用語辞典: インテーク面接とは?初回面談で聞かれること・準備しておくと安心なもの【現場の看護師から】

インテーク面接を表すやさしい水彩タッチのイラスト 保護者向け

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この記事の要点

  • インテーク面接は診断ではなく「情報collectionと見立て」のための最初の面談
  • 担当は心理士・精神保健福祉士・看護師など機関によってさまざま
  • 生育歴や困りごとの経過を聞かれる。母子手帳・通知表・メモが役立つ
  • 評価や査定の場ではないので、うまく話せなくても大丈夫
  • 伝え忘れは次回の診察や電話で補足すればよい

児童精神科やカウンセリング機関に初めて予約を入れると、「まずインテーク面接を行います」と案内されることがあります。聞き慣れない言葉に、「面接? 何を試されるんだろう」と身構えてしまう保護者の方は少なくありません。私も病棟で働く中で、「インテークって何ですか」と受診前の親御さんから質問されることがよくあります。

こんにちは。児童思春期精神科病棟で働く看護師の星野レンです。看護師歴8年、うち児童思春期精神科病棟で5年以上勤務しており、一人の父親でもあります。今回は用語辞典シリーズとして、「インテーク面接(受理面談)」を保護者の方向けにやさしく解説します。

結論からお伝えすると、インテーク面接は親子を評価したり査定したりする場ではありません。支援する側が「この親子に何が起きているのか」「どんな助け方が合いそうか」を知るための、最初の情報収集の面談です。仕組みを知っておくだけで、当日の緊張はずいぶん軽くなります。順番に見ていきましょう。

インテーク面接とは? 「受理面談」のやさしい説明

インテーク(intake)は英語で「受け入れ」という意味の言葉です。日本語では「受理面談」「初回面接」などと呼ばれ、医療機関や相談機関が新しく相談を受け入れるときに、最初に行う情報収集のための面談を指します。児童精神科では初診の前後に、カウンセリング機関では契約前の初回に行われることが多いです。

目的は大きく二つあります。一つは、お子さんと家族の状況をていねいに把握すること。もう一つは、集めた情報をもとに「見立て」を作ることです。見立てとは、「この困りごとの背景には何がありそうか」「この機関で対応できるか、他の機関のほうが合うか」を考える、支援の設計図のようなものです。

つまりインテーク面接は、テストでも審査でもなく、「これからの支援を的外れにしないための準備」です。ここで集められた情報は医師や支援チームに引き継がれ、その後の診察やカウンセリングの土台になります。丁寧に話を聞かれるのは、それだけ真剣にお子さんのことを考えようとしている証拠だと受け取っていただいて大丈夫です。

誰が担当するのか——心理士・精神保健福祉士・看護師など

インテーク面接を担当する職種は、機関によってさまざまです。児童精神科の病院やクリニックでは、公認心理師・臨床心理士、精神保健福祉士(ソーシャルワーカー)、そして私たち看護師が担当することがあります。カウンセリング機関では心理士が、自治体の相談窓口では福祉職の相談員が担うことが多いです。

「医師じゃない人に話して意味があるの?」と思われるかもしれませんが、心配はいりません。インテークを担当するのは、聞き取りの訓練を受けた専門職です。むしろ診察時間が限られる医師に代わって、時間をかけてじっくり話を聞くのがインテーク担当者の役割です。聞き取った内容は記録され、医師や担当カウンセラーにきちんと共有されます。

どの職種が担当するか、医師の診察の前に行うのか後に行うのかは、機関によって異なります。予約の電話の際に「初回はどんな流れですか」と確認しておくと、当日の見通しが立てやすくなります。予約電話で聞かれる内容については、児童精神科の予約電話で何を聞かれるかの記事で詳しく解説しています。

診察とはどう違うのか

インテーク面接と医師の診察は、目的が違います。診察は、医師が診断や治療方針を検討する場です。一方インテークは、その診断や支援の材料になる情報を幅広く集める場です。料理にたとえるなら、インテークは食材をそろえる買い出し、診察はその食材で調理をする工程、と考えるとイメージしやすいかもしれません。

ですから、インテークの場で「診断名は何ですか」「薬は必要ですか」と質問しても、担当者はその場では答えられないことがほとんどです。これは担当者が不親切なのではなく、診断や治療の判断は医師にしかできないためです。医学的な判断が必要なことは、必ず医師の診察で確認しましょう。

