ゲームばかりの子に「ゲムトレ」という選択肢|ゲームのオンライン家庭教師を看護師が解説【児童精神科看護師】

ゲームばかりの子に「ゲムトレ」という選択肢 不登校

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この記事の要点

  • ゲームを「取り上げる」対応は親子関係を壊しやすく、現場でも失敗例が多い
  • ゲムトレはゲームを習い事に変える発想。会話と自己肯定感の入口になりうる
  • 体験会は1時間2,200円(継続時無料)。合わなければやめてよい
  • ゲーム障害が疑われる段階なら習い事より先に医療機関へ相談を

「うちの子、ゲームばかりで大丈夫なんでしょうか」。児童思春期精神科の病棟で働いていると、面会に来られた保護者の方からこの質問を受けない週はほとんどありません。学校に行けていない子も、行けているけれど家では部屋にこもりがちな子も、その手元にはたいていゲーム機かスマホがあります。

この記事では、2018年4月から看護師として勤務し(2か月のブランクあり)、2021年4月から児童思春期精神科病棟で働いてきた立場から、「ゲームばかりの子」への向き合い方を整理したうえで、少し変わった選択肢をひとつご紹介します。ゲームのオンライン家庭教師「ゲムトレ」です。ゲームを禁止するのでも放置するのでもなく、「習い事」として大人と一緒に取り組む、という第三の道です。

先にお伝えしておくと、ゲムトレは万能薬ではありませんし、すべてのご家庭に向くサービスでもありません。良い面だけでなく、向かないケースや利用前に考えておいてほしいことも正直に書きます。なお、私は医師ではないため、診断や治療にかかわる判断には踏み込みません。生活への支障が大きいと感じる場合は、必ず医療機関や専門の相談窓口につながってください。

「ゲームばかりの子」に悩む親が増えている背景

まず押さえておきたいのは、ゲームが子どもたちの「共通言語」になっているという現実です。ひと昔前の放課後の公園の役割を、今はオンラインゲームのボイスチャットが担っています。

つまり、子どもにとってゲームを取り上げられることは、単に娯楽を失うことではなく、友だちとのつながりを断たれることを意味する場合があります。「ゲームばかりして」と叱ったときの激しい反発の裏には、「居場所を奪われる」という切実な感覚が隠れていることが少なくありません。

もうひとつの背景は、ゲーム自体の設計です。大人でもやめどきを見失う仕組みに、脳の発達途上にある子どもが自力で区切りをつけるのは、そもそもかなり難しい注文です。「うちの子は意志が弱いからやめられない」という理解は、半分正しくて半分間違っています。やめにくいように作られたものを、発達途上の自制心で扱っているのですから、大人の想定通りにいかないのはむしろ自然なこと。

親世代との「ゲーム観」のずれ

親世代にとってゲームは「遊んでばかりいると馬鹿になる」と言われて育った娯楽です。ところが子どもたちが生きている現在は、eスポーツの大会がアリーナで開かれ、ゲーム実況者が子どものなりたい職業の上位に入る時代です。

子どもにとってゲームが上手いことは、親世代における「足が速い」「絵が上手い」と同じ、仲間内で確かに通用する価値です。親が「たかがゲーム」と言うとき、子どもは自分の価値そのものを否定されたように感じている。このずれを埋めないまま時間の交渉だけを続けても、話は平行線になります。

だからといって、親がゲームに詳しくなる必要はありません。必要なのは、「自分には分からない世界だが、この子にとっては大事な世界らしい」という一段引いた敬意です。分からないものを分からないまま尊重する。これは思春期の子育て全般に通じる構えです。

ゲームは本当に「悪」なのか——現場から見える実像

児童思春期精神科の病棟では、ゲームは厄介者として扱われていると思われがちですが、実際の現場感覚は少し違います。ゲームが子どもと大人をつなぐ「橋」になる場面を、私は何度も見てきました。

入院してきたばかりの子どもは、大人への警戒心でいっぱいです。学校でも家庭でも「ゲームばかりして」と否定され続けてきた子ほど、心を閉ざしています。そんな子が唯一、目を輝かせて話してくれる話題がゲームだった、ということは珍しくありません。

ある中学生の男の子は、入院当初ほとんど返事をしませんでした。ところが、あるスタッフが彼のプレイしていたゲームのキャラクターの名前を口にした瞬間、堰を切ったように話し始めたのです。攻略の工夫、チームでの役割分担、負けたときの悔しさ。その語りの中には、彼の思考力や感情の豊かさがはっきりと表れていました。(※個人が特定できないよう複数のケースを合成し、状況を抽象化しています)

