子どもがなかなか寝ない・睡眠リズムが乱れる|眠りと心の関係と家庭でできる整え方【児童精神科看護師が解説】

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「なかなか寝つけず、夜遅くまで起きている」「布団に入っても、ごそごそして眠れない」「夜更かしが習慣になり、朝起きられない」「休みの日は昼まで寝ている」。わが子の睡眠の乱れに、頭を悩ませている親御さんは、とても多くいらっしゃいます。児童思春期精神科の看護師として現場に立っていると、睡眠の問題は、子どもの心の不調と切っても切れない関係にあることを、日々実感します。

睡眠は、ただ体を休めるだけのものではありません。成長ホルモンの分泌、脳の発達、記憶の整理、そして何より、感情を整える働きがあります。子どもにとって、よく眠れることは、心と体が健やかに育つための、土台そのものです。逆に、睡眠が乱れると、イライラ、不安、集中力の低下、情緒の不安定さといった形で、心と体のさまざまなところに影響が出てきます。

この記事では、児童思春期精神科で子どもたちのこころに向き合ってきた看護師の視点から、子どもにとって睡眠がなぜ大切なのか、なぜ眠れない・リズムが乱れるのか、そして家庭でどう整えていけばよいかを、できるだけ平易にお伝えします。「早く寝なさい」と言うだけでは、なかなか解決しない睡眠の悩み。その背景を理解し、無理なく整えていく方法を、父親として、そして看護師として、両方の立場から書きます。

もし今、子どもの睡眠の乱れに悩み、毎晩の寝かしつけや、朝の起こす戦いに疲れ果てているなら、まず深呼吸をして、この記事をゆっくり読み進めてみてください。睡眠は、正しく理解し、少しずつ整えていけば、必ず改善に向かいます。一晩で完璧にしようと焦らず、できることから一つずつ。肩の力を抜いて、これから一緒に考えていきましょう。

子どもにとって睡眠が大切な理由

まず、なぜ子どもにとって睡眠がそれほど大切なのか、お伝えします。睡眠中、子どもの体の中では、たくさんの大切な営みが行われています。成長ホルモンが分泌され、体が育つ。日中に学んだことが、記憶として整理・定着する。そして、脳が休息し、翌日また活動するための準備が整えられます。睡眠は、子どもの成長と学びを、根っこから支えているのです。

とくに見落とされがちなのが、睡眠と「感情の調整」の関係です。十分に眠れていると、子どもは感情を穏やかに保ちやすくなります。逆に、睡眠が足りないと、ささいなことでイライラしたり、不安が強まったり、感情が爆発しやすくなったりします。「最近、機嫌が悪いな」「キレやすいな」という子の背景に、睡眠不足が隠れていることは、少なくありません。眠りは、心の安定の土台でもあるのです。

必要な睡眠時間は、年齢によって異なります。一般的に、幼児期は10〜13時間、小学生は9〜11時間、中高生でも8〜10時間程度が目安とされています。これは大人が思うよりずっと長く、現代の子どもの多くが、実は睡眠不足の状態にあるとも言われます。まずは、わが子が、年齢に見合った睡眠をとれているか、振り返ってみることが、睡眠を考える出発点になります。

とくに現代は、習い事や塾、スマホなどで、子どもの就寝時刻が後ろにずれがちです。「うちの子は、夜遅くまで起きているけれど、本人は平気そう」という場合でも、実は隠れた睡眠不足が、日中のイライラや集中力の低下として、表れていることがあります。本人が「眠くない」と言っても、年齢に見合った睡眠時間を、まず目安として意識してあげてください。

とはいえ、睡眠時間は、あくまで目安です。必要な睡眠時間には個人差があり、目安より短くても元気な子もいれば、長く必要な子もいます。数字に縛られすぎず、「日中、元気に過ごせているか」「機嫌よく活動できているか」を、大切な判断材料にしてください。睡眠時間という「量」と、日中の様子という「質」の、両方を見ることで、その子に必要な睡眠が見えてきます。

睡眠不足・乱れが心と体に与える影響

睡眠が足りなかったり、リズムが乱れたりすると、子どもの心と体に、さまざまな影響が現れます。体の面では、朝起きられない、日中の眠気、だるさ、食欲不振、頭痛や腹痛、免疫力の低下などが見られます。「朝、なかなか起きてこない」「日中ぼんやりしている」といった様子の背景に、睡眠の問題があることは多いものです。

心の面への影響は、さらに深刻です。睡眠不足は、イライラ、情緒不安定、不安の増大、意欲の低下を招きます。感情をコントロールする力が弱まり、ささいなことで怒ったり泣いたりしやすくなります。また、集中力や記憶力が落ち、学習にも影響します。「勉強に集中できない」「成績が下がった」という背景に、睡眠不足があることも珍しくありません。

そして、最も注意したいのが、睡眠の乱れと、不登校や心の不調との関係です。睡眠リズムが崩れ、昼夜逆転になると、学校に行けなくなる。逆に、不安や心の不調から、眠れなくなる。睡眠と心は、互いに影響し合い、悪循環に陥りやすいのです。だからこそ、睡眠を整えることは、子どもの心の健康を守るうえで、とても大切な意味を持ちます。昼夜逆転については「不登校の昼夜逆転、どう戻す?」も参考になります。

逆に言えば、睡眠を整えることは、心の不調を防ぎ、和らげる、有効な手立てでもあります。薬や特別な治療の前に、まず睡眠を見直すことで、子どもの心と体が、ぐっと安定することは少なくありません。睡眠は、誰でも、家庭で取り組める、いちばん基本的で、いちばん効果的なケアの一つなのです。「最近、様子が気になる」というとき、まず睡眠から見直してみる価値があります。

ただし、睡眠を整えれば、すべての心の問題が解決するわけではありません。睡眠は土台ですが、それだけで十分とはかぎりません。睡眠を整えても改善しない、あるいは背景に深い悩みがありそうなときは、睡眠以外の要因にも目を向け、専門家の力を借りることが大切です。睡眠を「入り口」としつつ、その奥にある子どもの心にも、目を向けてあげてください。

