カウンセリングの選び方【子ども向け・親向け・種類別に解説】

診察室のソファで子どもを膝に抱く母親と、向かいに座って話を聞くカウンセラー。「親子のこころの処方箋」の文字入り 学校・病院への相談の仕方

この記事の要点

  • まず無料の窓口(スクールカウンセラー・自治体の教育相談)から試してよい
  • 初めてなら「公認心理師」か「臨床心理士」の資格を目安に選ぶ
  • 子どもの場合、本人が「また行きたい」と思えるかが最優先
  • 1〜2回で結論を出さない。ただし合わないと感じたら替えてよい
  • 親だけで受けるのも立派な選択肢。子どもが動かなくても始められる

カウンセリングを受けさせたほうがいいのか。どこに頼めばいいのか。料金はいくらかかるのか。調べ始めると選択肢が多すぎて、結局動けないまま時間が過ぎてしまう——そんなご相談をよく受けます。

私は2018年4月から看護師として勤務し(2か月のブランクあり)、2021年4月から児童思春期精神科病棟で働いています。病棟でも外来でも、カウンセリングにつながった子とそうでない子の両方を見てきました。この記事では、種類ごとの違い、資格の見分け方、料金、子どもの年齢別の選び方、そして「合わなかったとき」の判断までを整理します。

カウンセリングは「答えをもらう場」ではない

最初に、期待のずれを減らしておきます。カウンセリングは、専門家から正解を教えてもらう場ではありません。話すことで自分の考えが整理され、選択肢が見えてくる場です。

「アドバイスをもらえると思ったのに、聞かれるばかりだった」と感じて1回でやめてしまう方がいます。ただ、聞かれること自体が作業の一部です。指示がほしい場合は、認知行動療法のように課題を出す形の手法を扱うカウンセラーを選ぶと、期待に近くなります。

5つの選択肢と、使い分けの目安

種類費用相手を選べるか向いている場面
病院・クリニック保険が使える場合あり選べない診断書や薬の相談が必要になりそうなとき
スクールカウンセラー無料選べない学校での様子を踏まえて相談したいとき
自治体の教育相談無料選べない費用をかけずに継続して相談したいとき
開業カウンセリングルーム自費・高め選べる専門分野を指定してじっくり話したいとき
オンライン自費選べる外出が難しい・夜間に相談したいとき

病院のカウンセリングは、医師の診察と連携できるのが強みです。一方で予約が取りづらく、1回30分程度と短めのことが多い。児童精神科の初診自体が数ヶ月待ちの地域もあります(児童精神科の受診ガイド)。

スクールカウンセラーは無料で、学校での様子を知っている点が大きい。ただし勤務が週1〜2日のことが多く、長期休暇中は使いにくい。不登校で登校自体が難しい場合も利用のハードルが上がります(使い方のコツ)。

自治体の教育相談や子ども家庭支援センターも無料です。数週間から数ヶ月待つこともありますが、費用の心配なく継続できるのは大きな利点です。開業のカウンセリングルームは自費で高くなる代わりに、専門分野と時間の長さを選べます。オンラインは移動が要らず、外出が難しい子でも受けられます(オンラインカウンセリングの比較)。

資格の見分け方

「カウンセラー」という肩書きに法的な制限はありません。数日の講習で取得できる民間資格もあるため、最初の1か所を選ぶときは資格を目安にすると安全です。

  • 公認心理師——心理職で唯一の国家資格。大学・大学院での学修と国家試験の合格が必要
  • 臨床心理士——歴史のある民間資格。指定大学院の修了と認定試験が必要で、更新制
  • 臨床発達心理士・学校心理士——それぞれ発達領域・学校領域の専門性を示す資格

初めて利用するなら、公認心理師か臨床心理士のどちらかを持つ人から始めるのが無難です。そのほかの民間資格が悪いわけではありませんが、訓練の内容と量に幅があるため、最初の相談先としては判断が難しくなります。

料金の目安

公的な相談機関とスクールカウンセラーは無料です。開業のカウンセリングルームは1回5,000〜15,000円程度が一つの目安で、時間は50〜90分。オンラインは形式(ビデオ・チャット)や時間によって幅があります。医療機関のカウンセリングは、条件によって保険が適用される場合とされない場合があります。