ゲームの中で子どもが発揮している力は、実は侮れません。仲間との連携、瞬時の判断、負けても再挑戦する粘り強さ、情報を集めて仮説を立てる力。問題は、その力が「ゲームの外」で認められる機会がほとんどないことです。

「ゲーム好き」と「ゲーム依存」の境界線

「ゲーム依存」という言葉は日常的に使われますが、医学的にはWHOが「ゲーム障害」という状態を定義しており、単に長時間遊んでいるだけでは該当しません。ポイントは時間の長さそのものではなく、「生活への支障」と「コントロールの喪失」です。

具体的には、食事や睡眠、入浴といった基本的な生活が崩れている、やめようとしても本人がまったくコントロールできない、他の活動への興味を完全に失っている——こうした状態が長期間続いているかどうかが目安です。当てはまるかもしれないと感じたら、習い事や家庭の工夫より先に、児童精神科や自治体の相談窓口につながることを強くおすすめします。

一方で、長時間遊んではいるものの、ご飯には出てくる、好きな話題なら会話もできる、たまには別の活動もする、という状態なら、それは「ゲームが大好きな子」であって、直ちに病的な状態とは言えません。この段階のご家庭にこそ、禁止か放置かの二択ではない工夫の余地があります。心配が強い方は子どものゲーム依存・スマホ依存への対応を先にお読みください。

ゲムトレとは——「ゲームのオンライン家庭教師」という発想

ゲムトレは、株式会社ゲムトレが2019年から運営している、日本初をうたう「ゲームのオンライン家庭教師」サービスです。家庭教師と聞くと勉強を教える姿を思い浮かべますが、ゲムトレの先生(トレーナー)が教えるのはゲームそのもの。

「ゲームを習うなんて、ますますのめり込むだけでは」——その疑問はもっともです。しかしサービスの中身を調べていくと、これは単なるゲーム上達教室ではなく、ゲームを入口にした教育プログラムであることが分かってきます。公式に掲げているのは、ゲームを通じたコミュニケーション能力の育成、プログラミング的思考の育成、そしてネットリテラシーの指導。オンライン対戦での暴言やマナーの問題まで、指導の射程に入っています。

レッスンはビデオ通話を使ったオンライン形式で、自宅から受けられます。対象は4歳から高校生まで。最大3人までの少人数グループレッスンが基本で、マンツーマン指導を希望する場合は個別指導専門の「ゲムトレPersonal」も用意されています。人と話すことへの不安が強いお子さんの場合、まず個別から始めるという選び方もできます。

代表は約10年の不登校経験者

ゲムトレの代表・小幡和輝さんは、小中高あわせて約10年間の不登校を経験したことを公表している起業家です。不登校の期間、ゲームに支えられて過ごし、その後18歳で起業。「#不登校は不幸じゃない」という活動の発起人としても知られています。

この経歴は、単なる美談として紹介したいのではありません。「ゲームばかりしている不登校の子」を、問題児ではなく可能性のある存在として見るまなざしが、サービスの根っこにあるという点が重要なのです。実績面では、累計のトレーニング回数が3万回を超えていると公表されています(2026年7月時点の公式サイト情報。最新の数字は公式サイトでご確認ください)。

何を学ぶのか/対応ゲームと対象年齢

  • コミュニケーション——トレーナーや同世代の仲間と、作戦を相談したり結果を振り返ったりするやり取りが発生します。「伝わるように話す」「相手の意図を汲む」練習が、大好きなゲームの文脈の中で自然に繰り返されます
  • 思考面——なぜ負けたのかを分析し、次の一手を考えるプロセス。感覚でボタンを連打していた子が、「こう動いたから、こうなった」と言語化する練習を積む。勉強における振り返りの力と構造がよく似ています
  • ネットリテラシー——親が最も心配する領域ですが、親自身がゲームの世界をよく知らないため説得力が出にくいのが実情。ゲームに詳しい大人が「ゲーマーの先輩」として教えるマナーは、親の小言よりはるかに子どもの耳に届きやすい

対応タイトルにはMinecraft、Fortnite、Robloxなどが挙げられ、その他のゲームも相談可能とされています。お子さんが今まさに夢中になっているタイトルで受けられるかは、体験会の申し込み時に確認するのが確実です。

