕組みを持ち、オンライン上で学習と交流の両方に参加できます。担任的な役割のネットの先生がつく点も特徴です。

学研WILL学園は、通学コースとオンラインコースの両方を持つのが最大の特徴です。外に出るのが難しい時期はオンラインで、少し元気が戻ってきたら通学で、というように、お子さんの状態の変化に合わせて切り替えられます。段階的に外へ出ていく道筋を用意しておきたい場合に適しています。

aini schoolは、探究や体験を軸にしたオンラインのフリースクールです。教科学習の補完というより、興味関心から入って学びを再起動させるタイプで、「勉強」という言葉に拒否反応が出ているお子さんでも参加しやすい設計になっています。

3つを分けるなら、出席扱いと学習の両立ならクラスジャパン、通学への段階移行なら学研WILL学園、興味からの再起動ならaini school、という整理です。

なお、フリースクールを検討する際は、費用の幅が非常に大きいことに注意してください。オンライン中心のものと通所施設では、月額が数倍違うことも珍しくありません。また、在籍校との連携がどこまで可能かも施設によって異なりますので、出席扱いを視野に入れる場合は事前に確認が必要です。

4つの型を一覧で見比べる

ここまでの内容を、型ごとに整理しておきます。数字は目安であり、サービスによって幅が大きいことをお含みおきください。

家庭教師|完全1対1。訪問とオンラインがある。学習内容だけでなく「やり方」の立て直しに強い。費用は高め。訪問の場合は家に人を入れる負担がある。向くのは、どこから手をつければいいか分からない状態の子、家庭で親が教えると衝突してしまう家庭。

個別指導塾・オンライン塾|講師1人に生徒1〜3人。通塾型は外出の機会が生まれ、生活のリズムを支える。オンライン型は家庭教師に近い体験になるが、塾のカリキュラムに沿って進む。向くのは、ある程度の体力が戻っていて、外に出る練習も兼ねたい子。

デジタル教材|人が介在しない。費用がもっとも安く、対人負荷も最小。無学年式ならつまずいた地点まで自由に戻れる。弱点は強制力がないこと。向くのは、自分で始められる子、人と関わること自体に強い緊張がある子。

フリースクール|学習より居場所と交流が主目的。通所型と在宅型がある。学習の進度で評価すると必ず物足りなく感じる。向くのは、不登校の期間が長く、同年代との接点が完全に切れている子。

この4つは優劣ではなく役割の違いです。ですから「どれが一番いいか」ではなく「今のわが子にどれが必要か」という問いの立て方をしてください。同じ子でも、半年後には答えが変わっていることが普通にあります。

比べる4つの軸|費用・移動・対人負荷・強制力

ここまでの4つの型を、実際に比較するための軸を整理します。この4つで見ると、どの型がわが家に合うかが判断しやすくなります。

費用で見ると、もっとも安いのがデジタル教材、次いで塾型、家庭教師とフリースクールが高くなる傾向があります。ただしフリースクールは施設によって幅が非常に大きく、一概には言えません。

移動の負担では、家庭教師(訪問・オンライン)とデジタル教材、オンラインフリースクールがゼロです。通塾型と通学型フリースクールは送迎が発生し、これは親の時間を毎週確実に奪います。共働きのご家庭では、ここが決め手になることもあります。

対人負荷は、デジタル教材がもっとも軽く、次いでオンライン1対1、訪問の1対1、そして複数人がいる塾・フリースクールの順に重くなります。ただし対人負荷が軽いということは、人からの後押しがないということでもあります。

強制力は対人負荷とちょうど逆の順序になります。人が来る形式には「その時間だけは必ず取り組む」という枠が生まれますが、デジタル教材にはそれがありません。この4軸のうち、対人負荷と強制力はトレードオフの関係にあると理解しておくと、選択が整理されます。

不登校の段階別|今どの型が向くか

同じお子さんでも、時期によって合うものは変わります。段階ごとに整理します。

混乱期(学校に行けなくなった直後、心身の不調が強い時期)は、どの型も早すぎます。この時期に必要なのは休息と、安心できる環境です。学習の話は一旦棚上げしてください。焦って始めると、後の全ての提案に拒否反応が出るようになります。