料金体系は機関ごとに違い、変更もあるため、実際の金額は必ず公式の案内で確認してください。継続を前提にするなら、月あたりいくらまでなら無理なく続けられるかを先に決めておくと、途中で苦しくなりません。

子どもの年齢別|選び方が変わる

幼児〜小学校低学年

言葉で気持ちを説明するのが難しい年代です。遊びを通して表現するプレイセラピー、絵を使う描画法、箱庭療法など、言語以外の方法を扱えるカウンセラーが向きます。これらは専門的な訓練を要するため、対応できるかを事前に確認してください。

小学校高学年〜中学生

本人が行く気になれるかが最大の分岐点です。思春期の対応経験が豊富か、話しやすい雰囲気か。同性のカウンセラーを希望する子も多く、その希望は尊重して構いません。無理に連れて行っても、座っているだけの時間になります。

高校生以上

ほぼ大人と同じ形になりますが、予約や通いを本人が管理できる体制かどうかが実務上のポイントです。進路や対人関係のテーマを扱える相手を選ぶと、話が具体的になります。

どの年代でも共通するのは、1〜2回受けた後に本人へ「どうだった?」と聞くことです。評判のよいカウンセラーでも、本人が「行きたくない」と感じる相手では続きません。

発達特性がある子の場合

発達特性のある子では、カウンセラー側に知識と経験があるかで進み方が変わります。確認したいのは次の点です。

  • 発達特性への対応経験があるか
  • 部屋の明るさ・音・匂いなど、感覚面の配慮ができるか
  • 時間と流れを事前に明示してくれるか
  • 書き出しや絵カードなど、視覚的な補助を使えるか

診断がついていない場合でも、「こういう場面で困りやすい」と具体的に伝えておくと、初回から配慮してもらえます。

家族療法という選択肢

子ども一人の問題に見えていたものが、家族の関係の中で維持されていた、というケースは珍しくありません。家族療法は、個人ではなく家族全体のやりとりを対象にする方法です。

不登校や引きこもりが長引いている、一人の子に問題が集中している、家族で話すと必ず噛み合わない。こうした状況では検討する価値があります。初回は可能な範囲で家族が揃って参加し、その後は夫婦だけ、親子だけと柔軟に組み替えていくのが一般的です。

対応できる機関は限られるため、家族療法の訓練歴や学会の所属を明示しているカウンセラーを探すと確実です。

親だけで受けるという選択

子どもが受けたがらない場合、保護者だけで相談に行く形があります。これは「代わりに」ではなく、それ自体に意味のある選択です。家庭での関わり方が変われば、子どもの側にも変化が出ることがあります。

実際、現場で先に変化が見えるのは保護者のほうであることが多いです。眠れない、常に緊張している、子どもの顔を見ると身構える。こうした状態が続いているなら、まず大人の側の支えを確保してください(保護者のメンタルヘルス)。

初回の流れと、効果が見えるまで

初回はたいてい、困っていることの聞き取りと、今後の進め方の相談で終わります。その場で解決策が出ることは、まずありません。ここで「意味がなかった」と判断してしまうと、続きません。

変化の感触が出てくるのは、多くの場合3〜5回目あたりからです。最初の数回は状況の整理に使われ、そこから見立てが立ち、関わり方が変わっていきます。数ヶ月単位で考えておくと、途中の停滞に振り回されずに済みます。

合わないと感じたら替えてよい

相性の問題は確実に存在します。次のような状態が続くなら、替えることを検討して構いません。

  • 毎回、話したいことが話せないまま終わる
  • 価値観を押しつけられていると感じる
  • 子どもが強く拒否している
  • 数回通っても、方針や見立てがまったく共有されない

替えることは失礼ではありません。ただし1回で判断するのは早すぎます。3回程度は様子を見て、それでも変わらないなら別の相手を探す。この程度の基準がちょうどよいと感じています。

病棟で見てきた、うまくいった人の共通点

※以下のエピソードは、個人が特定できないよう複数のケースを合成し、状況を抽象化しています。

カウンセリングが機能した家庭には、いくつか共通点があります。ひとつは、すぐに結果を求めなかったこと。もうひとつは、子どもが話した内容を親が根掘り葉掘り聞き出さなかったことです。「今日どうだった?」と聞かれ続けると、子どもは安心して話せなくなります。