年齢別の向き合い方

小学生(特に低〜中学年)——ゲームはまだ親子で一緒に楽しめる領域にあります。この時期に「ゲーム=親に隠れてやるもの」にしてしまうと、高学年以降の関わりが一気に難しくなります。ルールを作るにも、罰として取り上げるのではなく、一緒に決めて一緒に守る形を。習い事も「新しい習い事、やってみる?」という軽い誘いで始められます。

中学生——ゲームは友人関係と密接に結びつきます。夜のボイスチャットは、大人でいうところの仕事帰りの付き合いに近い社交の場。この時期の全面禁止は、社交の切断を意味するため、反発が最も激しくなります。打ち手は禁止ではなく交渉と設計。提案するなら、「上手くなりたいなら」という本人の向上心をくすぐる切り口が入りやすいでしょう。

高校生——親が管理できる範囲はさらに狭まります。軸になるのは、管理ではなく相談相手というポジションの確保です。「好きなこととどう生きていくか」という対話ができれば十分。本人が望むなら、選択肢として情報だけ渡しておく形が現実的です。

精神科看護師視点——「会話の回復」の道具として

結論から言うと、私はこのサービスを「ゲームが上手くなる教室」としてではなく、「親子の会話と子どもの自己肯定感を回復させる道具」として捉えるのが最も理にかなっていると考えています。

病棟で出会う子どもたちの多くは、自己肯定感が深く傷ついています。学校での失敗体験、友人関係のつまずき、そして家庭での「またゲームして」という日々の否定。本人なりに頑張っている唯一の領域まで否定され続けると、子どもは「自分には何もない」と感じるようになります。この状態からの回復には、「好きなことを、大事な人に認めてもらう」体験がどうしても必要です。

以前、ゲームをめぐって毎晩親子げんかになっていたご家庭がありました。お母さんが意を決してゲームを没収したところ、お子さんは激しく荒れ、壁を殴って手を怪我し、会話は完全に途絶えました。転機になったのは、お母さんが「禁止」をやめ、プレイしているゲームを隣で見せてもらい、「それ、どうやったの」と聞くようになったことでした。会話が戻るまで数週間。ゲームの話題は、閉じた扉をもう一度開ける鍵になったのです。(※複数のケースを合成し、状況を抽象化しています)

とはいえ、すべての親がゲームの良き聞き手になれるわけではありません。そこで「ゲームを一緒に喜んでくれる大人」を外部に確保するという発想が出てきます。週に一度、自分の得意分野を認めてくれる大人と話す時間があること。それ自体が、傷ついた自己肯定感への処方箋になりえます。

さらに、レッスン後の子どもは「今日こんなことができた」という報告の種を持っています。親は内容が分からなくても構いません。「へえ、教えて」と聞き役に回れば、そこに会話が生まれます。ゲームが親子の対立の火種から、会話の題材に変わる。私がゲムトレに注目する最大の理由は、この構造の転換にあります。

「好き」を認められた子はどう変わるか

現場で何度も見てきた回復の順序があります。最初に変わるのは表情。好きな話題を安心して話せる相手ができると、まず顔つきが緩みます。次に変わるのが会話量。好きな領域の話から始まった会話は、少しずつ「今日あったこと」「困っていること」へ広がっていきます。生活リズムや意欲の変化は、その後からついてくる。この順番が逆になることは、ほとんどありません。

小学校高学年のある女の子は、学校に行けなくなってから半年、家族との会話もほぼ失われていました。唯一続けていたのが、ものづくり系のゲーム。彼女の作った建築物をスタッフが本気で褒め、作り方を教わる側に回ったところ、日に日に説明が上手になり、やがて「先生みたいでしょ」と笑うようになりました。教える経験は、教わる経験の何倍も自己肯定感を育てます。数ヶ月後、彼女は別室登校を自分から口にしました。(※複数のケースを合成しています)

トレーナーに教わるだけでなく、覚えた技を家族に披露する、友だちに教える、という出口まで見据えておくと、効果は何倍にもなります。技術指導は外部の大人に任せ、承認は家庭で担う。この分業が、私の考えるいちばん現実的な活用図です。

「ナナメの関係」の力

思春期支援の世界でよく使われる「ナナメの関係」という言葉が役に立ちます。タテの関係は親や教師(評価し、指導する立場)。ヨコの関係は同級生。そのどちらでもない、利害関係の薄い年上の存在——親戚のお兄さん、部活のOB、行きつけの店の店主のような人が、ナナメの関係にあたります。

