ゲームばかりの子に「ゲムトレ」という選択肢|ゲームのオンライン家庭教師を看護師が解説【児童精神科看護師】

ゲームばかりの子に「ゲムトレ」という選択肢 不登校

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この記事の要点

  • ゲームを「取り上げる」対応は親子関係を壊しやすく、現場でも失敗例が多い
  • ゲムトレはゲームを習い事に変える発想。会話と自己肯定感の入口になりうる
  • 体験会は1時間2,200円(継続時無料)。合わなければやめてよい
  • ゲーム障害が疑われる段階なら習い事より先に医療機関へ相談を

「うちの子、ゲームばかりで大丈夫なんでしょうか」。児童思春期精神科の病棟で働いていると、面会に来られた保護者の方からこの質問を受けない週はほとんどありません。学校に行けていない子も、行けているけれど家では部屋にこもりがちな子も、その手元にはたいていゲーム機かスマホがあります。

親としては、宿題もせずに何時間も画面に向かうわが子を見ると、不安になるのが自然です。「このままゲーム依存になったらどうしよう」「取り上げるべきか、見守るべきか」。夜、寝顔を見ながら自問した経験のある方は多いのではないでしょうか。私自身も父親として、その気持ちは他人事ではありません。

この記事では、看護師歴8年、うち児童思春期精神科で5年以上働いてきた立場から、「ゲームばかりの子」への向き合い方を整理したうえで、少し変わった選択肢をひとつご紹介します。ゲームのオンライン家庭教師「ゲムトレ」です。ゲームを禁止するのでも放置するのでもなく、「習い事」として大人と一緒に取り組む、という第三の道です。

先にお伝えしておくと、ゲムトレは万能薬ではありませんし、すべてのご家庭に向くサービスでもありません。この記事では良い面だけでなく、向かないケースや利用前に考えておいてほしいことも正直に書きます。読み終わる頃には、「うちの子に合いそうか」をご自身で判断できる材料が揃うはずです。

なお、私は医師ではないため、診断や治療にかかわる判断についてはこの記事では踏み込みません。ゲームとの付き合い方が心配で、生活への支障が大きいと感じる場合は、必ず医療機関や専門の相談窓口につながってください。その目安についても本文で触れていきます。

また、この記事は「ゲームを推奨する記事」でも「ゲームを警戒する記事」でもありません。ゲームそのものの善悪を決めることより、目の前のわが子とゲームの関係が今どうなっているか、そこに親としてどう関われるかを考えるほうが、ずっと実りがあります。その視点で、最後までお付き合いください。

  1. 「ゲームばかりの子」に悩む親が増えている背景
  2. eスポーツとゲーム実況の時代——親世代との「ゲーム観」のずれ
  3. ゲームは本当に「悪」なのか——児童精神科の現場から見える実像
  4. 「ゲーム好き」と「ゲーム依存」の境界線
  5. ゲムトレとは——「ゲームのオンライン家庭教師」という発想
  6. 代表は約10年の不登校経験者——運営の背景
  7. ゲムトレで子どもは何を学ぶのか
  8. 対応ゲームと対象年齢
  9. 年齢別の向き合い方——小学生・中学生・高校生でこう変わる
  10. 精神科看護師視点としての活用法——「会話の回復」の道具として
  11. 「好き」を認められた子はどう変わるか——現場で見てきた回復の順序
  12. 「ナナメの関係」の力——親でも先生でもない大人が効く理由
  13. 発達特性のある子(ADHD・ASD傾向)との相性
  14. 不登校・行き渋りの子への活用
  15. 会話が減った子・ひきこもり傾向の子への活用
  16. 今日から使える声かけフレーズ集——「やめなさい」の言い換え
  17. 他の選択肢との比較——何を優先するかで選ぶ
  18. 「ゲームを習わせるなんて」という心理的ハードル
  19. 夫婦で意見が割れたときのすり合わせ方
  20. 利用前に親が考えておきたい7つのこと
  21. オンラインの習い事を安全に使うための家庭の準備
  22. 料金と体験会・利用開始までの流れ
  23. 体験会で親がチェックしたい3つのポイント
  24. 合わなかったときの撤退判断
  25. ゲムトレが向かない家庭・向かない状態
  26. 親自身のケアを忘れずに——「ゲーム戦争」の消耗から降りる
  27. ゲームと睡眠——夜のプレイと生活リズムをどう整えるか
  28. よくある質問(FAQ)
  29. 看護師視点でのまとめ——ゲームは敵ではなく、入口にできる
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「ゲームばかりの子」に悩む親が増えている背景

そもそも、なぜ今の子どもたちはこれほどゲームに引き寄せられるのでしょうか。まず押さえておきたいのは、ゲームが子どもたちの「共通言語」になっているという現実です。ひと昔前の放課後の公園の役割を、今はオンラインゲームのボイスチャットが担っています。友だちと放課後に集まる場所が、物理的な空間からゲームの中に移ったのです。

つまり、子どもにとってゲームを取り上げられることは、単に娯楽を失うことではなく、友だちとのつながりを断たれることを意味する場合があります。「ゲームばかりして」と叱ったときの子どもの激しい反発の裏には、「居場所を奪われる」という切実な感覚が隠れていることが少なくありません。

もうひとつの背景は、ゲーム自体の設計です。今のゲームは、少し頑張れば達成できる目標が絶え間なく用意され、達成のたびに報酬がもらえるように作られています。大人でもやめどきを見失う仕組みに、脳の発達途上にある子どもが自力で区切りをつけるのは、そもそもかなり難しい注文です。

ですから、「うちの子は意志が弱いからやめられない」という理解は、半分正しくて半分間違っています。やめにくいように作られたものを、発達途上の自制心で扱っているのですから、大人の想定通りにいかないのはむしろ自然なこと。この前提に立つだけでも、子どもへの声かけはずいぶん変わってきます。

eスポーツとゲーム実況の時代——親世代との「ゲーム観」のずれ

もうひとつ、親子のすれ違いの根っこにあるのが、世代間の「ゲーム観」のずれです。親世代にとってゲームは、テレビの前で遊ぶ娯楽であり、「遊んでばかりいると馬鹿になる」と言われて育った方も多いはずです。ところが子どもたちが生きている現在は、eスポーツの大会が体育館ではなくアリーナで開かれ、ゲーム実況者が子どものなりたい職業の上位に入る時代です。