なぜ寝ないのか|原因はさまざま

「子どもが寝ない」と一口に言っても、その原因はさまざまです。原因によって、効果的な対応も変わってきます。だからこそ、まず「なぜ寝ないのか」を、その子に即して考えてみることが大切です。一つに決めつけず、いくつかの可能性を、柔らかく見ていきましょう。

よくある原因としては、生活リズムの乱れ(就寝・起床時刻が不規則、昼寝が長すぎる)、スクリーン(スマホ・ゲーム・動画)の影響、不安や緊張で眠れない、発達特性による睡眠の問題、日中の活動量の不足、寝室環境(明るさ・音・温度)、体質的な要因などが挙げられます。これらが単独で、あるいは複数組み合わさって、睡眠の乱れを生み出しています。

次の章から、これらの主な原因を、一つずつ詳しく見ていきます。お子さんの様子を思い浮かべながら、「うちの子は、これが関係していそうだ」と当たりをつけていただけると、効果的な対応が見えてきます。なお、複数の原因が重なっていることも多いので、「これだけが原因」と決めつけず、いくつかの視点で見てあげてください。原因が見えると、関わりの糸口がつかめます。

原因を探るとき、子どもを問い詰める必要はありません。「どうして寝ないの」と責めると、子どもは身構えてしまいます。それより、日々の生活を、親がそっと観察すること。何時に寝て、何時に起きているか。寝る前に何をしているか。眠れないとき、どんな様子か。こうした観察の積み重ねが、その子の睡眠の問題を解く、手がかりになります。簡単な記録をつけてみるのも、おすすめです。

生活リズムの乱れ

睡眠の乱れの、最も基本的で、最も多い原因が、生活リズムの乱れです。人の体には、約24時間の「体内時計」が備わっており、これが睡眠と覚醒のリズムを作っています。この体内時計は、毎日同じ時刻に起き、朝の光を浴びることで、規則正しく保たれます。逆に、起床・就寝の時刻がバラバラだと、体内時計が乱れ、眠れなくなります。

とくに、休みの日に夜更かし・朝寝坊をすると、体内時計が後ろにずれてしまい、平日のリズムに戻すのが難しくなります。「金曜・土曜に夜更かしして、日曜の夜に眠れず、月曜の朝がつらい」というのは、まさにこのパターンです。また、長すぎる昼寝や、夕方以降の昼寝も、夜の睡眠を妨げます。生活リズムの乱れは、睡眠の乱れに直結するのです。

生活リズムを整える基本は、「毎日同じ時刻に起きること」です。就寝時刻をそろえるより、まず起床時刻をそろえるほうが効果的です。休みの日も、平日と大きくずらさない(ずれても1〜2時間以内に)。そして、起きたら朝の光を浴びる。この習慣が、乱れた体内時計を、少しずつ整えていきます。リズムの立て直し方は、後の章で具体的にお伝えします。

生活リズムを整えるうえで、家族の生活リズムも関係します。家族みんなが夜型で、夜遅くまでテレビがついていたり、にぎやかだったりすると、子どもも眠りにくくなります。子どもの睡眠を整えたいなら、家族全体で、夜は静かに、落ち着いた雰囲気を作ることも大切です。子どもだけに「早く寝なさい」と求めるより、家族ぐるみで、夜のリズムを整えるほうが、うまくいきます。

スクリーン(スマホ・ゲーム・動画)の影響

現代の子どもの睡眠を、大きく妨げているのが、スマホ・ゲーム・動画などのスクリーンです。スクリーンが睡眠に悪影響を与える理由は、大きく二つあります。一つは、画面から出る強い光(ブルーライト)が、眠りを促すホルモン(メラトニン)の分泌を抑え、脳を覚醒させてしまうこと。もう一つは、ゲームや動画の刺激が、興奮状態を作り、寝つきを悪くすることです。

とくに、就寝前のスクリーンは、睡眠に大きく影響します。布団の中でスマホを見る、寝る直前までゲームをする、といった習慣があると、なかなか寝つけなくなります。また、動画やSNS、ゲームは「もう少し、もう少し」と、ついやめられず、夜更かしの原因にもなります。気づけば深夜、ということが、子どもにも起こりやすいのです。

対策としては、就寝の1〜2時間前には、スクリーンから離れることが理想です。とはいえ、いきなり完全にやめさせるのは難しいもの。まずは「寝室にスマホを持ち込まない」「夜〇時以降は使わない」といった、無理のないルールから始めるとよいでしょう。一方的に取り上げるのではなく、子どもと話し合ってルールを決めると、守られやすくなります。スマホ・ゲームのルール作りは「親子で守れるゲーム・スマホのルール作り」も参考にしてください。

とはいえ、スクリーンを完全に悪者にする必要もありません。日中に楽しむぶんには、問題ない場合も多いのです。大切なのは、「夜、寝る前」のスクリーンを控えること。一日中禁止するのではなく、「夜だけはルールを守る」というメリハリのほうが、現実的で、続けやすいでしょう。子どもにとっても、納得しやすいルールになります。

不安・緊張と眠り

心の状態も、睡眠に大きく影響します。とくに、不安や緊張が強いと、眠れなくなります。心配事が頭から離れない、明日のことを考えると緊張する、こわい考えが浮かんでくる。こうした心の状態が、寝つきを悪くし、夜中に目を覚まさせ、眠りを浅くします。不安の強い子は、睡眠の問題を抱えやすいのです。

子どもの場合、不安が「眠るのがこわい」という形で表れることもあります。暗いのがこわい、一人で寝るのがこわい、こわい夢を見る、寝ている間に何か起きそうでこわい。こうした「入眠時の不安」は、幼い子に多く見られますが、思春期の子でも、強い不安があると現れます。眠ること自体への恐怖がある場合は、その不安に寄り添う関わりが必要です。「「寝るのが怖い」と言う子」も参考になります。

不安で眠れない子に、「早く寝なさい」と言っても、解決しません。むしろ、「眠らなきゃ」というプレッシャーが、さらに不安を強め、眠れなくしてしまいます。必要なのは、まず不安そのものを受け止め、安心して眠れる環境を整えることです。眠りの問題の背景に、心の不安がないか。その視点を持つことが、適切な関わりにつながります。不安が強い子への関わりは「子どもの不安症・分離不安への関わり方」もご覧ください。