親に「学校どうだった」と聞かれて「別に」としか答えない子が、たまに会う従兄には悩みを打ち明ける。ナナメの大人の前でだけ、子どもは背伸びも防御もやめられるのです。地域のつながりが薄れた現代では、この関係が自然発生する機会そのものが激減しています。

ゲームのトレーナーは、そのなかでも特殊な位置にいます。子どもの得意分野を「教わる価値のあるもの」として扱う大人だからです。宿題の進み具合も成績も聞かずに、今週の上達だけを一緒に喜んでくれる。この気楽さが、タテの関係に疲れた子には何よりの休息になります。

自分には話さないことを外部のトレーナーには話すかもしれない——親としては少し寂しい話かもしれません。しかし、これは親の敗北ではありません。子どもの世界に信頼できる大人が一人増えることは、親の負担がひとつ軽くなることと同義です。

発達特性・不登校・ひきこもり傾向の子への活用

発達特性のある子(ADHD・ASD傾向)——ADHD傾向の子にとって即座に反応が返ってくるゲームは注意を持続しやすい世界ですし、ASD傾向の子にとってルールが明確なゲームは安心できる世界です。この「入り込める力」は、適切な枠組みの中では強みに変わります。

レッスン形式が向く可能性があるのは、第一に「構造化された時間」だから。だらだらと際限なく続く自由時間のゲームとは違い、「レッスンの1時間」という枠は、生活にメリハリの軸を一本立てることにつながります。第二に対人練習のハードルの低さ。オンラインで、好きなゲームを媒介に、最大3人までの少人数で——対人関係の練習台としてかなりスモールステップです。学習面の工夫については発達障害のある子の勉強法も参考にしてください。

ただし注意点も。感覚過敏で通話の音声がつらい子、予定変更への不安が強い子、負けたときの気持ちの切り替えが極端に難しい子の場合、レッスンそのものがストレス源になる可能性もあります。体験会の段階でお子さんの様子をよく観察し、必要なら配慮をお願いできるか率直に相談してみてください。

不登校・行き渋りの子への活用

学校に行けない期間、子どもの生活から失われるものは学力だけではありません。決まった時間に何かをする生活リズム、家族以外の大人との会話、同世代とのつながり、そして「自分は何かができる」という感覚。この4つが、ゆっくりと痩せ細っていきます。

週1回のオンラインレッスンは、この4つすべてに小さな杭を打ちます。レッスンの日時が決まれば、1週間に1本の柱ができる。家族以外の大人と定期的に話す。グループレッスンなら同世代の音声も聞こえる。そして得意なゲームで「うまい」と認められる。回復の初期に必要なのは、まさにこの種の小さな成功体験の積み重ねです。

不登校支援の現場では「学校以外の場所で大人と定期的に会えているか」を回復の重要な指標として見ます。接点の種類より、定期性と安心感が大事です。また、「不登校であることを説明しなくていい場所」は、思いのほか貴重なのです。

ひとつだけ釘を刺しておくと、ゲムトレは学校の出席扱いになる類のサービスではありませんし、学習の遅れを直接埋めるものでもありません。学習面の立て直しにはティントルクラスジャパン小中学園のような選択肢があり、居場所づくりにはフリースクールがあります。ゲムトレはそれらの手前、「外の世界との接点を回復する最初の一歩」として位置づけるのが現実的です。

会話が減った子・ひきこもり傾向の子にも、同じ発想が使えます。この時期の子に「誰かと話しなさい」と正面から言っても動きません。動くとすれば、本人の興味の延長線上に、敷居の低い接点をそっと置いたときです。「ゲームの先生をつけてみない?」という提案は、本人の得意分野への招待なので、プライドを傷つけずに済みます。断られたら引く。長期化したひきこもりからの回復過程についてはひきこもり経験者の話もどうぞ。

今日から使える声かけフレーズ集

  • 「いつまでやってるの!」「あと何分で区切れそう?」/命令から質問に変わるだけで、子どもは自分で決める余地をもらえます。ゲームには途中でやめられない場面(対戦中など)があるため、「今すぐ」ではなく「区切り」を尋ねるのが実務的です
  • 「そんなにやって何になるの」「そのゲームの何がいちばん面白いの?」/答えの中に、その子が今欲しているもの(達成感か、仲間か、逃げ場か)が透けて見えます。分析や説教を足した瞬間、次から答えてくれなくなります
  • 「ふーん、で、宿題は?」まず「やるじゃん」と受け取ってから、別の話題は別のタイミングで/報告してきたということは、認めてほしいということ。承認と要求を同じ文に入れないこと。これだけで会話の空気はかなり変わります