回復期(生活リズムが戻り始め、家族との会話ができるようになった時期)は、対人負荷の軽いものから入るのが安全です。デジタル教材、あるいはオンラインの1対1。この段階では学習の進度より、「何かに取り組めた」という感覚を作ることが目的です。

安定期(本人が先のことを口にするようになり、体力も戻ってきた時期)は、人が関わる型に広げられます。オンラインフリースクールで同年代との接点を作る、家庭教師で学習の型を立て直す、といった選択が現実味を持ちます。

再挑戦期(進路や復帰を具体的に考え始めた時期)は、通塾型や通学型も選択肢に入ります。外に出る練習を兼ねられるからです。進路との関係については不登校・発達障害の子の進路選択 完全ガイドを参照してください。

発達特性別の選び方

発達特性のあるお子さんの場合、特性によって相性がはっきり分かれます。

注意が持続しにくいタイプの子には、時間を細かく区切ってもらえる形式が向きます。30分続けるより、15分を2回に分けて間に立ち歩きを挟むほうが結果的に進みます。この調整ができるのは1対1の形式です。デジタル教材の場合は、親が区切りを作る役割を担う必要があります。

見通しが立たないと不安になるタイプの子には、開始時に今日やることを書き出して見せる方法が有効です。終わったら消していく。この可視化を毎回徹底できるのも、人が関わる型の利点です。

読み書きに困難があるお子さんの場合は、学習支援サービスだけで解決しようとせず、学校での配慮と組み合わせることが必要です。具体的な支え方はLD(学習障害)の子の学習サポートにまとめてあります。

対人的な緊張が強いタイプの子には、まずデジタル教材から入り、慣れてきたらオンラインの1対1へ、という順序が安全です。いきなり人が来る形式にすると、指導日そのものが負担になってしまいます。診断の有無にかかわらず支援は検討できますので、発達障害グレーゾーンの段階でも遠慮は不要です。

年齢別の選び方

年齢によって、期待できることも変わります。

小学生の場合、目的は成績よりも学習習慣の土台づくりです。机に向かう時間を決める、道具を揃える、終わったら片づける。この型が身につくかどうかが後の数年を左右します。デジタル教材は自力での起動が難しい年齢でもあるため、人が関わる型か、親の伴走を前提にした設計が必要です。

中学生の場合は、つまずいた地点まで戻れるかどうかが鍵になります。学校の授業は待ってくれませんから、遡って埋める作業は個別の形式でしかできません。無学年式の教材か、1対1の指導が現実的な選択になります。

高校生の場合、本人が納得していない支援はまず続きません。「親が決めた」形で始めると数回で終わることが多いので、本人が必要性を感じているかを先に確認してください。この年代では、支援者は教える人というより伴走者に近い役割になります。

3つの質問で型を絞り込む

ここまでの内容を、実際に使える形にまとめます。次の3つの質問に順番に答えていくと、検討すべき型がかなり絞れます。

質問1|お子さんは今、家から出られますか。出られないなら、通塾型と通学型フリースクールは候補から外れます。残るのは家庭教師(オンライン)、オンライン塾、デジタル教材、オンラインフリースクールの4つです。出られるなら全部が候補になりますが、外出の機会自体に価値があるかどうかで優先順位が変わります。

質問2|お子さんは一人で始められますか。「今日はこれをやろう」と自分で決めて机に向かえるなら、デジタル教材が有力です。費用がもっとも抑えられますし、自分のペースで進められます。始められないなら、教材を選んでも起動しないままになりますので、人が関わる型を選んでください。

質問3|今いちばん必要なのは、学習ですか、つながりですか。学習なら家庭教師・塾・教材。つながりならフリースクール。ここは両方欲しくなるところですが、あえて一つに決めてください。両方を一つのサービスに求めると、評価軸がぶれます。