とくに、新学期、行事の前、環境の変化があったときなどは、不安から一時的に眠れなくなることがあります。こうした一時的な不眠は、状況が落ち着けば、自然に戻ることが多いものです。慌てず、その時期の不安に寄り添いながら、見守ってあげてください。逆に、不眠が長く続く、日常的に不安が強い、という場合は、より丁寧な関わりや、専門家への相談を考えるサインです。

発達特性と睡眠

発達特性のある子は、睡眠の問題を抱えやすいことが知られています。ASD(自閉スペクトラム症)のある子は、感覚の過敏さ(音・光が気になって眠れない)や、こだわり、不安の強さから、寝つきにくいことがあります。また、体内時計の調整がうまくいきにくい、メラトニンの分泌に特性がある、といったことも指摘されています。

ADHD(注意欠如・多動症)のある子も、睡眠の問題が多く見られます。日中の多動や、頭の中が常に活発に動いていることから、夜になっても脳が静まらず、寝つけない。あるいは、過集中で時間を忘れ、夜更かしになる。といったことが起こります。発達特性のある子の「寝ない」は、本人の努力不足ではなく、特性に根ざしていることが多いのです。

発達特性が背景にある場合、一般的な睡眠の工夫に加えて、その子の特性に合わせた配慮が必要になります。感覚過敏には、寝室の環境調整(暗く静かに、肌触りのよい寝具)。こだわりには、決まった入眠の手順(ルーティン)。不安には、安心できる関わり。特性を理解したうえで工夫すると、睡眠が整いやすくなります。発達特性全般については「発達障害(ADHD・ASD・LD)の子の親 完全ハンドブック」も参考になります。

発達特性のある子の睡眠の問題が、生活の工夫だけでは改善しない場合、医療的なサポートが助けになることもあります。睡眠を整える薬が処方されることもありますが、それは「眠らせるため」というより、乱れた睡眠リズムを立て直すきっかけとして使われます。自己判断せず、気になるときは、かかりつけ医や専門医に相談してください。特性に合った支援で、睡眠が大きく改善することもあります。

看護師として見てきた、眠りと心の関係

児童思春期精神科の現場では、睡眠の問題は、ほぼすべての子に関わるテーマと言っても過言ではありません。心の不調を抱える子の多くが、睡眠の問題も抱えています。不安やうつがあると眠れなくなり、眠れないとさらに心が不安定になる。睡眠と心は、まさに表裏一体なのです。

現場で実感するのは、睡眠を整えることが、心の回復の大きな助けになる、ということです。逆に言えば、睡眠が乱れたままでは、心の回復も進みにくい。だからこそ、子どもの心の不調に向き合うとき、私たちはまず、睡眠の状態に目を向けます。「よく眠れていますか」という問いは、心の健康を測る、大切なバロメーターなのです。

そして、もう一つお伝えしたいのは、睡眠の乱れは、心のSOSのサインであることがある、ということです。それまで普通に眠れていた子が、急に眠れなくなった、夜中に目を覚ますようになった、というとき、その背景に、学校でのつらさや、心の不調が隠れていることがあります。睡眠の変化に気づくことは、子どもの心の変化に気づく、第一歩でもあります。眠りは、心の状態を映す鏡なのです。

だからこそ、子どもの睡眠に、日頃から目を向けておくことをおすすめします。よく眠れているか、寝つきはどうか、朝の目覚めはどうか。こうした睡眠の様子は、子どもが自分では言葉にしない、心の状態を教えてくれます。「ちゃんと眠れてる?」という何気ない問いかけが、子どもの心に寄り添う、入り口になることもあります。眠りを通して、子どもの心を見守ってあげてください。

眠りは、子どもが安心して身をゆだねられる相手がいてこそ、訪れるものです。安心できる家庭、信頼できる親の存在。それ自体が、子どものよい眠りを支える、最も大切な土台です。睡眠の工夫の根っこにあるのは、結局のところ、子どもが「ここは安全だ」と感じられる、温かい家庭なのです。

やってはいけない対応|叱る・無理に寝かしつける

子どもが寝ないとき、親がついやってしまいがちな、けれど逆効果になることがあります。一つめは、「早く寝なさい!」と叱ることです。眠れない子にとって、これはプレッシャーになり、「眠らなきゃ」という焦りが、かえって目を冴えさせてしまいます。眠りは、リラックスした状態でこそ訪れるもの。叱責は、その正反対の効果を生みます。

二つめは、無理に寝かしつけようとすることです。眠くない子を布団に押し込め、「目をつぶりなさい」と強制する。けれど、眠気が来ていないのに横になっていると、「布団=眠れない、つらい場所」という結びつきができてしまい、かえって入眠が難しくなります。眠れないまま長く布団にいるより、いったん起きて、落ち着いてから再び布団に入るほうが、うまくいくこともあります。

三つめは、親が焦り、不安をあらわにすることです。「また眠れないの」「どうして寝ないの」と、親が困った顔をすると、その不安が子どもに伝わり、子どもも「眠れない自分はダメだ」と感じてしまいます。睡眠の問題は、すぐには解決しないことも多いもの。親がどっしり構え、「眠れない日もあるよ、大丈夫」とおおらかでいることが、かえって子どもの眠りを助けます。次の章から、具体的な整え方を見ていきます。

もし、これまで「早く寝なさい」と叱ってきたとしても、自分を責めないでください。子どもの健康を思えば、誰しもがすることです。大切なのは、気づいたところから変えていくこと。今日から、「早く寝なさい」を一つ減らし、その分、朝の光を浴びさせる、夜を穏やかに過ごす、といった工夫に切り替えてみる。叱るより、環境を整えるほうが、ずっと効果的です。

家庭でできる整え方|朝の光と生活リズム

睡眠を整える基本にして最強の方法が、「朝、決まった時刻に起きて、光を浴びる」ことです。前にも触れたように、体内時計は、朝の光でリセットされます。起きたらまずカーテンを開け、太陽の光を浴びる。これだけで、後ろにずれた体内時計が前に戻り、夜の自然な眠気につながります。夜の寝かしつけより、朝の光のほうが、実は睡眠改善の鍵なのです。