この変化の是非をここで論じるつもりはありません。ただ、子どもの側から見える景色を知っておくことは、会話の前提として大切です。子どもにとってゲームが上手いことは、親世代における「足が速い」「絵が上手い」と同じ、仲間内で確かに通用する価値です。親が「たかがゲーム」と言うとき、子どもは自分の価値そのものを否定されたように感じている。このずれを埋めないまま時間の交渉だけを続けても、話は平行線になります。

だからといって、親がゲームに詳しくなる必要はありません。必要なのは、「自分には分からない世界だが、この子にとっては大事な世界らしい」という一段引いた敬意です。分からないものを分からないまま尊重する。これは思春期の子育て全般に通じる構えであり、ゲームはその練習台としてうってつけの題材でもあります。

ゲームは本当に「悪」なのか——児童精神科の現場から見える実像

児童思春期精神科の病棟では、ゲームは厄介者として扱われていると思われがちですが、実際の現場感覚は少し違います。もちろん、生活が崩れるほどのめり込んでいる状態は問題です。しかし同時に、ゲームが子どもと大人をつなぐ「橋」になる場面を、私は何度も見てきました。

入院してきたばかりの子どもは、大人への警戒心でいっぱいです。学校でも家庭でも「ゲームばかりして」と否定され続けてきた子ほど、心を閉ざしています。そんな子が唯一、目を輝かせて話してくれる話題がゲームだった、ということは珍しくありません。好きなゲームの話を否定せずに聴いてくれる大人の存在が、信頼関係の最初の一歩になるのです。

ある中学生の男の子は、入院当初、スタッフの問いかけにほとんど返事をしませんでした。ところが、あるスタッフが彼のプレイしていたゲームのキャラクターの名前を口にした瞬間、堰を切ったように話し始めたのです。攻略の工夫、チームでの役割分担、負けたときの悔しさ。その語りの中には、彼の思考力や感情の豊かさがはっきりと表れていました。※個人が特定できないよう複数のケースを合成し、状況を抽象化しています。

ゲームの中で子どもが発揮している力は、実は侮れません。仲間との連携、瞬時の判断、負けても再挑戦する粘り強さ、情報を集めて仮説を立てる力。問題は、その力が「ゲームの外」で認められる機会がほとんどないことです。ここに、後述する「ゲームを習い事にする」という発想が生きる余地があります。

「ゲーム好き」と「ゲーム依存」の境界線

ここで一度、言葉の整理をしておきます。「ゲーム依存」という言葉は日常的に使われますが、医学的にはWHOが「ゲーム障害」という状態を定義しており、単に長時間遊んでいるだけでは該当しません。ポイントは時間の長さそのものではなく、「生活への支障」と「コントロールの喪失」です。

具体的には、食事や睡眠、入浴といった基本的な生活が崩れている、やめようとしても本人がまったくコントロールできない、学業や人間関係など他の活動への興味を完全に失っている、こうした状態が長期間続いているかどうかが目安になります。当てはまるかもしれないと感じたら、習い事や家庭の工夫より先に、児童精神科や自治体の相談窓口につながることを強くおすすめします。

一方で、長時間遊んではいるものの、ご飯には出てくる、好きな話題なら会話もできる、たまには別の活動もする、という状態なら、それは「ゲームが大好きな子」であって、直ちに病的な状態とは言えません。この段階のご家庭にこそ、禁止か放置かの二択ではない工夫の余地があります。ゲーム依存の見極めと対応の全体像は、別記事「子どものゲーム依存・スマホ依存への対応」で詳しく解説していますので、心配が強い方はそちらを先にお読みください。

ゲムトレとは——「ゲームのオンライン家庭教師」という発想

ここからが本題です。ゲムトレは、株式会社ゲムトレが2019年から運営している、日本初をうたう「ゲームのオンライン家庭教師」サービスです。家庭教師と聞くと勉強を教える姿を思い浮かべますが、ゲムトレの先生(トレーナー)が教えるのはゲームそのもの。子どもが大好きなゲームを、上手な大人から習うのです。

「ゲームを習うなんて、ますますのめり込むだけでは」と思われた方、その疑問はもっともです。私も最初に聞いたときは同じことを考えました。しかしサービスの中身を調べていくと、これは単なるゲーム上達教室ではなく、ゲームを入口にした教育プログラムであることが分かってきます。

ゲムトレが公式に掲げているのは、ゲームを通じたコミュニケーション能力の育成、プログラミング的思考の育成、そしてネットリテラシーの指導です。オンライン対戦での暴言やマナーの問題まで、指導の射程に入っています。つまり、親が「ゲームの心配事」として挙げる項目の多くを、正面から扱う設計になっているのです。

レッスンはビデオ通話を使ったオンライン形式で、自宅から受けられます。対象は4歳から高校生まで。形式は最大3人までの少人数グループレッスンが基本で、マンツーマン指導を希望する場合は個別指導専門の「ゲムトレPersonal」も用意されています。人と話すことへの不安が強いお子さんの場合、まず個別から始めるという選び方もできるわけです。

代表は約10年の不登校経験者——運営の背景

サービスを選ぶとき、私が必ず見るのは「誰が、どんな思いで運営しているか」です。ゲムトレの代表・小幡和輝さんは、小中高あわせて約10年間の不登校を経験したことを公表している起業家です。不登校の期間、ゲームに支えられて過ごし、その後18歳で起業。「#不登校は不幸じゃない」という活動の発起人としても知られ、全国で不登校の子どもたちを支援するイベントを重ねてきた方です。

この経歴は、単なる美談として紹介したいのではありません。「ゲームばかりしている不登校の子」を、問題児ではなく可能性のある存在として見るまなざしが、サービスの根っこにあるという点が重要なのです。子どもの好きなものを否定しない大人が運営している。これは、傷つき体験を重ねてきた子どもを預ける先として、無視できない安心材料だと私は考えています。

実績面では、累計のトレーニング回数が3万回を超えていると公式サイトで公表されています(2026年7月時点の公式サイト情報です。最新の数字は公式サイトでご確認ください)。2019年のサービス開始から積み重ねてきた運営歴があり、オンライン指導のノウハウという点でも一定の蓄積があると見てよいでしょう。