この3問で、多くのご家庭は候補が1〜2の型まで絞れます。そこから個別のサービス名を見ていけば、検討はずいぶん楽になるはずです。逆に、サービス名を先に見てから比較しようとすると、いつまでも決まりません。

「出席扱い」を目指すときの注意点

不登校のお子さんの学習支援を検討する際、「出席扱いになるか」を重視される方は多くいらっしゃいます。これは制度として存在しますが、いくつか誤解されやすい点があります。

まず、教材やサービスの側が「出席扱い対応」とうたっていても、それだけで出席扱いになるわけではありません。最終的な判断は在籍校の校長が行います。ですから、サービスを契約する前に、学校側と相談しておく順序が重要です。

次に、出席扱いを目的化しすぎないことです。出席日数は進路選択の場面で意味を持ちますが、それ自体がお子さんの回復を意味するわけではありません。数字を作ることに親が必死になると、その圧力は必ず本人に伝わります。

学校との相談の進め方については子どもの病気を学校に伝えるか迷ったときで、伝える範囲と判断の目安を整理しています。担任やスクールカウンセラーとの関係づくりの参考になさってください。

費用は「1年間の総額」で比べる

比較でもっとも間違えやすいのが費用です。月額だけを並べても、実際の負担は見えません。

同じ「月あたりいくら」でも、指導時間・回数・入会金・教材費・端末代の扱いが違えば、総額はまったく変わります。入会金が数万円かかるサービスと、初期費用ゼロのサービスを月額だけで比べると、判断を誤ります。

ですので、候補が絞れたら「1年間続けた場合の合計額」に換算してみてください。入会金・月額×12・教材費・交通費をすべて足す。この数字で並べ直すと、印象が変わることがよくあります。

また、買い切り型の教材のように初期支出が大きいものは、2年、3年と使う前提であれば割安になる場合があります。逆に、合わなかったときの損失も大きくなります。継続の見込みと合わせて考えてください。

そして忘れがちなのが、続けられる金額かどうかです。無理をして家計を圧迫すれば、その緊張は必ず子どもに伝わります。「これなら1年続けても平気」という線を先に引いてから、体験に臨んでください。

きょうだいがいる家庭の考え方

お子さんが複数いるご家庭では、費用が単純に人数分かかるため、判断がさらに難しくなります。

「上の子だけ塾に行かせて、下の子は我慢させる」という選択を迫られたご家庭の話を、何度も聞いてきました。この判断は当時の家計を考えれば当然でも、子どもの記憶には長く残ります。大人になってから「自分だけ行かせてもらえなかった」と語る方は、実際にいらっしゃいます。

費用と公平さを同時に満たす方法としては、きょうだい割引のあるサービスを選ぶ、あるいは全員が同じデジタル教材を使う、といった形があります。同じものを与えるという事実自体に意味がある場面は、確かに存在します。

ただし、きょうだいを同じ時間・同じ場所で学ばせることが常に良いとは限りません。片方が強い劣等感を抱えている場合、同席は屈辱になりえます。きょうだい間の力関係についてはきょうだい児へ十分にできないと悩む親へきょうだいへのイライラが偏るときもあわせてご覧ください。

精神科看護師の視点|サービス選びで本当に大事なこと

ここからは、現場で子どもたちを見てきた立場から、比較表には出てこない視点をお伝えします。

私がいちばん重視しているのは、成績でも進度でもなく、「家庭の外にいる、責めない大人」がひとり増えるかどうかです。子どもにとって、親でも学校の先生でもない大人と定期的に会う機会は、思っているより少ないものです。そして親でも先生でもないからこそ、成績の上下に一喜一憂せず淡々と関われます。

病棟でも似たことが起きます。入院しているお子さんが、主治医にも親にも言わなかった本音を、担当ではない看護師にぽろりと漏らす。関係が近すぎない相手には、期待を裏切る恐怖が働きにくいのだと思います。学習支援の担当者も、この「ちょうどよい距離の大人」になりうる存在です。

もうひとつは、親子の関係から勉強という火種を取り出せることです。毎晩「宿題やったの」で衝突している家庭では、勉強が親子の争点そのものになっています。外部に管理を任せると、親は「見張る役」から降りられます。この配置換えだけで家の空気が変わったという話は、何度も聞いてきました。