詳しい声かけの原則はゲーム・スマホのルール作り7つのコツでも扱っています。

他の選択肢との比較——何を優先するかで選ぶ

それぞれ目的が違うので、料金の高い安いではなく「今、何を優先したいか」で選ぶのが失敗しないコツです。

学習の遅れが最大の心配なら、ゲムトレより先に検討すべきは学習支援です。ティントルクラスジャパン小中学園aini schoolなどは、いずれも不登校の子の学びを正面から支える設計です。ゲームはあくまで趣味の位置に置き、学びは学びで立て直す、という役割分担になります。

プログラミング教室という選択肢もあります。マインクラフトを教材にした教室も多く、「ゲーム好き」を「ものづくり」に接続できるのが魅力。ただし教室系は通学の負荷があり、「ゲームで遊ぶこと」自体は目的でないため、遊ぶ楽しさを認めてほしい段階の子には少し早い場合があります。

ゲムトレの立ち位置は、これらのどれとも少し違います。学習でも、ものづくりでもなく、「今この子が没頭しているゲームそのもの」を扱う。つまり本人にとって一切の背伸びがいらない唯一の選択肢です。外の世界への信頼を失いかけている子、成功体験が枯渇している子にとって、この「背伸びゼロ」は大きな意味を持ちます。逆に言えば、すでに意欲が回復していて学びに向かえる子なら、学習系サービスのほうが投資対効果は高いでしょう。

勉強への意欲が戻りつつある段階のお子さんには、学研の家庭教師など家庭教師という選択肢も。順番としてはゲムトレのような「好きを認める」段階が先、学習支援はその後、と考えると整理しやすいでしょう。お金をかける前に、家庭のルール作りを見直すのも立派な選択肢です——親子で守れるゲーム・スマホのルール作り7つのコツを試してからでも遅くはありません。

「ゲームを習わせるなんて」という心理的ハードル

理屈は分かったけれど気持ちがついてこない、という方もいるはずです。この抵抗感は自然なものですし、無理に消す必要もありません。ただ、いくつかの視点を足すと、見え方が変わるかもしれません。

  • 支出の意味の捉え直し——ゲムトレへの支払いは「ゲーム代」ではなく、「子どもの好きな世界に、安全な大人を一人配置する費用」です。放置されたゲーム時間と、目的を持った大人が伴走するゲーム時間は、同じ1時間でも中身がまったく違います
  • 世間の目との付き合い方——「オンラインの習い事でコミュニケーションの練習をしている」という説明で十分ですし、実際その通りの中身です。子どもの回復に必要なことと、周囲への説明のしやすさは、切り分けて考えてよいのです
  • 「ご褒美でゲームを与える」構図との違い——点数と引き換えにゲーム時間を与える取引は、ゲームの価値を親が公認のうえで釣り上げてしまいます。ゲムトレはその逆で、ゲームを取引材料から「堂々と取り組む活動」へ格上げします。隠れてやるものではなくなったとき、かえって執着が和らぐ子がいることは、現場でもしばしば経験するところです

夫婦で意見が割れたときは、正面からの説得はまず成功しません。おすすめは、「観察事実」と「期限」で合意する方法です。「賛成してとは言わない。ただ、体験会と最初の1〜2ヶ月だけ様子を見せてほしい。その間、子どもの表情、会話の量、生活リズムの3点を一緒に観察して、変化がなければやめる」。大切なのは、どちらが正しいかの決着をつけないこと。判断の主語を「私たちの意見」から「子どもの変化」に移すことです。

利用前に親が考えておきたい7つのこと

  • ① 目的の言語化——「ゲームが上手くなってほしい」のか、「会話を増やしたい」のか、「生活リズムの柱がほしい」のか。目的によって、成果の測り方がまったく変わります
  • ② 本人の意思確認——親が先走って申し込み、本人が「やらされ感」を持つと、せっかくの得意分野が新たな義務に変わってしまいます。提案して、本人が乗ってきたら進める。この順番だけは守ってください
  • ③ 時間帯の設計——昼夜逆転気味の子なら、あえて午前や夕方に置いてリズムの杭にする手もあります
  • ④ 機材と環境の確認——安定した通信環境と、本人が落ち着いて話せる場所。家族の生活音が入る場所しかない場合、本人が嫌がることがあります
  • ⑤ ゲーム時間全体との関係——レッスンの1時間は「追加」なのか「置き換え」なのか。最初は追加扱いにして本人のメリット感を確保し、軌道に乗ってから全体の時間設計を話し合うのが穏当です
  • ⑥ 費用の上限——月額をいくらまでなら続けられるか、先に夫婦で決めておくと、続けるかやめるかの判断が感情に流されません
  • ⑦ やめるときのルール——「合わなかったらやめていい」が最初から保証されていると、子どもは安心して挑戦できます。挑戦のハードルを下げるための撤退ルール。これは不登校支援全般に通じる原則です