ゲムトレで子どもは何を学ぶのか

「ゲームが上手くなる」以外に何が得られるのか。もう少し具体的に見ていきます。まずコミュニケーションの面では、レッスン中にトレーナーや同世代の仲間と、作戦を相談したり結果を振り返ったりするやり取りが発生します。「伝わるように話す」「相手の意図を汲む」という練習が、本人にとっては大好きなゲームの文脈の中で、自然に繰り返されるのです。

次に思考面です。ゲームの上達には、なぜ負けたのかを分析し、次の一手を考えるプロセスが欠かせません。ゲムトレはこれをプログラミング的思考の育成と位置づけています。感覚でボタンを連打していた子が、「こう動いたから、こうなった」と言語化する練習を積む。これは勉強における振り返りの力と、構造がよく似ています。

そしてネットリテラシーです。オンラインゲームでの暴言、知らない人とのやり取り、課金トラブル。親が最も心配する領域ですが、家庭で教えようにも、親自身がゲームの世界をよく知らないため説得力が出にくいのが実情です。ゲームに詳しい大人が「ゲーマーの先輩」として教えるマナーは、親の小言よりはるかに子どもの耳に届きやすい。ここはオンラインの習い事ならではの強みです。

対応ゲームと対象年齢

公式サイトによると、対応タイトルにはMinecraft(マインクラフト)、Fortnite(フォートナイト)、Roblox(ロブロックス)などが挙げられており、その他のゲームについても相談が可能とされています。お子さんが今まさに夢中になっているタイトルで受けられるかどうかは、体験会の申し込み時に確認するのが確実です。

対象年齢は4歳から高校生までと幅広く設定されています。ただし現場感覚で申し添えると、幼児期のお子さんと思春期のお子さんでは、ゲームとの関わり方も、習い事に求めるものもまったく異なります。幼児〜小学校低学年なら「ゲームとの健全な付き合い方の土台作り」、小学校高学年〜中高生なら「好きなことを認められる経験」「同世代とのつながりの回復」と、目的を分けて考えるとよいでしょう。この記事では主に、小学生以上のお子さんを念頭に話を進めます。

年齢別の向き合い方——小学生・中学生・高校生でこう変わる

同じ「ゲームばかり」でも、年齢によって意味も打ち手も変わります。小学生(特に低〜中学年)の場合、ゲームはまだ親子で一緒に楽しめる領域にあります。この時期に「ゲーム=親に隠れてやるもの」にしてしまうと、高学年以降の関わりが一気に難しくなります。ルールを作るにも、罰として取り上げるのではなく、一緒に決めて一緒に守る形を意識してください。ゲムトレのような習い事も、この時期なら「新しい習い事、やってみる?」という軽い誘いで始められます。

中学生になると、ゲームは友人関係と密接に結びつきます。夜のボイスチャットは、大人でいうところの仕事帰りの付き合いに近い社交の場です。この時期の全面禁止は、社交の切断を意味するため、反発が最も激しくなります。打ち手は禁止ではなく交渉と設計。本人を大人扱いして、時間や優先順位を一緒に設計する姿勢が要ります。ゲムトレを提案するなら、「上手くなりたいなら」という本人の向上心をくすぐる切り口が入りやすいでしょう。

高校生では、親が管理できる範囲はさらに狭まります。ここで軸になるのは、管理ではなく相談相手というポジションの確保です。進路の文脈でゲームとの付き合い方を本人が考え始める時期でもあり、「好きなこととどう生きていくか」という対話ができれば十分です。本人が望むなら、ゲムトレの対象は高校生まで含まれていますから、選択肢として情報だけ渡しておく形が現実的です。

精神科看護師視点としての活用法——「会話の回復」の道具として

ここからは、児童思春期精神科の病棟で5年以上働いてきた看護師として、ゲムトレのようなサービスをどう位置づけ、どう活用するのが現実的かをお話しします。結論から言うと、私はこのサービスを「ゲームが上手くなる教室」としてではなく、「親子の会話と子どもの自己肯定感を回復させる道具」として捉えるのが最も理にかなっていると考えています。

病棟で出会う子どもたちの多くは、自己肯定感が深く傷ついています。学校での失敗体験、友人関係のつまずき、そして家庭での「またゲームして」という日々の否定。本人なりに頑張っている唯一の領域まで否定され続けると、子どもは「自分には何もない」と感じるようになります。この状態からの回復には、「好きなことを、大事な人に認めてもらう」体験がどうしても必要です。

以前、ゲームをめぐって毎晩親子げんかになっていたご家庭がありました。お母さんが意を決してゲームを没収したところ、お子さんは激しく荒れ、壁を殴って手を怪我し、親子の会話は完全に途絶えてしまいました。関わりの中で転機になったのは、お母さんが「禁止」をやめ、お子さんのプレイしているゲームを隣で見せてもらい、「それ、どうやったの」と聞くようになったことでした。会話が戻るまで数週間。ゲームの話題は、閉じた扉をもう一度開ける鍵になったのです。※個人が特定できないよう複数のケースを合成し、状況を抽象化しています。

とはいえ、すべての親がゲームの良き聞き手になれるわけではありません。仕事と家事で手一杯の中、興味を持てないゲームの話を毎日聴き続けるのは、正直しんどい。そこで「ゲームを一緒に喜んでくれる大人」を外部に確保する、という発想が出てきます。ゲムトレのトレーナーは、いわば子どもの好きな世界の専属の理解者です。週に一度、自分の得意分野を認めてくれる大人と話す時間があること。それ自体が、傷ついた自己肯定感への処方箋になりえます。

さらに、レッスン後の子どもは「今日こんなことができた」という報告の種を持っています。親は内容が分からなくても構いません。「へえ、教えて」と聞き役に回れば、そこに会話が生まれます。ゲームが親子の対立の火種から、会話の題材に変わる。私がゲムトレに注目する最大の理由は、この構造の転換にあります。