あるご家庭で、お母さまが開口一番に言われた言葉が印象に残っています。「私が教えると必ず泣かせてしまう」。教え方が悪いのではなく、わが子のつまずきを目の前にすると焦りが声に出てしまうのだと。外部に任せた結果、成績より先に夕食の会話が戻ってきたそうです。※個人が特定できないよう複数のケースを合成し、状況を抽象化しています。

「わからない」と言える相手かどうか

学習支援でもっとも重要なのは、子どもが「ここがわからない」と口に出せるかどうかです。これができない子は、どんなに良い教材を与えても伸びません。わからない箇所を隠したまま先に進むので、穴が広がり続けるからです。

そして「わからない」と言うことは、子どもにとって想像以上に勇気が要ります。教室で手を挙げれば周囲に理解度を晒すことになり、親に聞けば「前も教えたでしょう」と言われるかもしれない。だから多くの子は黙ることを選びます。

ある中学生のお子さんは、学校では優等生として通っていたのに、実は小学四年生の分数から理解が止まっていました。テスト前だけ暗記で乗り切っていたため、誰も気づいていなかったのです。個別に関わる大人が入って初めて、本当のつまずきを言えました。※個人が特定できないよう複数のケースを合成し、状況を抽象化しています。

ですから、サービスを選ぶ際の最終的な基準は「この人になら、わからないと言えそうか」です。カリキュラムの充実度や合格実績より、この一点のほうが結果を左右します。

無料体験の使い方|2〜3社まで

ここまでで候補が絞れたら、無料体験を活用します。ほとんどのサービスが体験や無料相談を用意していますので、必ず使ってください。

ただし、受けるのは2〜3社までにしてください。比較の基準を作るには複数受けるほうがよいのですが、数を増やしすぎると、判断する前にお子さんが疲れてしまいます。初対面の大人と話すというのは、それ自体がエネルギーを使う作業です。

また、体験の間隔は空けてください。同じ週に三社受けるようなことをすると、どれがどれだか分からなくなるうえ、本人の負担が集中します。1週間ずつ空けるくらいでちょうどよいでしょう。

体験前には、本人に「合わなかったら断っていい」と伝えておいてください。逃げ道があるほうが、人は新しいことを試せます。これは大人でも同じです。

体験のときに見るべき3つのポイント

体験は、説明を聞く場であると同時に、こちらが観察する場です。どこを見ればよいかを知っておくと、限られた時間を有効に使えます。

ひとつめは、お子さんの表情です。説明の内容より、本人が話しかけられたときにどんな顔をするか。緊張しながらも言葉を返せているか、それとも完全に固まっているか。ここに相性の多くが表れます。

ふたつめは、「わからない」と言えたかどうかです。体験の中で一度でも本人が質問できたなら、それは良い兆候です。逆に、わかったふりをして頷き続けていたなら、その先も同じことが起きる可能性があります。

みっつめは、家庭の事情を伝えたときの反応です。不登校であること、発達特性があること、今は学習より生活を優先したいこと。こうした話をしたときに、否定されずに受け止められるか。ここで違和感があれば、その感覚は大切にしてください。

その場で契約を決める必要はありません。「持ち帰って家族と相談します」と伝えて構いませんし、そう言ったときの相手の対応も判断材料になります。

子どもにどう切り出すか

親が候補を決めたあとに必ず訪れるのが、本人にどう伝えるかという場面です。ここでの言い方ひとつで、その後の展開がかなり変わります。

もっとも避けたいのが、成績や遅れを理由にすることです。「このままだと高校に行けないから」という切り出し方は、本人にとって否定の通告として受け取られます。事実として正しくても、動機にはなりません。むしろ「やっぱり自分はだめなんだ」という結論を強めてしまいます。

次に避けたいのが、決定事項として伝えることです。「来週から始まるから」と事後報告になると、本人は自分の生活を勝手に決められたと感じます。思春期のお子さんの場合、この一点だけで拒否に回ることがあります。