逆に言えば、インテークでは「診断につながるかどうか」を気にせず、生活の細かな困りごとまで自由に話せます。診察では時間の関係で話しきれないことも、インテークならゆっくり伝えられる。この二段構えは、親子の全体像を取りこぼさないための仕組みなのです。

インテークで聞かれる内容

聞かれる内容は機関によって多少異なりますが、おおむね共通しています。代表的なものを挙げます。

  • 今いちばん困っていること(主訴)と、それがいつ頃から続いているか
  • 生育歴:妊娠・出産の経過、首すわりや歩き始め、言葉の発達、乳幼児健診で言われたこと
  • 家族構成と家庭の様子
  • 学校・園での様子:友人関係、学習、先生から指摘されたこと、欠席の状況
  • これまでかかった病気やケガ、他の相談機関の利用歴(既往歴・相談歴)
  • 睡眠・食事・ゲームやスマホの使い方など生活リズム

「そんな昔のことまで?」と驚かれるかもしれませんが、生育歴は発達の特性を見立てるうえで大切な手がかりになります。もちろん、全部を正確に覚えている親御さんはいません。「たしか2歳頃だったと思います」というあいまいな答えで十分ですし、「覚えていません」も立派な答えです。

母子手帳・通知表・メモが役立ちます

記憶を補ってくれる強い味方が、母子手帳と通知表です。母子手帳には出生時の様子や健診の記録が、通知表には学校での様子や出欠が客観的に残っています。お薬手帳や、他院の紹介状・検査結果があればそれも役立ちます。あわせて、困りごとの経過を時系列で書いた簡単なメモを用意しておくと、当日あわてずにすみます。

持ち物の詳しい準備リストは、児童精神科の初診で聞くこと・持ち物リストの記事にまとめていますので、受診前にご覧いただくと安心です。

所要時間の目安と当日の流れ

インテーク面接の所要時間は、おおむね30分から1時間程度のことが多いですが、機関によって異なります。初診と同じ日にまとめて行う機関もあれば、初診より前に別日で設定する機関、カウンセリング初回の枠内で行う機関もあります。長く感じるかもしれませんが、それだけ丁寧に聞き取るということです。

当日の一般的な流れは、受付のあと面接室に案内され、担当者から自己紹介と面接の目的の説明があり、質問に答えていく形で進みます。質問票やアンケート形式の用紙への記入を求められることもあります。途中で疲れたり、お子さんがぐずったりしたら、遠慮なく休憩を申し出てください。

小さいお子さんを連れて行く場合は、待ち時間対策として絵本やお気に入りのおもちゃがあると安心です。初診全体の流れや受診の段取りについては、児童精神科の受診方法と、受診前に知っておきたいこともあわせて参考にしてください。

子どもと親が別々に話す場合がある理由

機関によっては、お子さん本人と保護者が別々の部屋で、それぞれ話を聞かれることがあります。初めてだと「子どもだけで大丈夫かな」「親のいないところで何を話すんだろう」と不安になりますよね。これにもちゃんと理由があります。

お子さんは、親の前では本音を言いにくいことがあります。「親を悲しませたくない」「怒られるかもしれない」という気持ちから、学校のつらさやいじめのこと、家での気持ちを飲み込んでしまう子は少なくありません。逆に親御さんも、子どもの前では話しにくいこと——夫婦の状況や、正直しんどいという気持ち——があるはずです。別々に聞くのは、双方が安心して話せる場を作るための工夫です。

以前、面接の待ち時間にほとんど言葉を発しなかった中学生が、保護者と分かれて一対一になった途端、学校での孤立感をぽつりぽつりと話し始めた場面に立ち会ったことがあります。付き添っていた親御さんは「家では何も話してくれないのに」と驚かれていましたが、これは親子の関係が悪いからではなく、「親だからこそ言えない」ことがあるというだけなのです。

※本記事に登場するエピソードは、個人が特定できないよう複数のケースを合成し、状況を抽象化しています。

緊張しなくて大丈夫——評価や査定の場ではありません

インテークを前に、「親の育て方を責められるのではないか」「ちゃんと答えられなかったら支援してもらえないのではないか」と緊張される親御さんはとても多いです。まずお伝えしたいのは、インテークは親としての合否を判定する試験ではない、ということです。担当者が知りたいのは「誰が悪いか」ではなく「何が起きているか」です。