「好き」を認められた子はどう変わるか——現場で見てきた回復の順序

好きなことを認められた子どもがどう変わっていくか。現場で何度も見てきた回復の順序があります。最初に変わるのは表情です。好きな話題を安心して話せる相手ができると、まず顔つきが緩みます。次に変わるのが会話量。好きな領域の話から始まった会話は、少しずつ「今日あったこと」「困っていること」へ広がっていきます。生活リズムや意欲の変化は、その後からついてくる。この順番が逆になることは、ほとんどありません。

小学校高学年のある女の子は、学校に行けなくなってから半年、家族との会話もほぼ失われていました。彼女が唯一続けていたのが、ものづくり系のゲームです。関わりの中で、彼女の作った建築物をスタッフが本気で褒め、作り方を教わる側に回ったところ、彼女は日に日に説明が上手になり、やがて「先生みたいでしょ」と笑うようになりました。教える経験は、教わる経験の何倍も自己肯定感を育てます。数ヶ月後、彼女は別室登校を自分から口にしました。※個人が特定できないよう複数のケースを合成し、状況を抽象化しています。

ゲムトレの文脈で言えば、トレーナーに教わるだけでなく、覚えた技を家族に披露する、友だちに教える、という出口まで見据えておくと、効果は何倍にもなります。レッスンで得たものを認めてもらえる観客がいて、初めて自己肯定感は定着する。親は上手な観客になるだけでいいのです。技術指導は外部の大人に任せ、承認は家庭で担う。この分業が、私の考えるいちばん現実的な活用図です。

誤解のないように補足すると、外部の理解者を確保することは、親の関わりを外注して終わりにすることではありません。むしろ逆で、管理や指導の役割を外に預けた分、親は純粋な聞き役・応援役に回れるようになります。同じ量の関わりでも、役割が変われば親子関係への効き方が変わる。ここがこの仕組みの妙だと感じています。

「ナナメの関係」の力——親でも先生でもない大人が効く理由

ゲムトレのトレーナーの価値を考えるとき、思春期支援の世界でよく使われる「ナナメの関係」という言葉が役に立ちます。タテの関係は親や教師。評価し、指導する立場の大人です。ヨコの関係は同級生や友人。そのどちらでもない、利害関係の薄い年上の存在——親戚のお兄さん、部活のOB、行きつけの店の店主のような人が、ナナメの関係にあたります。

思春期の子どもは、タテの関係の大人には本音を言いません。評価される相手だからです。親に「学校どうだった」と聞かれて「別に」としか答えない子が、たまに会う従兄には悩みを打ち明ける。そんな場面に心当たりのある方も多いでしょう。ナナメの大人の前でだけ、子どもは背伸びも防御もやめられるのです。

地域のつながりが薄れた現代では、このナナメの関係が自然発生する機会そのものが激減しています。習い事の指導者は、意識的にナナメの大人を確保できる数少ないルートです。そしてゲームのトレーナーは、そのなかでも特殊な位置にいます。子どもの得意分野を「教わる価値のあるもの」として扱う大人だからです。宿題の進み具合も成績も聞かずに、今週の上達だけを一緒に喜んでくれる。この気楽さが、タテの関係に疲れた子には何よりの休息になります。

親としては、少し寂しさを感じる話かもしれません。自分には話さないことを、外部のトレーナーには話すかもしれないのですから。しかし、これは親の敗北ではありません。子どもの世界に信頼できる大人が一人増えることは、親の負担がひとつ軽くなることと同義です。すべての役割を親が抱える必要はない。むしろ、抱えないほうが親子関係は健やかに保たれます。

病棟でも、担当の看護師が交代しただけで急に口数が増える子がいます。相性とタイミングの妙は、専門職でも読み切れません。だからこそ、子どもの周りに大人の選択肢を複数用意しておくことに意味があります。ゲムトレはその選択肢を、家庭の外に出ずに一人増やせる仕組みだと捉えることもできるのです。

発達特性のある子(ADHD・ASD傾向)との相性

発達特性のあるお子さんとゲームの相性の良さは、現場でもよく話題になります。ADHD傾向の子にとって、即座に反応が返ってくるゲームは注意を持続しやすい世界ですし、ASD傾向の子にとって、ルールが明確で曖昧さの少ないゲームは安心できる世界です。だからこそのめり込みやすいという難しさと表裏一体なのですが、この「入り込める力」は、適切な枠組みの中では強みに変わります。

ゲムトレのようなレッスン形式が発達特性のある子に向く可能性があるのは、第一に「構造化された時間」だからです。始まりと終わりが決まっており、何をするかが明確。だらだらと際限なく続く自由時間のゲームとは違い、「レッスンの1時間」という枠の中で取り組む経験は、生活にメリハリの軸を一本立てることにつながります。

第二に、対人練習のハードルの低さです。教室に通う習い事では、場所の移動、集団への参加、雑談といった、特性のある子にとって負荷の高い要素が最初から山盛りです。オンラインで、好きなゲームを媒介に、最大3人までの少人数で。この設定は、対人関係の練習台としてかなりスモールステップだと言えます。発達特性のある子の学習面の工夫については「発達障害のある子の勉強法」も参考にしてください。

ただし注意点もあります。感覚過敏で通話の音声がつらい子、予定変更への不安が強い子、負けたときの気持ちの切り替えが極端に難しい子の場合、レッスンそのものがストレス源になる可能性もあります。特性の内容は一人ひとり違いますから、体験会の段階でお子さんの様子をよく観察し、必要なら配慮をお願いできるか率直に相談してみてください。

不登校・行き渋りの子への活用

不登校のお子さんにとってのゲムトレの意味は、さらに大きいかもしれません。学校に行けない期間、子どもの生活から失われるものは学力だけではありません。決まった時間に何かをする生活リズム、家族以外の大人との会話、同世代とのつながり、そして「自分は何かができる」という感覚。この4つが、ゆっくりと痩せ細っていきます。

週1回のオンラインレッスンは、この4つすべてに小さな杭を打ちます。レッスンの日時が決まれば、1週間に1本の柱ができる。トレーナーという家族以外の大人と定期的に話す。グループレッスンなら同世代の音声も聞こえる。そして得意なゲームで「うまい」と認められる。学校復帰という大きな目標から見れば些細に見えますが、回復の初期に必要なのは、まさにこの種の小さな成功体験の積み重ねです。