オンラインの習い事を安全に使うための準備

通信環境と機材——回線が不安定だと、子どもは思った以上にストレスを感じ、それだけで嫌になってしまうことがあります。可能なら有線接続か、ルーターの近くで受けられる場所を確保してください。

個人情報の扱い——オンラインで使う名前(ニックネームでよいか)、カメラのオン・オフ、録画の有無と用途。顔出しに抵抗のある子は多いので、カメラオフやアイコン参加が可能かは、本人の安心感に直結します。運営側のルールを本人と一緒に確認する作業自体が、ネットリテラシー教育の実践にもなります。

家庭内の役割分担——おすすめは、最初の1ヶ月は親が下支えし、慣れてきたら日程管理を本人に移していく形。「自分の習い事を自分で管理している」という感覚は、それ自体が自律の練習になります。

料金と体験会・利用開始までの流れ

体験会は、1時間の個別トレーニング形式で、料金は税込2,200円。そのまま継続入会する場合、この体験会費用は無料になる仕組みです(2026年7月時点の公式サイト情報)。キャンセルは1週間前まで可能とされています。

月々のレッスン料金については、プランや回数によって変わるため、公式サイトおよび体験会での案内で最新の情報を確認してください。費用の質問を遠慮する必要はまったくありません。

流れはシンプルで、公式サイトから体験会を申し込み、日程を調整し、オンラインで1時間の個別トレーニングを受ける。そのうえで、続けるかどうかを親子で話し合って決める、という順番です。体験会の申し込みは以下の公式ページからできます。

👉 ゲームのオンライン家庭教師「ゲムトレ」体験会の申し込み・詳細はこちら

体験会で親がチェックしたい3つのポイント

体験会は、サービスに評価される場ではなく、こちらが評価する場です。

  • トレーナーが子どもの発言をどう扱うか——上手い下手の指導より先に、子どもの言葉を面白がって聴いてくれるか。ここに、そのトレーナーの子ども観が表れます
  • 終わった直後のお子さんの表情——内容を根掘り葉掘り聞く必要はありません。表情が緩んでいるか、「またやりたい」が出るか。子どもの体は正直です
  • こちらの質問への対応——特性への配慮、料金、やめるときの手続き。曖昧さなく答えてくれるかどうかは、運営の誠実さを測る簡単なリトマス紙になります

合わなかったときの撤退判断

正直に書きます。ゲムトレを始めても、期待した変化が起きないことはありえます。トレーナーとの相性が合わない、グループの雰囲気になじめない、そもそも本人が「ゲームは一人でやりたい派」だった。そのときは、ためらわずやめてください。

撤退の目安は、始める前に決めた観察項目で判断します。2〜3ヶ月続けて、表情・会話量・生活リズムのどれにも良い変化の芽がなく、本人がレッスンを嫌がるようになったら、それは「このサービスが合わなかった」だけのことです。「試して、合わなくて、やめた」は、何もしなかったよりずっと前進です。

ゲムトレが向かない家庭・向かない状態

信頼していただくために、向かないケースもはっきり書いておきます。

  • ゲーム障害が疑われる状態——生活の崩れが深刻で、本人のコントロールが完全に失われている場合、必要なのは習い事ではなく医療的な支援です。この段階でゲームへの関与をさらに深めることは、私はおすすめしません。まず児童精神科、または自治体の相談窓口へ
  • 親が「ゲームをやめさせる手段」として期待している場合——ゲムトレはゲームとの付き合い方を育てるサービスであって、ゲームを卒業させる矯正プログラムではありません。目的がずれたまま始めると、数ヶ月後に失望することになります
  • 本人が明確に拒否している場合——「あなたのゲームを認めるよ」というメッセージのはずが、押し付けた瞬間に「ゲームまで管理された」に反転します。提案は一度きり、返事は本人に委ねる。種をまいて待つ、で十分です
  • 費用面の相性——無理をして始めると、「高いお金を払っているのに変化がない」という焦りが生まれ、その焦りは必ず子どもに伝わります。家計に余白のある範囲で、期待値も金額も小さく始める