そして、起床時刻を一定に保つこと。「夜眠れないから、朝はゆっくり寝かせる」と思いがちですが、これは逆効果です。朝寝坊をすると、体内時計がさらに後ろにずれ、夜ますます眠れなくなります。たとえ前の晩に眠れなくても、朝は決まった時刻に起こし、光を浴びさせる。つらいようですが、これが乱れたリズムを立て直す、最も確実な方法です。

日中の活動も大切です。昼間にしっかり体を動かし、活動的に過ごすと、夜に自然な眠気が訪れます。外遊びや運動で、太陽の光を浴びることは、体内時計を整えるうえでも効果的です。逆に、日中ぼんやり過ごしたり、昼寝をしすぎたりすると、夜の睡眠が浅くなります。「朝は光、昼は活動、夜は暗く静かに」。このリズムが、よい睡眠の土台になります。

ただし、これらを一度に完璧にやろうとすると、親も子も疲れてしまいます。まずは「朝、決まった時刻に起きて、カーテンを開ける」という、一つのことから始めてみてください。それが習慣になったら、次の工夫を加える。一気にすべてを変えようとせず、一つずつ。小さな習慣の積み重ねが、確実に、子どもの睡眠を整えていきます。

朝の光を浴びる習慣は、子どもだけでなく、家族みんなにとっても良いものです。親子で一緒に、朝、カーテンを開けて光を浴びる。可能なら、朝の散歩を習慣にする。家族で取り組むと、子どもも続けやすくなりますし、親自身の心身の調子も整います。睡眠を整える取り組みは、家族みんなの健康にもつながる。そう考えると、前向きに取り組めるのではないでしょうか。

夜の過ごし方・入眠儀式

よい眠りのためには、夜の過ごし方も大切です。就寝に向けて、心と体を、少しずつ「お休みモード」に切り替えていく。そのための工夫が、「入眠儀式(ルーティン)」です。毎晩、同じ手順で就寝に向かうことで、体が「もうすぐ眠る時間だ」と準備を始めます。これは、とくに小さい子や、こだわりのある子に効果的です。

具体的には、お風呂に入る→歯を磨く→パジャマに着替える→絵本を読む→電気を消す、といった一連の流れを、毎晩同じ順番でくり返します。入浴は、就寝の1〜2時間前に済ませると、体温が下がるタイミングで自然な眠気が訪れます。就寝前は、激しい遊びや興奮することは避け、絵本の読み聞かせや、静かな会話など、穏やかな時間を過ごすようにします。

また、就寝前の1〜2時間は、部屋の照明を少し落とし、強い光を避けると、眠りを促すホルモンが分泌されやすくなります。明るい光の中で過ごすより、間接照明などで、ゆったりとした雰囲気を作る。「夜は、暗く、静かに、穏やかに」を心がけることで、子どもの体は、自然と眠りに向かっていきます。寝る前のひとときを、安心できる、心地よい時間にしてあげてください。

入眠儀式は、子どもにとって、一日を締めくくる、安心の時間でもあります。とくに、寝る前の絵本の読み聞かせや、その日の楽しかったことを話す時間は、親子の絆を深め、子どもの心を満たします。「眠らせるため」というより、「一日の終わりに、親子で穏やかに過ごす」という気持ちで。その安心感が、結果として、よい眠りにつながります。急がず、その時間そのものを、大切にしてください。

入眠儀式は、年齢に合わせて変えていってかまいません。幼い頃は絵本の読み聞かせ、大きくなったら、その日の出来事を少し話す、明日の予定を確認する、など。形は変わっても、「寝る前に、親子で穏やかに過ごす」という核は、いくつになっても大切です。思春期になっても、ひとことふたこと言葉を交わすだけで、子どもは安心して眠りにつけます。

寝室環境を整える

眠る場所である寝室の環境も、睡眠の質を左右します。基本は、「暗く、静かで、快適な温度」です。光は、わずかでも睡眠を妨げるので、できるだけ暗くする。遮光カーテンを使う、豆電球も消す(暗いのがこわい子には、ごく弱い明かりを)。音が気になる子には、静かな環境を整える。温度や湿度も、暑すぎず寒すぎず、快適に保ちます。

とくに、感覚過敏のある子には、寝具の肌触りも重要です。チクチクする素材、重すぎる・軽すぎる布団が、不快で眠れない原因になることがあります。その子が心地よいと感じる、肌触りのよい寝具を選んであげてください。お気に入りのぬいぐるみやタオルなど、安心できるものがあると、入眠しやすい子もいます。

もう一つ大切なのが、「寝室・布団は、眠るための場所」という結びつきを保つことです。布団の中でスマホを見たり、ゲームをしたり、勉強したりすると、「布団=起きて活動する場所」という結びつきができ、入眠しにくくなります。布団に入ったら眠る。眠れないときは、いったん布団から出る。この区別が、スムーズな入眠を助けます。寝室を、眠りのための、安心できる空間にしてあげましょう。

とはいえ、住宅事情で、子ども専用の寝室を用意できないご家庭も多いでしょう。完璧な環境でなくてもかまいません。できる範囲で、「眠るときは、明かりを落とす」「テレビを消す」「静かにする」といった工夫をするだけで、睡眠の質は変わります。あるもののなかで、少しでも眠りやすい環境を整える。それで十分です。

季節による調整も大切です。夏は暑さで寝苦しく、冬は寒さで寝つきにくくなります。エアコンや寝具で、快適な温度を保つ工夫をしてあげてください。とくに、寝入りばなに暑すぎると、なかなか眠れません。子どもは大人より体温調節が未熟なこともあるので、季節に合わせて、心地よく眠れる環境を整えてあげましょう。

スクリーンとの付き合い方

前に述べたとおり、スマホ・ゲーム・動画は、子どもの睡眠を妨げる大きな要因です。けれど、現代の子どもから、スクリーンを完全に取り上げるのは現実的ではありません。大切なのは、「付き合い方」のルールを、無理のない範囲で決めることです。一方的に禁止するのではなく、子どもと話し合って決めると、守られやすくなります。