代表の小幡さん自身が不登校経験者であることは、ここで改めて意味を持ちます。不登校の子がゲムトレを受講している例があることは公式にも紹介されており、「学校に行っていない子が来る場所」として想定内である安心感は、保護者にとっても本人にとっても小さくありません。「不登校であることを説明しなくていい場所」は、思いのほか貴重なのです。

実際、不登校支援の現場では「学校以外の場所で大人と定期的に会えているか」を回復の重要な指標として見ます。それが図書館でも、祖父母の家でも、オンラインのレッスンでも構いません。接点の種類より、定期性と安心感が大事です。週1回のゲムトレは、この指標を満たす選択肢のひとつになりえます。

ひとつだけ釘を刺しておくと、ゲムトレは学校の出席扱いになる類のサービスではありませんし、学習の遅れを直接埋めるものでもありません。学習面の立て直しには不登校専門のオンライン個別指導「ティントル」や「クラスジャパン小中学園」のような選択肢があり、居場所づくりには「フリースクール」があります。ゲムトレはそれらの手前、「外の世界との接点を回復する最初の一歩」として位置づけるのが現実的です。

会話が減った子・ひきこもり傾向の子への活用

不登校とまではいかなくても、「学校には行くけれど、家ではほとんど話さない」「部屋にこもってゲームの音だけが聞こえる」というご相談も、思春期のご家庭からよく受けます。思春期に親との会話が減ること自体は発達の自然な流れですが、家族以外との接点までゲームの中の匿名の相手だけになっている場合は、少し手を打っておきたいところです。

この時期の子に「誰かと話しなさい」と正面から言っても動きません。動くとすれば、本人の興味の延長線上に、敷居の低い接点をそっと置いたときです。「ゲームの先生をつけてみない?」という提案は、勉強や部活の提案と違って本人の得意分野への招待なので、プライドを傷つけずに済みます。断られたら引く。その距離感で提案できるのも、習い事という形の利点です。長期化したひきこもりからの回復過程については「ひきこもり経験者の話」の記事でも書いていますので、あわせてどうぞ。

今日から使える声かけフレーズ集——「やめなさい」の言い換え

サービスの話から少し離れて、今日から家庭で使える声かけを置いておきます。まず、いちばん多い「いつまでやってるの!」。これは「あと何分で区切れそう?」に言い換えられます。命令から質問に変わるだけで、子どもは自分で決める余地をもらえます。ゲームには途中でやめられない場面(対戦中など)があるため、「今すぐ」ではなく「区切り」を尋ねるのが実務的でもあります。

次に「そんなにやって何になるの」。これは禁句に近い一言です。代わりに「そのゲームの何がいちばん面白いの?」と聞いてみてください。答えの中に、その子が今欲しているもの(達成感なのか、仲間なのか、逃げ場なのか)が透けて見えます。答えを評価せず、「へえ、そうなんだ」で受け取るのがコツです。分析や説教を足した瞬間、次から答えてくれなくなります。

そして、勝った・上達した報告をしてきたときの「ふーん、で、宿題は?」。これは会話の芽を摘む代表格です。報告してきたということは、あなたに認めてほしいということ。まず「やるじゃん」と受け取ってから、別の話題は別のタイミングで切り出してください。承認と要求を同じ文に入れないこと。これだけで、親子の会話の空気はかなり変わります。詳しい声かけの原則は「ゲーム・スマホのルール作り7つのコツ」でも扱っています。

他の選択肢との比較——何を優先するかで選ぶ

「ゲームが好きな子」を軸に考えたとき、ご家庭の前には複数の選択肢が並びます。それぞれ目的が違うので、料金の高い安いではなく「今、何を優先したいか」で選ぶのが失敗しないコツです。主な選択肢を整理してみます。

まず、学習の遅れが最大の心配なら、ゲムトレより先に検討すべきは学習支援です。不登校専門のオンライン個別指導「ティントル」、ネットの学校である「クラスジャパン小中学園」、オンラインフリースクールの「aini school」などは、いずれも不登校の子の学びを正面から支える設計です。ゲームはあくまで趣味の位置に置き、学びは学びで立て直す、という役割分担になります。

次に、プログラミング教室という選択肢もあります。マインクラフトを教材にした教室も多く、「ゲーム好き」を「ものづくり」に接続できるのが魅力です。ただし、教室系は通学の負荷があること、そして「ゲームで遊ぶこと」自体は目的でないため、遊ぶ楽しさを認めてほしい段階の子には少し早い場合があります。IT系のものづくり教室については「LITALICOワンダー」を紹介した記事もあります。

ゲムトレの立ち位置は、これらのどれとも少し違います。学習でも、ものづくりでもなく、「今この子が没頭しているゲームそのもの」を扱う。つまり、本人にとって一切の背伸びがいらない唯一の選択肢です。外の世界への信頼を失いかけている子、成功体験が枯渇している子にとって、この「背伸びゼロ」は大きな意味を持ちます。逆に言えば、すでに意欲が回復していて学びに向かえる子なら、学習系サービスのほうが投資対効果は高いでしょう。

なお、勉強への意欲が戻りつつある段階のお子さんには、家庭教師という選択肢もあります。当ブログでは「学研の家庭教師」など不登校の子に対応した家庭教師サービスも紹介していますが、これらは「学びの再開」のフェーズの道具です。まだ意欲の土台が回復していない段階でゲムトレと並行検討するなら、順番としてはゲムトレのような「好きを認める」段階が先、学習支援はその後、と考えると整理しやすいでしょう。

「まずは家庭でできることから」という方は、お金をかける前に、家庭のルール作りを見直すのも立派な選択肢です。「親子で守れるゲーム・スマホのルール作り7つのコツ」に現場で見てきた成功パターンをまとめてありますので、そちらを試してからでも遅くはありません。

「ゲームを習わせるなんて」という心理的ハードル

ここまで読んで、理屈は分かったけれど気持ちがついてこない、という方もいるはずです。「ただでさえゲームばかりなのに、お金を払ってまで習わせるなんて」。この抵抗感は自然なものですし、無理に消す必要もありません。ただ、いくつかの視点を足すと、見え方が変わるかもしれません。