うまくいきやすいのは、親側の困りごととして話す形です。「毎日、勉強のことで言い合いになるのがしんどい。お互い嫌な気持ちになるでしょう。だから間に人を入れてみたいんだけど、どう思う」。こう伝えると、本人を責める構図になりません。

そして必ず添えていただきたいのが、断ってよいという前提です。もし本人が即答で拒否したら、そこで押さないでください。数週間置いてからもう一度話す。時間を空けることで受け取り方が変わることは、珍しくありません。

よくある失敗パターン5つ

これまで相談を受けてきた中で、繰り返し見てきた失敗を挙げておきます。

ひとつめは、時期を誤ること。心身の調子が戻る前に始めて、本人が拒否に回るパターンです。これがもっとも多く、そして影響が長く残ります。

ふたつめは、目的を複数抱えること。成績も上げたい、生活リズムも整えたい、居場所も作りたい。全部を一つのサービスに求めると、どれも中途半端になり、評価もできなくなります。

みっつめは、本人に相談せず決めること。特に中学生以上では、決定事項として伝えられた時点で拒否に回ることがあります。「間に人を入れてみたいんだけど、どう思う」という聞き方から入ってください。

よっつめは、成果を月単位より短く測ること。一回ごとに評価すると、たまたま調子の悪かった日に引きずられます。判断は1か月分ためてから行ってください。

いつつめは、「せっかくお金を払ったから」と続けること。支払った費用は続けても戻りません。判断すべきは、これから先の時間をここに使うのが最善かどうかだけです。

併用は可能か、切り替えはどうするか

複数の型を組み合わせることは可能ですし、実際に有効な場合もあります。ただし、同時に始めるのは避けてください。

よくある組み合わせは、デジタル教材で日々の学習を進めつつ、週に一度オンラインフリースクールで人とつながる、という形です。学習と居場所という別々の目的を、別々の手段で満たす考え方です。

逆に、家庭教師と個別指導塾を併用するような、同じ目的の重複はあまり意味がありません。費用が倍になるだけでなく、お子さんの負担も増えます。

切り替えについては、合わないと感じたら早めに動いてよいと考えています。撤退は失敗ではありません。「試してみたけれど今のうちには合わなかった」という情報が得られたのですから、次の判断が正確になります。選択肢を一つ潰したぶん、前進しています。

学校・専門機関との連携も忘れずに

民間の学習支援サービスは、家庭側の手段です。学校での困りごとを直接解決するものではありませんので、並行して学校との相談を進める必要があります。

担任やスクールカウンセラーに、家庭で学習支援を始めたことを伝えておくと、学校側の対応が変わることがあります。宿題の量を調整してもらえたり、テストの受け方に配慮が入ったりする場合があります。

学習面の困難が大きい場合は、通級指導教室や支援級といった制度の利用も選択肢に入ります。制度の違いについては支援級・通級・特別支援学校の違いにまとめました。

また、つまずきの背景に発達特性が疑われる場合は、発達検査を受けることで支援の方向性が明確になることがあります。発達検査(WISC)を受けるべき?で流れと活かし方を説明しています。学習の失敗体験が積み重なると自己評価が下がりますので、発達障害の「二次障害」が怖い親へもあわせてご覧ください。

費用が出せないときの選択肢

ここまで有料サービスを中心に整理してきましたが、費用の負担が難しい場合の選択肢も挙げておきます。

自治体の教育支援センター(適応指導教室)は、多くの場合無料または低額で利用できます。在籍校との連携も取りやすく、出席扱いの相談もしやすい立場にあります。まずお住まいの自治体の窓口に問い合わせてみてください。

発達特性のあるお子さんであれば、放課後等デイサービスが利用できる場合があります。福祉サービスですので自己負担は所得に応じた上限があり、民間サービスより負担は軽くなります。

また、地域には無料の学習支援ボランティアや、子ども食堂に併設された学習の場が存在することがあります。社会福祉協議会やスクールソーシャルワーカーに聞くと、地域の情報が得られます。