親自身のケアを忘れずに

最後に、お子さんではなく、あなた自身の話をさせてください。毎日のゲームをめぐる攻防は、親のメンタルを静かに削ります。「また言ってしまった」という自己嫌悪と、「言わなければ際限なくやる」という不安の板挟み。この消耗状態で正しい判断を続けるのは、誰であっても無理です。

外部サービスの利用は、見方を変えれば「親が監視員の役割から降りる」ための仕組みでもあります。親が楽になることは、手抜きではなく、家庭の回復の前提条件です。連休明けなどにルールが崩れて自己嫌悪に陥りがちな方は連休明けのゲーム・スマホ問題をリセットする方法も読んでみてください。崩れたルールは、責めずに立て直せます。

ゲームと睡眠——夜のプレイと生活リズム

児童思春期の睡眠は心の安定の土台であり、ここが崩れると、気分の落ち込みも癇癪も一気に増えます。ゲームとの付き合い方を考えることは、実は睡眠を守ることとほとんど同義です。

夜のゲームが特にやめにくいのには理由があります。友だちがオンラインに集まるのが夜だからです。「9時に切りなさい」という指示は、子どもからすれば「みんなが集まる時間に一人だけ帰れ」という要求に聞こえています。この構造を知ったうえで、対戦の区切りで終える、翌朝の予定を先に決める、充電場所をリビングにする——切り上げやすい仕組みを本人と一緒に設計するのが現実的です。

ここでレッスン枠が意外な使い方をできることがあります。レッスンを夕方や休日の日中に置くと、「ゲームの本番はレッスンの時間」という重心移動が起こる場合があるのです。夜の長時間プレイの一部が日中の質の高い1時間に置き換わるなら、睡眠にとっては十分な前進です。時間帯の設計は親が関与できる数少ないレバーなので、意識して使ってみてください。

すでに昼夜逆転が固定している場合は、ゲームだけを標的にせず、朝の光・食事時間・日中の活動という生活リズム全体から立て直す必要があります。起立性調節障害など体の要因が隠れていることもあるため、朝起きられない状態が続くときは、小児科や思春期外来への相談も並行してください。ゲームは目立つ犯人に見えますが、唯一の犯人とは限りません。

よくある質問

Q1. ゲームを習わせたら、ゲーム時間がさらに増えませんか

増える可能性はあります。ただし重要なのは総時間より中身です。レッスンの1時間は、大人の伴走がある構造化された時間であり、放置された1時間とは質が違います。家庭全体のゲーム時間の設計は、始める前に親子で話し合って決めておくことをおすすめします。時間だけを問題にすると、せっかくの取り組みが新たな監視合戦になってしまいます。

Q2. 課金やガチャのトラブルが心配です

課金の心配はゲムトレの有無にかかわらず、家庭で仕組みとして防ぐのが基本です(決済手段を紐づけない、承認制にする等)。その上で、ゲムトレはネットリテラシーの指導を掲げており、「親の説教」より「ゲーマーの先輩の助言」のほうが届く年頃には、外部の大人の存在は意外なほど効きます。

Q3. 対象年齢は何歳からですか/どんなゲームに対応していますか

公式サイトでは4歳から高校生までとされています。ただし低年齢のお子さんは体験会で実際の様子を見て判断するのが確実。年齢が上のお子さん(中高生)は、本人の意思確認を最優先にしてください。対応タイトルはMinecraft、Fortnite、Robloxなどで、その他も相談可能とされています。お子さんが夢中になっているタイトルで受けられるかどうかが継続の鍵になりますので、申し込み時に具体的なタイトル名を伝えて確認を。

Q4. 不登校ですが受講できますか。出席扱いになりますか

受講自体に問題はありません。ただし、ゲムトレは学校の出席扱いを目的とした教育サービスではありません。出席扱いを重視する場合は、教育委員会や学校と連携できるオンライン学習サービス(クラスジャパン小中学園など)を検討し、学校側と事前に相談してください。役割の違うサービスです。

Q5. 発達障害の診断がある子でも大丈夫ですか

配慮の可否や程度は個別の相談になります。体験会の段階で、お子さんの特性(音への過敏さ、切り替えの難しさ、指示の伝わりやすい形など)を具体的に伝え、対応可能かを率直に確認してください。良い運営ほど、この種の相談への回答が具体的です。医療的な支援が必要な状態かどうかの判断は、主治医や専門機関にご相談ください。