おすすめのルールは、「就寝の1時間前には、スクリーンを終わりにする」「寝室にスマホを持ち込まない」「夜〇時以降は使わない」といったものです。とくに、寝室にスマホを持ち込まないことは、効果が大きいです。布団の中でつい見てしまう、通知で目が覚める、といったことを防げます。充電は、リビングなど、寝室の外でする習慣にするとよいでしょう。

ルールを決めるときは、「なぜそうするのか」を、子どもにも分かるように伝えることが大切です。「夜のスマホは、脳を興奮させて、眠れなくするんだよ」と、理由を共有する。そして、親自身も、夜のスクリーンを控える姿を見せられると、説得力が増します。スクリーンを敵視するのではなく、上手に付き合いながら、睡眠を守る。そのバランスを、家族で一緒に探していきましょう。

ルールを破ってしまう日があっても、頭ごなしに叱らず、「どうすれば守れるか」を一緒に考える姿勢が大切です。子どもにとって、夜のスマホの誘惑は、大人が思う以上に強いもの。「守れない自分はダメ」と思わせるより、「一緒に工夫しよう」と寄り添うほうが、長続きします。完璧を求めず、少しずつ、よい習慣を育てていきましょう。

具体的な工夫として、就寝前のスマホの代わりになる、楽しい習慣を用意するのも効果的です。読書、音楽、軽いストレッチ、家族との会話など、スマホ以外の心地よい過ごし方があると、自然とスマホから離れやすくなります。「やめさせる」だけでなく、「代わりの楽しみ」を用意する。その視点が、スクリーンとの上手な付き合いを助けます。

不安で眠れない子への関わり

不安や心配で眠れない子には、生活リズムの工夫だけでなく、心への関わりが必要です。まず、その不安を受け止めること。「眠れないの、つらいね」「何か心配なことがある?」と、気持ちに寄り添う。眠れないことを責めるのではなく、その背景にある不安に、目を向けてあげてください。不安が和らぐと、眠りも訪れやすくなります。

就寝前に、その日あったことや、心配事を話す時間を持つのも効果的です。気がかりを言葉にして、誰かに聞いてもらえると、心が少し軽くなり、眠りやすくなります。また、「明日の準備をしておく」「心配事をメモに書き出す」といった工夫で、頭の中の不安を整理すると、安心して眠れることもあります。不安を抱えたまま布団に入るより、少し吐き出してから眠るほうが、ずっと楽です。

眠ること自体がこわい子には、安心できる関わりが何より大切です。そばにいる、手をつなぐ、優しく声をかける、ごく弱い明かりをつける。「ここは安全だよ」「お父さん(お母さん)がそばにいるよ」という安心が伝わると、子どもは少しずつ、眠りに身をゆだねられるようになります。不安からくる不眠は、安心の積み重ねで、ゆっくりと和らいでいきます。

就寝前に、リラックスできる習慣を取り入れるのも効果的です。深呼吸、軽いストレッチ、好きな音楽を小さくかける、温かい飲み物を飲む。心と体がゆるむと、不安もやわらぎ、眠りが訪れやすくなります。その子に合った、心が落ち着く方法を、一緒に見つけておくと、不安な夜の助けになります。眠る前の安心の習慣が、不安な子の眠りを支えます。

それでも眠れない夜は、「眠れなくてもいいから、横になって、お話ししようか」と、添い寝をしながら、穏やかに過ごすのも一つです。眠ろうと頑張るのをやめて、ただ安心して横になっているうちに、自然と眠りが訪れることもあります。眠れない子を一人にせず、そばで安心を与えること。それが、不安な夜の、何よりの薬になります。

「寝なさい」が逆効果になるとき

眠れない子に「早く寝なさい」と言いたくなるのは、親として自然なことです。けれど、この言葉が、逆効果になることがあります。眠れない子にとって、「寝なさい」は、「眠らなければならない」というプレッシャーになります。そして、「眠らなきゃ」と意識すればするほど、脳は緊張し、かえって目が冴えてしまうのです。これを「努力逆転の法則」と呼ぶこともあります。

眠りは、「頑張って眠ろう」とするほど、遠ざかってしまう、不思議なものです。リラックスして、力を抜いたときにこそ、自然に訪れます。だからこそ、「寝なさい」と急かすより、「眠くなったら寝ればいいよ」「目を閉じて、横になっているだけでも休息になるよ」と、プレッシャーを取り除く言葉のほうが、かえって眠りを助けます。

眠れない夜が続くと、子ども自身が「眠れない自分」に不安を感じ、それがさらに眠りを妨げる、という悪循環に陥ることがあります。この悪循環を断つには、まず「眠れなくても大丈夫」という安心を、親が伝えることです。眠れないことを問題視しすぎず、おおらかに構える。その余裕が、子どもの緊張を解き、自然な眠りへの扉を開きます。

眠れない夜が続くときは、「眠れないこと」そのものより、「眠れないことへの不安」が、問題を大きくしていることがあります。「眠れなくても、横になって体を休めれば大丈夫」「人は、本当に必要なら自然に眠れる」と、眠りへの過度なこだわりを手放すことが、かえって眠りを楽にします。眠りは、追いかけるほど逃げ、力を抜くほど近づく。そんなものだと、知っておいてください。

昼夜逆転からの戻し方

不登校などをきっかけに、昼夜逆転に陥ってしまうことがあります。昼間に寝て、夜起きている。この状態は、いったん定着すると、戻すのがとても難しくなります。けれど、いくつかのポイントを押さえれば、少しずつ立て直していくことができます。焦らず、段階的に進めることが大切です。

戻し方の基本は、やはり「朝、決まった時刻に起きて、光を浴びる」ことです。一気に何時間も早めようとせず、起床時刻を、毎日15〜30分ずつ、少しずつ前倒ししていきます。そして、朝起きたら必ず光を浴びる。昼間は、できるだけ活動的に過ごし、昼寝は控えめに。夜は、暗く静かな環境で過ごす。地道ですが、この積み重ねが、ずれた体内時計を、前に戻していきます。