お金をかけないと支援できない、ということはありません。家計を圧迫してまで有料サービスを選ぶより、公的な選択肢を先に当たるほうが、家庭全体としては健全です。

問い合わせのときに聞いておきたいこと

候補が絞れて資料請求や問い合わせをする段階になったら、聞いておくと後悔が減る項目があります。公式サイトには書かれていないことが多い部分です。

ひとつめは、担当者を変えられるかどうかと、その手続きです。1対1の形式では相性が結果を大きく左右します。交代の制度があるか、何回まで可能か、費用はかかるかを確認してください。制度として用意されているなら、遠慮せず使ってよいものです。

ふたつめは、休んだときの扱いです。体調の波があるお子さんの場合、予定どおりに受けられない日が必ず出ます。振替ができるか、当日キャンセルの締切はいつか、料金は発生するか。ここは実際に始まってから毎月効いてくる部分です。

みっつめは、契約期間と解約の条件です。最低利用期間があるか、解約の申し出は何日前までか、初期費用の返金はあるか。「やめるときの話」を先に聞くのは失礼ではなく、安心して始めるための準備です。

よっつめは、進め方の希望が通るかです。「今は学習より慣れることを優先したい」「教科書ではなく本人の興味から入ってほしい」といった希望を伝えて、その反応を見てください。即座に「まず学習習慣を」と返ってくる場合は、今のお子さんには早いかもしれません。

いつつめは、保護者への報告の有無です。毎回の様子を伝えてもらえるか、面談の機会はあるか。親が状況を把握できないと、続けるかどうかの判断もできません。ただし、思春期のお子さんの場合は「親に全部筒抜け」だと本音を出さなくなりますので、報告の粒度は本人とも相談してください。

最初の1か月で見ておきたいこと

始まったあと、多くの保護者は「成績が上がったか」を見てしまいます。しかし最初の1か月で成績が動くことはまずありません。この時期に見るべきものは別にあります。

ひとつめは、予定日の朝の様子です。今日は指導がある日だと分かっている日に、起きてくるのが遅くなっていないか。前日の夜に不機嫌になっていないか。憂うつの兆候は、当日より前に表れます。

ふたつめは、終わった直後の表情です。疲れているのは当然ですが、その疲れが「やりきった疲れ」なのか「耐えた疲れ」なのかは、顔を見ればある程度わかります。終わって部屋に直行して黙り込むようなら、何かが合っていない可能性があります。

みっつめは、担当者の話が家庭の会話に出るかどうかです。「今日こんなこと言ってた」と本人が話題にするようになれば、関係ができ始めています。逆に一か月経っても名前すら出ないなら、まだ他人のままだということです。

これらを一か月分ためてから、続けるかどうかを判断してください。一回ごとに評価すると、たまたま調子の悪かった日に引きずられます。週単位ではなく月単位で見る。これは病棟で子どもの回復を見るときの原則でもあります。

口コミをどう読むか

検討の過程で、どうしても口コミを読むことになります。ただ、口コミは読み方を間違えると判断を狂わせます。

まず知っておきたいのは、1対1のサービスの口コミは、そのほとんどが担当者個人への評価だということです。「先生が親身だった」「相性が悪かった」。これらは同じサービス内でも人によって変わりますので、他家庭の評価がそのまま自分の家庭に当てはまるわけではありません。

参考になるのは、個人差の出にくい部分です。料金体系の分かりやすさ、問い合わせへの返答の速さ、休んだときの振替の柔軟さ、勧誘の強さ。こうした運営の姿勢に関する記述は、複数の口コミで共通していれば信頼できます。

逆に、「成績が上がった」「上がらなかった」という結果の記述は、あまり当てになりません。元の学力も、取り組んだ期間も、家庭の状況も違うからです。自分の子と条件が近いかどうかを見ずに結果だけ拾うと、期待値が現実からずれます。

そしてもうひとつ。不登校や発達特性のあるお子さんについての口コミは、そもそも数が多くありません。一般の利用者向けの評価をいくら読んでも、わが子の状況に近い情報は出てこない可能性が高いのです。ですから最終的には、体験の場で直接聞くほうが確実です。