ひとつめは、支出の意味の捉え直しです。ゲムトレへの支払いは「ゲーム代」ではなく、「子どもの好きな世界に、安全な大人を一人配置する費用」です。放置されたゲーム時間と、目的を持った大人が伴走するゲーム時間は、同じ1時間でも中身がまったく違います。ピアノやサッカーを習わせるのと同じで、対象がたまたまゲームだった、というだけのことです。

ふたつめは、世間の目との付き合い方です。祖父母世代や周囲のママ友に「ゲームを習わせている」と言いにくい、という声は当然あるでしょう。無理に理解を求める必要はありません。「オンラインの習い事でコミュニケーションの練習をしている」という説明で十分ですし、実際その通りの中身です。子どもの回復に必要なことと、周囲への説明のしやすさは、切り分けて考えてよいのです。

みっつめは、「ご褒美でゲームを与える」構図との違いです。テストの点数と引き換えにゲーム時間を与えるような取引は、ゲームの価値を親が公認のうえで釣り上げてしまい、長期的にはこじれやすい方法です。ゲムトレはその逆で、ゲームを取引材料から「堂々と取り組む活動」へ格上げします。隠れてやるものではなくなったとき、かえって執着が和らぐ子がいることは、現場でもしばしば経験するところです。

夫婦で意見が割れたときのすり合わせ方

この種のサービスは、夫婦の一方が乗り気でも、もう一方が「甘やかしだ」と反対するケースが非常に多いものです。ゲームへの価値観は世代や自身の経験に強く根ざしているため、正面からの説得はまず成功しません。おすすめは、意見をぶつけ合うのではなく、「観察事実」と「期限」で合意する方法です。

具体的には、こうです。「賛成してとは言わない。ただ、体験会と最初の1〜2ヶ月だけ様子を見せてほしい。その間、子どもの表情、会話の量、生活リズムの3点を一緒に観察して、変化がなければやめる」。反対している側も、「期限付きの実験」なら乗りやすくなります。大切なのは、どちらが正しいかの決着をつけないこと。判断の主語を「私たちの意見」から「子どもの変化」に移すことです。

利用前に親が考えておきたい7つのこと

体験会に申し込む前に、次の7点を整理しておくと、判断がぶれにくくなります。順に見ていきましょう。

第一に、目的の言語化です。「ゲームが上手くなってほしい」のか、「会話を増やしたい」のか、「生活リズムの柱がほしい」のか。目的によって、成果の測り方がまったく変わります。第二に、本人の意思確認です。親が先走って申し込み、本人が「やらされ感」を持つと、せっかくの得意分野が新たな義務に変わってしまいます。提案して、本人が乗ってきたら進める。この順番だけは守ってください。

第三に、時間帯の設計です。レッスンを生活リズムのどこに置くか。昼夜逆転気味の子なら、あえて午前や夕方に置いてリズムの杭にする手もあります。第四に、機材と環境の確認です。オンラインレッスンには安定した通信環境と、本人が落ち着いて話せる場所が必要です。家族の生活音が入る場所しかない場合、本人が嫌がることがあります。

第五に、ゲーム時間全体との関係です。レッスンの1時間は「追加のゲーム時間」なのか、「今あるゲーム時間の一部が置き換わる」のか、家庭の方針を決めておきましょう。個人的には、最初は追加扱いにして本人のメリット感を確保し、軌道に乗ってから全体の時間設計を話し合うのが穏当だと思います。第六に、費用の上限です。月額をいくらまでなら続けられるか、先に夫婦で決めておくと、続けるかやめるかの判断が感情に流されません。

第七に、やめるときのルールです。始める前に「やめ方」を決めておくのは後ろ向きに聞こえますが、逆です。「合わなかったらやめていい」が最初から保証されていると、子どもは安心して挑戦できます。挑戦のハードルを下げるための撤退ルール。これは不登校支援全般に通じる原則です。

オンラインの習い事を安全に使うための家庭の準備

オンラインの習い事全般に言えることとして、始める前の家庭側の準備にも触れておきます。まず通信環境と機材です。レッスン中に回線が不安定だと、子どもは思った以上にストレスを感じ、それだけで嫌になってしまうことがあります。可能なら有線接続か、ルーターの近くで受けられる場所を確保してください。

次に、個人情報の扱いの確認です。オンラインで使う名前(ニックネームでよいか)、カメラのオン・オフ、録画の有無と用途。こうした点を申し込み時に確認しておくと安心です。特に顔出しに抵抗のある子は多いので、カメラオフやアイコン参加が可能かは、本人の安心感に直結します。運営側のルールを本人と一緒に確認する作業自体が、ネットリテラシー教育の実践にもなります。

最後に、家庭内の役割分担です。機材トラブル対応は誰がするか、レッスンの日程管理は本人と親のどちらが持つか。おすすめは、最初の1ヶ月は親が下支えし、慣れてきたら日程管理を本人に移していく形です。「自分の習い事を自分で管理している」という感覚は、それ自体が自律の練習になります。

料金と体験会・利用開始までの流れ

気になる料金です。まず体験会は、1時間の個別トレーニング形式で、料金は税込2,200円。そのまま継続入会する場合、この体験会費用は無料になる仕組みです(2026年7月時点の公式サイト情報)。キャンセルは1週間前まで可能とされています。「まず体験だけ」という使い方が金額的にしやすいのは、判断材料を集めたい親としてはありがたい設計です。

月々のレッスン料金については、プランや回数によって変わるため、公式サイトおよび体験会での案内で最新の情報を確認してください。この記事で不正確な金額をお伝えするより、体験会の場で「うちの子の場合、どのプランが現実的か」を含めて質問するほうが確実です。費用の質問を遠慮する必要はまったくありません。むしろ、続けられる金額かどうかは、先ほどの7つのことでも触れた通り、始める前に必ず確認すべき項目です。

利用開始までの流れはシンプルで、公式サイトから体験会を申し込み、日程を調整し、オンラインで1時間の個別トレーニングを受ける。そのうえで、続けるかどうかを親子で話し合って決める、という順番です。体験会の申し込みは以下の公式ページからできます。

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体験会で親がチェックしたい3つのポイント

体験会は、サービスに評価される場ではなく、こちらが評価する場です。親として見ておきたいポイントは3つあります。ひとつめは、トレーナーが子どもの発言をどう扱うか。上手い下手の指導より先に、子どもの言葉を面白がって聴いてくれるか。ここに、そのトレーナーの子ども観が表れます。