ただし、昼夜逆転の背景に、不登校や心の不調がある場合は、睡眠だけを無理に正そうとすると、かえって子どもを追い詰めることがあります。「学校に行くために、生活リズムを戻させる」という目的が前面に出ると、子どもは反発します。まずは心の回復を大切にしながら、無理のない範囲で、生活リズムを整えていく。その順番とバランスが大切です。詳しくは「不登校の昼夜逆転、どう戻す?」もご覧ください。

昼夜逆転を戻すには、家族の協力も必要です。本人だけに「早く起きなさい」と求めるのではなく、家族が朝の時間を一緒に過ごす、朝ごはんを用意して待つ、といった、起きたくなる雰囲気を作る。叱って起こすより、「起きたら、楽しいことがある」という気持ちを育てるほうが、子どもは動きやすくなります。焦らず、家族みんなで、少しずつ取り組んでいきましょう。

昼夜逆転が長く続くと、親も「このまま戻らないのでは」と不安になります。けれど、適切な関わりと、本人の心の回復が進めば、生活リズムは戻っていきます。実際、不登校から回復していく過程で、自然と昼夜逆転が解消していく子も、たくさんいます。睡眠リズムだけを単独で見るのではなく、子ども全体の回復のなかで、捉えてあげてください。焦りは禁物です。

思春期の睡眠|夜型化は自然なこと

思春期になると、子どもの睡眠リズムは、自然と「夜型」に傾きます。これは、思春期の体の変化に伴う、生理的な現象です。眠りを促すホルモンの分泌される時刻が、思春期には後ろにずれるため、夜眠くなる時刻が遅くなり、朝起きるのがつらくなります。「夜更かし・朝寝坊」は、思春期の子にとって、ある程度、自然なことなのです。

このことを知っておくと、思春期の子の睡眠を、過度に責めずにすみます。「だらしないから夜更かしする」のではなく、「体の変化で、夜型になりやすい」のだと理解する。とはいえ、学校の時間は変わりませんから、夜型化と、朝の登校との間で、思春期の子は苦労します。極端な夜更かしは整える必要がありますが、頭ごなしに叱るのではなく、生理的な背景を理解したうえで、一緒に工夫していく姿勢が大切です。

思春期の睡眠で、とくに気をつけたいのが、スマホです。夜型化しやすい時期に、スマホが加わると、睡眠不足が深刻になります。SNSやゲーム、動画で、深夜まで起きてしまう。これが慢性的な睡眠不足を生み、心身に影響します。思春期だからこそ、スマホと睡眠の付き合い方を、本人と話し合っておくことが大切です。思春期全般の関わりは「思春期メンタル 完全ガイド」もご覧ください。

思春期の子に、睡眠の大切さを伝えるときは、「健康のため」より、「やりたいことのため」という切り口が響くことがあります。「よく眠ると、勉強の効率が上がる」「肌の調子がよくなる」「スポーツのパフォーマンスが上がる」など、本人の関心に結びつけて伝える。一方的に「早く寝なさい」と言うより、本人が「眠ったほうが得だ」と納得できると、自分から睡眠を大切にするようになります。

起立性調節障害と睡眠

「朝、どうしても起きられない」という背景に、「起立性調節障害(OD)」という体の状態が関わっていることがあります。これは、自律神経の調整がうまくいかず、朝に血圧が上がらないために、起き上がれない、午前中は体調が悪い、という状態です。思春期の子に多く見られ、「夜は元気なのに、朝は起きられない」のが特徴です。

起立性調節障害は、本人の「気合い」や「やる気」では、どうにもならない、体の問題です。「怠けている」「だらしない」と誤解されやすいのですが、決してそうではありません。無理に起こそうとしたり、叱ったりしても解決せず、かえって本人を苦しめます。朝起きられないことが続く場合は、この可能性を考え、小児科などで相談することをおすすめします。

起立性調節障害がある場合、生活リズムを整える工夫に加えて、医療的なサポートが必要なこともあります。また、心理的なストレスが関係していることもあるため、心と体の両面からのケアが大切です。「朝起きられない=怠け」と決めつけず、体の状態を疑ってみる視点を持ってください。詳しくは「起立性調節障害(OD)と不登校の関係」や「朝起きられない子への関わり方」にまとめています。

起立性調節障害のある子にとって、いちばんつらいのは、「怠けている」と誤解され、責められることです。本人は、起きたくても起きられない。その苦しさを、まず分かってあげてください。「つらいね」「怠けているわけじゃないよね」という理解の言葉が、本人を支えます。そのうえで、医療と連携しながら、無理のない範囲で、少しずつ生活を整えていく。理解と医療的サポートの両輪が、回復を支えます。

受診・相談を考える目安

睡眠について、いつ専門家に相談すればよいか、目安をお伝えします。あくまで目安ですが、次のような場合は、相談を検討するとよいでしょう。睡眠の乱れが長く続き、生活に支障が出ている、朝どうしても起きられず学校に行けない、日中の強い眠気がある、眠れないことで本人がとてもつらそう、睡眠の乱れとともに気分の落ち込みや不安が見られる、といった場合です。

相談先としては、まずかかりつけの小児科が入りやすい入り口です。起立性調節障害が疑われる場合も、小児科で相談できます。睡眠の問題の背景に、不安やうつなどの心の不調がありそうな場合は、児童精神科や児童思春期外来が相談先になります。睡眠を専門に診る外来(睡眠外来)もあります。どこに相談すべきか迷うときは、小児科に相談すると、適切な窓口を案内してもらえます。

受診をためらう気持ちは、よく分かります。「睡眠くらいで」と思うこともあるでしょう。けれど、睡眠は、心身の健康の土台です。睡眠の問題を放っておくと、心身のさまざまな不調や、不登校につながることもあります。早めに相談することで、その子に合った関わりが分かり、親の不安も軽くなります。「相談に行ってみる」くらいの気持ちで、敷居を下げて考えてください。

受診の際は、睡眠の記録を持っていくと、専門家に状況が伝わりやすくなります。何時に寝て、何時に起きたか、夜中に目を覚ましたか、日中の眠気はどうか。1〜2週間ほど記録をつけておくと、その子の睡眠の全体像が見えてきます。気負わず、簡単なメモでかまいません。日々の記録が、その子に合った支援への、確かな手がかりになります。