親自身の負担とセルフケア

学習支援を検討するとき、見落とされがちなのが親自身の状態です。毎日「勉強しなさい」と言い続けている親は、確実に消耗しています。そして消耗している状態では、良い判断ができません。

外部の手を借りる目的の中に、「親が休むため」を堂々と入れてよいと私は考えています。子どもの成績のためだけでなく、親が夕方の一時間を自分のために使えるようになるため。それは十分に正当な理由です。

夫婦・パートナー間のすり合わせも重要です。継続的な支出になりますから、片方が納得していないと、成果が出ない時期に必ず衝突が起きます。始める前に、目的・金額・見直しの時期を共有しておいてください。

親御さん自身が孤立していると感じる場合は、不登校の子を支える親が孤独になったときもご覧ください。サービス選び以前に、話せる相手を確保することのほうが先かもしれません。

学習支援を「勉強のため」だけにしない

最後に、少し視点を変えた話をさせてください。ここまで学習支援サービスの比較をしてきましたが、私が現場で見てきた限り、これらのサービスが本当に効いた場面の多くは、成績とは別のところにありました。

週に一度、決まった曜日に予定があること。それだけで生活に輪郭が生まれます。不登校の期間が長くなると、曜日の感覚が失われていきます。今日が何曜日か分からない日々の中に、一つでも固定の予定があることは、想像以上に大きな支えになります。

また、家族以外の大人と話す機会は、それ自体が練習になります。学校に戻るにせよ、別の道を選ぶにせよ、いずれは家庭の外の人と関わっていくことになります。その筋力を、安全な環境で少しずつ戻していける。これは学習の進度では測れない価値です。

ですから、成績が思うように上がらなくても、すぐに「効果がなかった」と結論づけないでください。お子さんが週に一度誰かと話せていること、その時間を嫌がっていないこと。それだけでも、今の時期には十分な成果である場合があります。

よくある質問

Q1. 結局どれがいちばんおすすめですか

お子さんの状態によって変わりますので、一律の答えはありません。強いて順序をお伝えするなら、まず「今どの段階か」を判断し、次に「4つの型のどれが必要か」を決め、最後にサービス名を選ぶ、という順です。サービス名から入ると、ほぼ確実に迷います。

Q2. いくつ体験を受けるべきですか

2〜3社が適切です。1社だけだと比較の基準ができず、4社以上だとお子さんが疲れてしまいます。間隔は1週間程度空けてください。

Q3. 本人が全部嫌がります

その場合は時期が早い可能性があります。押して始めても続きませんし、その後の提案すべてに拒否反応が出るようになることもあります。数週間置いてから、親側の困りごととして話し直してみてください。「勉強のことで言い合いになるのがしんどい。間に人を入れたい」という伝え方だと、本人を責める構図になりません。

Q4. 出席扱いになるサービスを選ぶべきですか

出席扱いは在籍校の校長が判断するもので、サービス側の対応だけでは決まりません。契約前に学校と相談する順序が重要です。また、出席日数を目的化しすぎると、その圧力が本人に伝わります。まず本人の回復を優先してください。

Q5. どのくらいの期間で成果が出ますか

成績という形で表れるまでには数か月かかります。ただし、それより早く表れる変化があります。机に向かう時間が少し増えた、担当者の話が食卓で出るようになった、質問できるようになった。こうした兆しを成果として数えると、判断を焦らずに済みます。

Q6. 複数のサービスを併用してもよいですか

目的が違うものの組み合わせなら有効です。たとえば教材で日々の学習を進め、週一回オンラインフリースクールで人とつながる形。ただし同時に始めず、一つずつ足してください。同じ目的の重複(家庭教師+個別指導塾など)はあまり意味がありません。

Q7. 兄弟で違うサービスにしてもいいですか

構いません。むしろ特性や状態が違えば、違うものを選ぶほうが自然です。ただし、片方だけ高額なサービス、という差が見える形になると不公平感が生まれやすいので、本人たちに理由を説明できる形にしておくとよいでしょう。