ふたつめは、終わった直後のお子さんの表情です。内容を根掘り葉掘り聞く必要はありません。表情が緩んでいるか、「またやりたい」が出るか。子どもの体は正直です。みっつめは、こちらの質問への対応です。特性への配慮、料金、やめるときの手続き。こうした質問に曖昧さなく答えてくれるかどうかは、運営の誠実さを測る簡単なリトマス紙になります。

合わなかったときの撤退判断

正直に書きます。ゲムトレを始めても、期待した変化が起きないことはありえます。トレーナーとの相性が合わない、グループの雰囲気になじめない、そもそも本人が「ゲームは一人でやりたい派」だった。どれも実際に起こりうることです。そのときは、ためらわずやめてください。

撤退の目安は、始める前に決めた観察項目で判断します。2〜3ヶ月続けて、表情・会話量・生活リズムのどれにも良い変化の芽がなく、本人がレッスンを嫌がるようになったら、それは「このサービスが合わなかった」だけのことです。子どもの失敗でも、親の見立て違いの罪でもありません。「試して、合わなくて、やめた」は、何もしなかったよりずっと前進です。この経験自体が、次の選択肢を選ぶ精度を上げてくれます。

ゲムトレが向かない家庭・向かない状態

信頼していただくために、向かないケースもはっきり書いておきます。まず、前述の通り、ゲーム障害が疑われる状態のお子さんです。生活の崩れが深刻で、本人のコントロールが完全に失われている場合、必要なのは習い事ではなく医療的な支援です。この段階でゲームへの関与をさらに深めることは、私はおすすめしません。まず児童精神科、または自治体の相談窓口へ。

次に、親が「ゲームをやめさせる手段」としてこのサービスに期待している場合です。ゲムトレはゲームとの付き合い方を育てるサービスであって、ゲームを卒業させる矯正プログラムではありません。目的がずれたまま始めると、数ヶ月後に「やめさせるどころか公認になっただけ」と失望することになります。それなら最初から、家庭のルール作りや専門機関への相談のほうが目的に合っています。

また、本人が明確に拒否している場合も、いったん引いてください。「あなたのゲームを認めるよ」というメッセージのはずが、押し付けた瞬間に「ゲームまで管理された」に反転します。提案は一度きり、返事は本人に委ねる。数ヶ月して状況が変われば、本人から言い出すこともあります。種をまいて待つ、で十分です。

費用面の相性もあります。習い事の月謝は、家計にとって毎月の固定費です。無理をして始めると、「高いお金を払っているのに変化がない」という焦りが生まれ、その焦りは必ず子どもに伝わります。家計に余白のある範囲で、期待値も金額も小さく始める。これはどんな支援サービスにも共通する原則です。

親自身のケアを忘れずに——「ゲーム戦争」の消耗から降りる

最後に、お子さんではなく、あなた自身の話をさせてください。毎日のゲームをめぐる攻防は、親のメンタルを静かに削ります。「また言ってしまった」という自己嫌悪と、「言わなければ際限なくやる」という不安の板挟み。この消耗状態で正しい判断を続けるのは、誰であっても無理です。

ゲムトレのような外部サービスの利用は、見方を変えれば「親が監視員の役割から降りる」ための仕組みでもあります。ゲームの管理を巡る緊張の一部を外の大人に預けることで、親子の間に残るのは対立ではなく会話になります。親が楽になることは、手抜きではなく、家庭の回復の前提条件です。連休明けなどにルールが崩れて自己嫌悪に陥りがちな方は「連休明けのゲーム・スマホ問題をリセットする方法」も読んでみてください。崩れたルールは、責めずに立て直せます。

ゲームと睡眠——夜のプレイと生活リズムをどう整えるか

ゲームの悩みと必ずセットで語られるのが睡眠です。夜遅くまでのプレイで朝起きられない、遅刻や欠席が増える、というご相談は後を絶ちません。児童思春期の睡眠は心の安定の土台であり、ここが崩れると、気分の落ち込みも癇癪も一気に増えます。ゲームとの付き合い方を考えることは、実は睡眠を守ることとほとんど同義です。

夜のゲームが特にやめにくいのには理由があります。友だちがオンラインに集まるのが夜だから、です。「9時に切りなさい」という指示は、子どもからすれば「みんなが集まる時間に一人だけ帰れ」という要求に聞こえています。この構造を知ったうえで、切り上げやすい仕組み——対戦の区切りで終える、翌朝の予定を先に決める、充電場所をリビングにする——を本人と一緒に設計するのが現実的な線です。

ここでゲムトレのレッスン枠が、意外な使い方をできることがあります。レッスンを夕方や休日の日中に置くと、「ゲームの本番はレッスンの時間」という重心移動が起こる場合があるのです。夜の長時間プレイの一部が、日中の質の高い1時間に置き換わるなら、睡眠にとっては十分な前進です。もちろん全員に起こる変化ではありませんが、時間帯の設計は親が関与できる数少ないレバーなので、意識して使ってみてください。

すでに昼夜逆転が固定している場合は、ゲームだけを標的にせず、朝の光・食事時間・日中の活動という生活リズム全体から立て直す必要があります。起立性調節障害など体の要因が隠れていることもあるため、朝起きられない状態が続くときは、小児科や思春期外来への相談も並行してください。ゲームは目立つ犯人に見えますが、唯一の犯人とは限りません。

よくある質問(FAQ)

Q1. ゲームを習わせたら、ゲーム時間がさらに増えませんか?

増える可能性はあります。ただし重要なのは総時間より中身です。レッスンの1時間は、大人の伴走がある構造化された時間であり、放置された1時間とは質が違います。また、家庭全体のゲーム時間の設計(レッスンを既存時間と置き換えるか追加にするか)は、始める前に親子で話し合って決めておくことをおすすめします。時間だけを問題にすると、せっかくの取り組みが新たな監視合戦になってしまいます。

Q2. 課金やガチャのトラブルが心配です

課金の心配はゲムトレの有無にかかわらず、家庭で仕組みとして防ぐのが基本です(決済手段を紐づけない、承認制にする等)。その上で、ゲムトレはネットリテラシーの指導を掲げており、お金やマナーの話題をゲームに詳しい大人から学べる機会にもなりえます。「親の説教」より「ゲーマーの先輩の助言」のほうが届く年頃には、外部の大人の存在は意外なほど効きます。

Q3. 対象年齢は何歳からですか?