中学生の女子で、当初は毎回黙って座っているだけの回が続いた子がいました。ご家族が内容を聞かずに送迎だけを続けたところ、3ヶ月ほど経ってから本人が自分の言葉で話し始めました。守秘が守られている実感が、話す準備になったのだと思います。

無料で使える窓口

費用の面で迷っているなら、まず無料の窓口から始めて構いません。

  • 学校のスクールカウンセラー・養護教諭・担任
  • 自治体の教育相談所、子ども家庭支援センター、保健センター
  • 精神保健福祉センター(保護者だけの相談も可)
  • 24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310(24時間)
  • チャイルドライン 0120-99-7777(16〜21時・18歳まで)
  • よりそいホットライン 0120-279-338(24時間)

「死にたい」「消えたい」という言葉が出ている場合は、予約を待たずに相談してください。関わり方はこちらの記事にまとめています。

よくある質問

Q1. 子どもが行きたがりません

無理に連れて行っても効果は出にくいので、まず保護者だけで相談してください。カウンセラーから、本人へどう伝えるかの助言をもらえることもあります。

Q2. 何回くらい通うものですか?

テーマによりますが、月2回で数ヶ月から1年程度は一つの目安です。短期集中で終わる場合も、年単位で続ける場合もあります。最初に見通しを聞いておくとよいでしょう。

Q3. 話した内容は学校や親に伝わりますか?

原則として守秘義務があります。ただし、本人や他者の生命に関わる場合は例外です。スクールカウンセラーの場合、学校との情報共有の範囲は事前に確認しておくと安心です。

Q4. 病院の受診とどちらが先ですか?

不眠・食欲不振・強い身体症状が出ているなら、医療機関が先です。生活は保てていて気持ちの整理が主な目的なら、カウンセリングから始めて構いません。

Q5. オンラインでも効果はありますか?

言葉でのやりとりが中心のテーマなら、対面と大きな差は感じません。ただし遊びを使う手法は対面が前提です。外出が難しい状況なら、まずオンラインで始めるほうが現実的です。

Q6. 相談内容がまとまっていなくても行っていい?

問題ありません。整理するための場なので、「何から話せばいいか分からない」と伝えるところから始めて大丈夫です。

今夜これだけ

お住まいの自治体名と「教育相談」で検索して、窓口の電話番号だけ控えておいてください。実際にかけるのは、気持ちが向いた日で構いません。

看護師視点でのまとめ

カウンセリング選びで失敗しやすいのは、いきなり高額な自費の相談から入り、1〜2回で「効果がない」と判断してやめてしまうパターンです。無料の窓口から試し、合いそうなら継続し、合わなければ替える。この順番なら、費用も気持ちも消耗しません。

そして、子どもが動かないうちは何もできない、ということはありません。保護者だけで相談に行くのは、迂回ではなく正面の一手です。まずは電話番号を調べるところからで十分です。

参考にした公的情報・一次情報

この記事の内容は、以下の公的機関・一次情報を2026年8月15日に確認したうえで、家庭で実行しやすい形に整理しています。

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※本記事に記載した費用は2026年8月時点の目安です。制度の改定や事業者ごとの設定によって変わりますので、最新の金額は公式サイトやお住まいの自治体の窓口でご確認ください。

【医療に関する免責事項】

本記事は、児童思春期精神科での看護経験に基づいた一般的な情報提供を目的としています。医療行為・診断・治療の代わりとなるものではありません。お子さんの心身の状態にご不安がある場合は、必ず主治医・かかりつけ医・スクールカウンセラー・地域の相談窓口など、お子さまを直接見ることのできる専門家にご相談ください。詳細は免責事項をご確認ください。

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#いのちSOS:0120-061-338(24時間365日)
よりそいホットライン:0120-279-338(24時間)
24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(24時間)
チャイルドライン(18歳まで):0120-99-7777(毎日16〜21時)
児童相談所相談専用ダイヤル:0120-189-783(24時間)/虐待の心配は189
命に関わる危険があるときは、ためらわず119番へ。
出典:厚生労働省「まもろうよ こころ」(2026年7月確認)
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