Q8. 発達障害の診断がなくても利用できますか

できます。民間サービスに診断は不要ですし、困りごとが具体的にあるなら支援の対象になります。診断がないから頼めない、と考える必要はありません。ただし放課後等デイサービスなど福祉制度の利用には、受給者証などの手続きが必要になります。

Q9. 途中でやめると悪影響はありませんか

やめ方によります。「合わなかったから変える」と本人に説明できれば、悪影響はほとんどありません。避けたいのは、本人が嫌がっているのに続けて、指導日そのものが憂うつになる状態です。撤退は失敗ではなく、選択肢を一つ確かめた結果です。

Q10. 費用をかけられません

自治体の教育支援センター、放課後等デイサービス(要件あり)、地域の学習支援ボランティアなど、無料または低額の選択肢があります。スクールソーシャルワーカーや社会福祉協議会に相談すると、地域の情報が得られます。有料でなければ支援できない、ということはありません。

Q11. 親が教えるのではだめですか

うまくいっているなら、それがいちばんです。問題は、親子だと感情が近すぎて続かない場合が多いことです。「教えると必ず言い合いになる」なら、教える役を降りたほうが家庭全体にとって良い結果になります。愛情の問題ではなく、役割の問題です。

Q12. 勉強以外の選択肢もありますか

あります。興味を入口にする形として、プログラミング・ロボット教室や、体験を軸にしたフリースクールがあります。「勉強」という言葉に拒否反応が出ている段階では、こちらのほうが入りやすいことも多いです。

今夜これだけ

今夜は資料請求まで進まなくて構いません。「学習の遅れを埋めたいのか、人とのつながりを作りたいのか」。この二つのどちらが今いちばん必要かを、一つだけ決めてみてください。それが決まれば、候補は半分に減ります。

看護師視点でのまとめ

学習支援サービスは、家庭教師・塾・デジタル教材・フリースクールの4つの型に分けて考えると整理できます。そして選ぶ順序は、サービス名からではなく「今のわが子の状態」から入ることです。この順序さえ守れば、大きく外すことはありません。

比べる軸は、費用・移動・対人負荷・強制力の4つ。特に対人負荷と強制力はトレードオフの関係にあり、どちらを優先するかで選ぶ型が決まります。人と関わるのがつらい段階なら教材から、自力で始められないなら人が来る形から。単純ですが、この判断で多くが決まります。

そして最後にもう一度お伝えしたいのは、順番の話です。心身の調子が崩れている時期は、どの型を選んでも早すぎます。学習の遅れは後からでも取り戻せますが、一度こじれた「勉強への拒否感」を戻すには、その何倍も時間がかかります。焦らないことが、結果的にいちばんの近道です。

外部の手を借りることは、親としての負けではありません。専門的な作業を専門の人に任せて、親は親にしかできないことに時間を使う。その配分を変えるだけで家の空気が変わることを、私は現場で何度も見てきました。

今日も、あなたとお子さんの時間が、少しでも穏やかでありますように。

※本記事に記載した費用は2026年8月時点の目安です。制度の改定や事業者ごとの設定によって変わりますので、最新の金額は公式サイトやお住まいの自治体の窓口でご確認ください。

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参考にした公的情報・一次情報

記事内の制度・相談先・健康情報・サービス情報は、以下を2026年8月15日に確認しています。料金・特典・提供条件は変更されることがあるため、利用前にリンク先の最新情報もご確認ください。

【医療に関する免責事項】

本記事は、児童思春期精神科での看護経験に基づいた一般的な情報提供を目的としています。医療行為・診断・治療の代わりとなるものではありません。お子さんの心身の状態にご不安がある場合は、必ず主治医・かかりつけ医・スクールカウンセラー・地域の相談窓口など、お子さまを直接見ることのできる専門家にご相談ください。詳細は免責事項をご確認ください。

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命に関わる危険があるときは、ためらわず119番へ。
出典:厚生労働省「まもろうよ こころ」(2026年7月確認)
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