公式サイトでは4歳から高校生までとされています。ただし、幼児期は発達の個人差が大きく、オンラインでのやり取りが成立するかどうかはお子さんによります。低年齢のお子さんの場合は、体験会で実際の様子を見て判断するのが確実です。年齢が上のお子さん(中高生)は、本人の意思確認を最優先にしてください。

Q4. どんなゲームに対応していますか?

公式サイトではMinecraft、Fortnite、Robloxなどが挙げられており、その他のタイトルも相談可能とされています。お子さんが夢中になっているタイトルで受けられるかどうかが継続の鍵になりますので、体験会の申し込み時に具体的なタイトル名を伝えて確認してください。

Q5. 不登校ですが受講できますか? 出席扱いになりますか?

不登校のお子さんの受講例は公式にも紹介されており、受講自体に問題はありません。ただし、ゲムトレは学校の出席扱いを目的とした教育サービスではありません。出席扱いを重視する場合は、教育委員会や学校と連携できるオンライン学習サービス(クラスジャパン小中学園など)を検討し、学校側と事前に相談してください。役割の違うサービスです。

Q6. 発達障害の診断がある子でも大丈夫ですか?

受講している子の特性は様々と考えられますが、配慮の可否や程度は個別の相談になります。体験会の段階で、お子さんの特性(音への過敏さ、切り替えの難しさ、指示の伝わりやすい形など)を具体的に伝え、対応可能かを率直に確認してください。良い運営ほど、この種の相談への回答が具体的です。なお、医療的な支援が必要な状態かどうかの判断は、主治医や専門機関にご相談ください。

Q7. 体験会では何をしますか? 料金は?

体験会は1時間の個別トレーニングで、料金は税込2,200円です。継続して入会する場合は体験会の料金が無料になる仕組みが案内されています(2026年7月時点)。キャンセルは1週間前まで可能とされています。詳細な進行内容は申し込み時の案内で確認してください。

Q8. 月謝はいくらですか?

月々の料金はプランや回数によって異なるため、この記事では断定的な金額の記載を控えます。最新の料金体系は公式サイトと体験会での案内で必ず確認してください。家計として続けられる上限額を先に決めてから体験会に臨むと、その場の雰囲気に流されず判断できます。

Q9. レッスン中、親は同席したほうがいいですか?

年齢と本人の希望によります。低学年のうちは機材操作のサポートを兼ねて近くにいると安心ですが、思春期の子は親に聞かれていると話せないことが多いものです。同じ部屋にいる必要があるかは体験会で運営に確認しつつ、基本は「本人が話しやすい環境」を最優先にしてください。レッスン後に本人が話したがったら聞く、くらいの距離感が長続きします。

Q10. きょうだいで一緒に受けられますか?

グループレッスンは最大3人までの少人数制ですが、きょうだい受講の可否や料金の扱いは公式情報で明確に確認できていません。希望される場合は、体験会の申し込み時に直接問い合わせてください。なお、きょうだいで一緒に受ける場合も、それぞれの目的(上達したい子と、会話の練習をしたい子)が違うことはよくあるので、個別に考えてあげてください。

Q11. やめたいときはすぐやめられますか?

退会手続きの詳細(締め日、違約金の有無など)は、入会前に必ず確認してください。契約条件は変わることがあるため、この記事では断定を避けます。「やめ方を先に確認する」のは失礼なことではなく、誠実な運営であれば明確に答えてくれるはずです。前述の通り、撤退ルールを先に決めておくことは、子どもの挑戦のハードルを下げることにもつながります。

Q12. ゲーム依存が心配な段階でも利用していいですか?

「心配な段階」の程度によります。生活は保てているが時間が長い、という段階なら、大人の伴走を入れる選択肢として検討の余地があります。一方、食事や睡眠が崩れている、やめられずに本人も苦しんでいる、暴力や金銭トラブルが出ている、という段階では、習い事より先に児童精神科や自治体の相談窓口、依存症相談拠点への相談を優先してください。迷ったら、まず相談機関に現状を話してみることをおすすめします。

今夜これだけ

今夜は「ゲームやめなさい」を一度だけ飲み込んで、代わりに「今どんなゲームやってるの?」と聞いてみてください。返事がそっけなくても大丈夫。その一言が、明日からの会話の種になります。

看護師視点でのまとめ——ゲームは敵ではなく、入口にできる

長い記事をここまで読んでくださり、ありがとうございました。最後に、児童思春期精神科の現場で子どもたちと過ごしてきた看護師として、いちばんお伝えしたいことを書きます。それは、「ゲームばかりの子」の中に見えているのは問題ではなく、その子が今いちばんエネルギーを注げる場所だ、ということです。

エネルギーを注げる場所があるのは、回復の資源です。病棟で出会う子どもたちを見ていても、好きなものが残っている子は、そこを足がかりに立ち上がっていきます。親にできるのは、その足がかりを壊さずに、安全な形に整えてあげること。ゲムトレのようなサービスは、そのための道具のひとつです。道具ですから、合うなら使えばいいし、合わなければ手放せばいい。

体験会は1時間2,200円。この金額で、「うちの子の好きな世界に、味方の大人を置いたらどうなるか」の実験ができます。焦って決める必要はありません。この記事の「7つのこと」を整理して、お子さんに一度だけ提案してみて、本人が乗ってきたら試してみる。その順番さえ守れば、大きな失敗にはならないはずです。

ゲムトレの体験会の申し込み・詳細確認はこちらの公式ページからどうぞ。

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【医療に関する免責事項】

本記事は、児童思春期精神科での看護経験に基づいた一般的な情報提供を目的としています。医療行為・診断・治療の代わりとなるものではありません。お子さんの心身の状態にご不安がある場合は、必ず主治医・かかりつけ医・スクールカウンセラー・地域の相談窓口など、お子さまを直接見ることのできる専門家にご相談ください。詳細は免責事項をご確認ください。

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出典:厚生労働省「まもろうよ こころ」(2026年7月確認)
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