また、睡眠の問題は、ほかの心身の不調と一緒に現れることも多いものです。受診の際は、睡眠のことだけでなく、気になっていること(食欲、気分、学校の様子など)も、あわせて伝えてください。睡眠を入り口に、その子の心身の状態を、総合的に見てもらえることもあります。「睡眠のことで」とためらわず、気軽に相談の扉を叩いてみてください。

緊急性が高いサインと、すぐ頼れる相談窓口

睡眠の問題そのものが緊急を要することは多くありませんが、睡眠の乱れの背景に、深刻な心の不調が隠れていることがあります。次のようなサインが見られたときは、緊急性が高いと考え、ためらわずに相談機関を頼ってください。「死にたい」「消えたい」と口にする、自分を傷つけている、ほとんど眠れない・食べられない状態が続く、強い気分の落ち込みが続く。これらは見逃してはならないSOSです。

このようなとき、親はまず落ち着いて、子どもを責めず、否定せず、そばにいてあげてください。そして、家庭だけで抱え込まず、専門機関へつなぐことが大切です。緊急時の対応は「子どもが「死にたい」と言ったときの親の対応」にまとめています。すぐに頼れる相談窓口を挙げておきます。いずれも無料で、子ども本人も保護者も利用できます。番号は変更される場合がありますので、利用時は各窓口の公式情報もご確認ください。

  • 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省):0120-0-78310 ── いじめや学校生活の悩みを24時間相談できます
  • チャイルドライン:0120-99-7777 ── 18歳までの子どものための電話・チャット相談
  • よりそいホットライン:0120-279-338 ── 24時間、どんな悩みでも受け止めてくれる相談窓口
  • こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556 ── お住まいの公的な相談窓口につながります

「これくらいで相談していいのかな」とためらう必要はありません。迷ったら、相談してかまわないのです。専門家に話すことで、親自身の不安もやわらぎます。一人で抱え込まないことが、子どもを守る第一歩です。

親自身の睡眠と心の余裕

子どもの睡眠に向き合うとき、見落とされがちなのが、親自身の睡眠です。子どもが寝ないと、その対応で、親も睡眠を削られます。寝かしつけに何時間もかかる、夜中に起こされる、昼夜逆転の子に付き合う。親が慢性的な睡眠不足になると、心の余裕が失われ、子どもにも穏やかに関われなくなります。

親が睡眠不足でイライラしていると、その空気は子どもに伝わり、子どもも落ち着いて眠れなくなる、という悪循環もあります。だからこそ、まず親自身が、できる範囲で睡眠を確保することが大切です。完璧な対応を目指して、自分の睡眠を犠牲にしすぎないでください。ときには、配偶者と交代する、周囲を頼る、といった工夫も必要です。

親が心と体に余裕を持っていることが、子どもの睡眠を支える土台になります。「子どもをちゃんと寝かせなければ」と気負いすぎず、「眠れない日もある、まあいいか」と、おおらかに構える。親自身をいたわることが、めぐりめぐって、子どもの安心と眠りにつながります。親のケアについては「親のメンタルヘルス 完全ガイド」もご用意しています。

そして、長い目で見てほしいのです。睡眠の問題は、すぐには解決しないこともありますが、子どもの成長とともに、また適切な関わりによって、少しずつ整っていくものです。今は大変でも、いつか必ず、落ち着く日が来ます。目の前の一晩に一喜一憂せず、その子の成長を、ゆったりと信じて見守ること。それが、親にできる、何よりの支えです。

そして、これだけ子どもの睡眠を気にかけているあなたは、それだけで、十分に良い親です。睡眠のことで悩むのは、子どもの健康を、真剣に考えている証拠なのですから。どうか、「ちゃんとできていない」と自分を責めないでください。悩みながらも、子どものために学び、工夫しようとしている。その姿そのものが、子どもにとって、何よりの安心の源になっています。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 「早く寝なさい」と言ってはいけないのですか?
絶対にダメというわけではありませんが、眠れない子へのプレッシャーになりがちです。「眠らなきゃ」と意識するほど、かえって眠れなくなります。「眠くなったら寝ればいいよ」「横になっているだけでも休息になるよ」と、プレッシャーを取り除く言葉のほうが、かえって眠りを助けます。

Q. 昼夜逆転を、一気に戻すことはできますか?
一気に戻すのは難しく、無理をすると失敗しやすいです。起床時刻を毎日15〜30分ずつ前倒しし、朝の光を浴びる。この積み重ねで、少しずつ戻していくのが現実的です。背景に心の不調がある場合は、睡眠だけを無理に正そうとせず、心の回復とあわせて進めてください。

Q. 寝る前のスマホは、どうしてもやめられません。
いきなり完全にやめさせるのは難しいので、「寝室に持ち込まない」「充電は寝室の外で」といった、無理のないルールから始めてみてください。一方的な禁止より、子どもと話し合って決めるほうが守られます。親も一緒に夜のスマホを控えると、説得力が増します。

Q. 朝、どうしても起きられません。怠けですか?
怠けとはかぎりません。起立性調節障害という体の状態や、睡眠リズムの乱れ、思春期の生理的な夜型化が背景にあることがあります。「気合いが足りない」と決めつけず、体の状態を疑ってみてください。朝起きられない状態が続く場合は、小児科などで相談することをおすすめします。

Q. 必要な睡眠時間は、どのくらいですか?
目安として、幼児期は10〜13時間、小学生は9〜11時間、中高生でも8〜10時間程度とされています。これは大人が思うより長く、現代の子どもの多くが睡眠不足とも言われます。ただし個人差もあるので、日中元気に過ごせているかも、あわせて見てあげてください。

Q. 添い寝は、いつまで続けていいですか?
「何歳まで」という決まりはありません。子どもが安心して眠れるなら、添い寝は悪いことではなく、むしろ心の安定につながります。子どもが自分から「一人で寝る」と言うまで、無理に引き離す必要はありません。その子のペースで、自然に巣立つのを待ってあげてください。