Q6. 体験会では何をしますか。料金と月謝は

体験会は1時間の個別トレーニングで、料金は税込2,200円。継続入会する場合は無料になる仕組みが案内されています(2026年7月時点)。キャンセルは1週間前まで可能。月々の料金はプランや回数によって異なるため、最新の料金体系は公式サイトと体験会での案内で必ず確認してください。家計として続けられる上限額を先に決めてから体験会に臨むと、その場の雰囲気に流されず判断できます。

Q7. レッスン中、親は同席したほうがいいですか

年齢と本人の希望によります。低学年のうちは機材操作のサポートを兼ねて近くにいると安心ですが、思春期の子は親に聞かれていると話せないことが多いものです。基本は「本人が話しやすい環境」を最優先に。レッスン後に本人が話したがったら聞く、くらいの距離感が長続きします。

Q8. きょうだいで一緒に受けられますか

グループレッスンは最大3人までの少人数制ですが、きょうだい受講の可否や料金の扱いは公式情報で明確に確認できていません。希望される場合は申し込み時に直接問い合わせてください。きょうだいで一緒に受ける場合も、それぞれの目的(上達したい子と、会話の練習をしたい子)が違うことはよくあるので、個別に考えてあげてください。

Q9. やめたいときはすぐやめられますか

退会手続きの詳細(締め日、違約金の有無など)は、入会前に必ず確認してください。「やめ方を先に確認する」のは失礼なことではなく、誠実な運営であれば明確に答えてくれるはずです。撤退ルールを先に決めておくことは、子どもの挑戦のハードルを下げることにもつながります。

Q10. ゲーム依存が心配な段階でも利用していいですか

程度によります。生活は保てているが時間が長い、という段階なら検討の余地があります。一方、食事や睡眠が崩れている、やめられずに本人も苦しんでいる、暴力や金銭トラブルが出ている、という段階では、習い事より先に児童精神科や自治体の相談窓口、依存症相談拠点への相談を優先してください。迷ったら、まず相談機関に現状を話してみることをおすすめします。

今夜これだけ

今夜は「ゲームやめなさい」を一度だけ飲み込んで、代わりに「今どんなゲームやってるの?」と聞いてみてください。返事がそっけなくても大丈夫。その一言が、明日からの会話の種になります。

看護師視点でのまとめ——ゲームは敵ではなく、入口にできる

いちばんお伝えしたいのは、「ゲームばかりの子」の中に見えているのは問題ではなく、その子が今いちばんエネルギーを注げる場所だ、ということです。

エネルギーを注げる場所があるのは、回復の資源です。病棟で出会う子どもたちを見ていても、好きなものが残っている子は、そこを足がかりに立ち上がっていきます。親にできるのは、その足がかりを壊さずに、安全な形に整えてあげること。ゲムトレのようなサービスは、そのための道具のひとつです。道具ですから、合うなら使えばいいし、合わなければ手放せばいい。

体験会は1時間2,200円。この金額で、「うちの子の好きな世界に、味方の大人を置いたらどうなるか」の実験ができます。焦って決める必要はありません。この記事の「7つのこと」を整理して、お子さんに一度だけ提案してみて、本人が乗ってきたら試してみる。その順番さえ守れば、大きな失敗にはならないはずです。

ゲムトレの体験会の申し込み・詳細確認はこちらの公式ページからどうぞ。

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参考にした公的情報・一次情報

記事内の制度・相談先・健康情報・サービス情報は、以下を2026年8月15日に確認しています。料金・特典・提供条件は変更されることがあるため、利用前にリンク先の最新情報もご確認ください。

【医療に関する免責事項】

本記事は、児童思春期精神科での看護経験に基づいた一般的な情報提供を目的としています。医療行為・診断・治療の代わりとなるものではありません。お子さんの心身の状態にご不安がある場合は、必ず主治医・かかりつけ医・スクールカウンセラー・地域の相談窓口など、お子さまを直接見ることのできる専門家にご相談ください。詳細は免責事項をご確認ください。

🌙 つらいとき、ひとりで抱えないでください
お子さん本人も、親御さんも使える相談窓口です(無料・匿名OK)。
#いのちSOS:0120-061-338(24時間365日)
よりそいホットライン:0120-279-338(24時間)
24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(24時間)
チャイルドライン(18歳まで):0120-99-7777(毎日16〜21時)
児童相談所相談専用ダイヤル:0120-189-783(24時間)/虐待の心配は189
命に関わる危険があるときは、ためらわず119番へ。
出典:厚生労働省「まもろうよ こころ」(2026年7月確認)
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