話がまとまらなくても、時系列が前後しても、涙が出てしまっても、まったく問題ありません。インテーク担当者は、混乱した状態のまま来られる方の話を整理しながら聞くことに慣れています。むしろ「うまく話そう」と頑張って情報を絞り込むより、思いつくまま話していただくほうが、見立てに役立つことも多いのです。

それでも不安な方には、メモの持参をおすすめします。「困っていること」「いつから」「きっかけと思われること」「試したこと」の4項目を箇条書きにするだけで十分です。当日頭が真っ白になっても、メモを渡して「これを見ながら話させてください」と言えば大丈夫です。メモをそのまま担当者に渡してしまう方法もあります。

正直に話してよい、うまく話せなくてもよい

インテークでは、正直に話すことがいちばんの近道です。「こんなことを言ったら印象が悪いかな」と、家庭内の激しい言い合いや、子どもに手を上げてしまいそうになった夜のことを伏せたくなる気持ちは、とてもよくわかります。ですが、しんどい部分こそ支援者が知りたい情報であり、それを話したからといって責められることはありません。

また、「原因はこれだと思います」と無理に結論を用意する必要もありません。原因の見立ては専門職の仕事です。親御さんの役割は、見たまま・感じたままの事実を提供することです。「朝になるとお腹が痛いと言う」「日曜の夜に機嫌が悪くなる」といった具体的な場面の描写は、どんな立派な分析よりも価値があります。

言葉に詰まったら、「うまく説明できないんですが」と前置きしてかまいません。その一言も担当者にとっては大切な情報です。それだけ複雑で、言葉にしにくい状況が続いてきたのだと伝わるからです。沈黙が生まれても、担当者は待ってくれます。焦らなくて大丈夫です。

伝え忘れたことに気づいたときの対処

帰り道で「あれを言い忘れた」と気づくのは、インテークあるあるです。緊張の中で1時間近く話すのですから、伝え忘れが出るのはむしろ自然なことです。大丈夫、挽回のチャンスはいくらでもあります。

もっとも確実なのは、次の診察やカウンセリングの冒頭で「前回言い忘れたことがあります」と切り出す方法です。支援は一回きりではなく続いていくものなので、後出しの情報でも見立てにきちんと反映されます。内容が急ぎの場合——たとえば自分や人を傷つけるような言動があった場合——は、次回を待たず機関に電話で伝えてください。

言い忘れ防止のコツとしては、面接から帰ったその日のうちに、話し残したことをスマホのメモに書き足しておくことです。記憶が新しいうちに書いておけば、次回そのまま読み上げるだけですみます。「完璧に伝える一回」より「少しずつ伝え続ける複数回」で考えるほうが、親御さんの負担も軽くなります。

現場の看護師から見たインテークの意味

病棟で働く看護師の立場から言うと、インテークの記録は、私たちがお子さんと関わるときの大切な道しるべです。入院してきたお子さんに接するとき、私たちはインテークで集められた情報——好きなこと、苦手な刺激、これまでの経過——を頭に入れてから声をかけます。初対面でも「この子は大きな音が苦手」と知っているだけで、関わり方がまったく変わるのです。

印象に残っているケースがあります。ある小学生のお子さんの保護者が、インテークで「爪を噛む癖が最近ひどい」と、些細に思えることまで細かく伝えてくださっていました。後日、病棟でそのお子さんの爪噛みが急に増えた時期があり、スタッフはその記録のおかげで「ストレスが高まっているサインかもしれない」といち早く気づき、関わりを手厚くすることができました。親御さんの「こんなこと言うほどでもないかな」という情報が、現場では宝物になるのです。

インテークは、親御さんにとっては「質問に答えるだけの時間」に見えるかもしれません。でも支援チームにとっては、お子さんという一人の人間を理解するための最初の、そして最大の情報源です。あの面談で話してくださった一つひとつが、その後の支援の質を確実に上げています。これは現場にいる者として、自信を持ってお伝えできます。

よくある質問

Q1. インテーク面接に子ども本人を連れて行かないとだめですか?

機関によって異なります。本人と保護者の両方から話を聞く機関もあれば、初回は保護者のみで可という機関もあります。不登校や引きこもりの状態で本人が外出できない場合、「まず親だけの相談」を受け付けているところも少なくありません。本人が行きたがらないからといって、相談をあきらめる必要はないのです。予約の際に「本人が同行できないかもしれませんが大丈夫ですか」と率直に確認してみてください。親だけの相談から始まり、本人の受診につながったケースを私は何度も見てきました。

Q2. インテークで話した内容は学校に伝わりますか?