Q. 昼寝は、させないほうがいいですか?
年齢によります。幼児期は昼寝が必要ですが、夜眠れない子の場合、昼寝が長すぎたり遅すぎたりすると、夜の睡眠を妨げます。昼寝をするなら、午後の早い時間に、短めに。夜の睡眠に影響が出ているようなら、昼寝の時間や長さを見直してみてください。

Q. 寝かしつけに何時間もかかり、親が疲弊しています。
つらいですね。まず、就寝時刻が、その子の自然な眠気より早すぎないか見直してみてください。眠くないのに布団に入れても、寝つけません。また、寝かしつけを完璧にしようと気負わず、ときには「眠くなったら寝てね」と委ねるのも一案です。親が疲れ果てる前に、配偶者と交代したり、頼れる人を頼ったりしてください。

Q. 休日に、たっぷり寝かせるのはよくないですか?
平日の睡眠不足を、休日の寝だめで補うのは、体内時計を乱す原因になります。理想は、休日も平日と大きくずらさないこと(ずれても1〜2時間以内)。とはいえ、たまった疲れを取ることも大切なので、極端でなければ神経質になりすぎなくて大丈夫です。まずは平日の睡眠を十分にとることを優先しましょう。

困ったときの相談先

子どもの睡眠のことで頼れる先を整理しておきます。まずは、かかりつけの小児科。起立性調節障害もここで相談できます。心の不調が背景にありそうな場合は、児童精神科・児童思春期外来。睡眠を専門に診る睡眠外来もあります。学校関係では、養護教諭やスクールカウンセラー。生活リズムや不登校に関わる場合は、学校とも連携します。

どこに相談すればよいか迷ったときは、まずかかりつけの小児科に相談してみてください。そこから、必要な窓口へとつないでもらえます。睡眠の問題は、軽く見られがちですが、子どもの心身の健康に深く関わる、大切なテーマです。一人で抱え込まず、頼れる先を少しずつ増やしていきましょう。相談することは、子どもを守るための、前向きな一歩です。

近年は、子どもの睡眠に関する情報も、ずいぶん増えてきました。正しい知識を得るだけで、「うちの子の睡眠は、こう整えればいいのか」と、見通しが立つこともあります。専門機関だけでなく、信頼できる情報や、同じ悩みを持つ親とのつながりも、支えになります。いくつもの支えを重ねながら、その子に合った眠りの形を、見つけていってください。

とくに、睡眠の乱れが、不登校や心の不調と結びついている場合は、睡眠だけを切り離して考えず、子ども全体を支える視点が大切です。睡眠、心、学校、家庭——これらは、互いに影響し合っています。一つの窓口だけでなく、医療・学校・家庭が連携して、その子を支える。そうした多面的な支えが、子どもの回復を、確かなものにしていきます。

まとめ|眠りは、心と体を育てる土台

子どもにとって、睡眠は、成長と学び、そして心の安定を支える、かけがえのない土台です。睡眠が乱れると、心と体のさまざまなところに影響が出ます。そして、眠れない原因は、生活リズム、スクリーン、不安、発達特性など、さまざまです。だからこそ、「早く寝なさい」と言うだけでなく、その背景を理解し、無理なく整えていく関わりが大切になります。

そして、睡眠を整えることは、子どもの今だけでなく、未来にもつながります。子ども時代に身につけた睡眠の習慣は、大人になってからの健康の土台になります。今、家庭で睡眠の大切さを伝え、よい習慣を育てることは、その子が一生をかけて、心身の健康を守っていく力を、贈ることでもあるのです。目先の一晩だけでなく、長い目で、その子の眠りを育てていきましょう。

家庭でできることは、朝決まった時刻に起きて光を浴びる、日中は活動的に過ごす、夜は暗く静かに穏やかに過ごす、入眠儀式を整える、スクリーンと上手に付き合う、不安に寄り添う。そして何より、「眠れない日もある、大丈夫」と、親がおおらかに構えること。一つひとつは小さなことですが、その積み重ねが、子どもの眠りを、少しずつ整えていきます。

最後に、もう一度お伝えします。眠りは、「頑張って眠る」ものではなく、「安心して、自然に訪れる」ものです。だからこそ、プレッシャーをかけるより、安心できる環境と、おおらかな心を整えることが、何よりの近道です。焦らず、責めず、その子のペースで。よい眠りは、よい心と体を育てます。この記事が、お子さんの眠りと、ご家族の安心の、小さな支えになれば幸いです。

子どもの睡眠に向き合う日々は、ときに長く、出口が見えないように感じられるかもしれません。けれど、あなたが今、こうして子どものために学ぼうとしていること、その姿勢こそが、何よりの支えです。完璧を目指さなくていいのです。今日できることを、一つだけ。その小さな積み重ねが、いつか、お子さんの健やかな眠りにつながります。お子さんと、そしてあなた自身を、どうかいたわってあげてください。

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免責事項

本記事は、児童思春期精神科での看護経験をもとにした一般的な情報提供を目的としており、特定の子どもへの医学的な診断・治療を行うものではありません。お子さんの状態には個人差があり、記事の内容がすべての方に当てはまるわけではありません。睡眠の乱れが長く続く場合や、起立性調節障害が疑われる場合、心の不調を伴う場合は、自己判断で抱え込まず、かかりつけ医・小児科・児童精神科・睡眠外来等の専門家にご相談ください。緊急性が高いと感じられる場合は、本文中に記載した相談窓口や、お住まいの地域の医療・相談機関を速やかにご利用ください。掲載した相談窓口の情報は変更される場合がありますので、ご利用の際は各機関の公式情報をご確認ください。

【医療に関する免責事項】

本記事は、児童思春期精神科での看護経験に基づいた一般的な情報提供を目的としています。医療行為・診断・治療の代わりとなるものではありません。お子さんの心身の状態にご不安がある場合は、必ず主治医・かかりつけ医・スクールカウンセラー・地域の相談窓口など、お子さまを直接見ることのできる専門家にご相談ください。詳細は免責事項をご確認ください。

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チャイルドライン(18歳まで):0120-99-7777(毎日16〜21時)
児童相談所相談専用ダイヤル:0120-189-783(24時間)/虐待の心配は189
命に関わる危険があるときは、ためらわず119番へ。
出典:厚生労働省「まもろうよ こころ」(2026年7月確認)
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