医療機関や相談機関には守秘義務があり、話した内容が本人・保護者の同意なく学校へ伝わることは原則ありません。学校と連携する場合も、「どの情報を、誰に、どこまで伝えるか」を保護者と相談したうえで進めるのが基本です。逆に、学校に知っておいてほしいことがあれば「これは先生に伝えてもらえますか」とこちらから頼むこともできます。安心して話すために、面接の冒頭で「話した内容はどこまで共有されますか」と確認しておくのもよい方法です。担当者は嫌な顔をせず説明してくれるはずです。

Q3. 生育歴を覚えていません。母子手帳もすぐ見つかりません。

覚えていない部分は「覚えていません」で大丈夫です。担当者は記憶のあいまいさに慣れていますし、覚えていないこと自体を責めることはありません。母子手帳が見つからない場合も、面接は問題なく行えます。後日見つかったら次の機会に持参すればよいですし、乳幼児健診の記録は自治体に問い合わせると確認できる場合もあります(対応は自治体によって異なります)。祖父母など当時を知る家族に「歩き始めはいつ頃だった?」と聞いておくのも一つの手です。完璧な資料より、まず相談に行くことを優先してください。

Q4. インテークの結果、「うちでは対応できない」と断られることはありますか?

可能性はあります。ただしそれは「見捨てられた」のではなく、「もっと合う場所がある」という判断です。たとえば身体の症状が強ければ小児科の精査が先になりますし、専門的な入院設備が必要なら対応できる病院を紹介されます。インテークの目的の一つは、この「交通整理」でもあるのです。その際は「ではどこに相談すればよいですか」と必ず聞き、紹介状や情報提供をお願いしましょう。児童精神科と小児科の使い分けについては児童精神科と小児科、どちらに行けばいい?の記事も参考になります。

Q5. カウンセリング機関のインテークと病院のインテークは違いますか?

大きな流れは似ていますが、目的が少し違います。病院のインテークは医師の診察・診断につなげるための情報収集という色合いが強く、カウンセリング機関のインテークは「この機関のカウンセリングが合っているか」「どのカウンセラーが担当するか」を決める意味合いも持ちます。料金体系や頻度の説明が初回にあることも多いです(内容は機関によって異なります)。カウンセリング機関選びで迷っている方は、カウンセリングの選び方の記事で判断のポイントを解説しています。

今夜これだけ

スマホのメモに「困っていること・いつから・きっかけ・試したこと」の4行だけ書いてみてください。それがそのまま、インテーク面接のいちばんの持ち物になります。

まとめ

インテーク面接(受理面談)は、児童精神科やカウンセリング機関が最初に行う、情報収集と見立てのための面談です。担当は心理士・精神保健福祉士・看護師など機関によってさまざまで、診断をする場ではなく、その後の支援を的外れにしないための準備の時間です。

聞かれるのは、困りごとの経過、生育歴、家族構成、学校の様子、既往歴など。母子手帳・通知表・簡単なメモがあると心強い味方になります。うまく話せなくても、覚えていなくても、涙が出ても大丈夫。評価や査定の場ではないので、正直に、思いつくまま話してください。伝え忘れは次回や電話で補えます。

現場の看護師として断言できるのは、親御さんがインテークで話してくれた一つひとつの情報が、お子さんへの関わりの質を確実に上げているということです。あの面談は、親子と支援チームが同じチームになるための最初の一歩です。なお、診断や治療に関わる疑問は、必ず医師に確認してください。この記事が、受診前の不安を少しでも軽くできたなら嬉しいです。


参考にした公的情報・一次情報

この記事の内容に関連する制度・相談先・健康情報は、以下の公的情報・一次情報を2026年8月15日に確認しています。制度の運用や個別の医療判断は、学校・自治体・医療機関などへご確認ください。

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本記事は、児童思春期精神科での看護経験に基づいた一般的な情報提供を目的としています。医療行為・診断・治療の代わりとなるものではありません。お子さんの心身の状態にご不安がある場合は、必ず主治医・かかりつけ医・スクールカウンセラー・地域の相談窓口など、お子さまを直接見ることのできる専門家にご相談ください。詳細は免責事項をご確認ください。

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出典:厚生労働省「まもろうよ こころ」(2026年7月確認)
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