「自分なんてダメ」と言う子への声かけ7例|言葉に迷う親の場面別ヒント

畳の部屋の小さな机でお絵かきをする男の子と、そばに座って笑顔で見守る母親。自己肯定感を育てる関わりのイメージ 子供への声掛け・接し方

本記事にはプロモーションが含まれています。

この記事の要点

  • 七つの言葉を全部覚える必要はない
  • 評価より見えた事実と気持ちを伝える
  • 言いすぎた後でも短く言い直せる
  • 話さない子には沈黙できる余白を作る
  • 強い自己否定は声かけだけで抱えない

子どもが「どうせ自分なんて」と言うたびに、親御さんは何と返せばよいか迷います。「そんなことないよ」と励ましても、子どもは納得しない。「もっと自信を持って」と言うと、かえって黙ってしまう。自分の言葉が悪かったのではないかと、会話の後まで考え続ける方もいるでしょう。

子どもの気持ちを支える言葉は、正解を一度で当てるものではありません。同じ言葉でも、失敗した直後、挑戦を前にしたとき、学校から疲れて帰ったときでは、受け取り方が変わります。親が疲れている日は、整った言葉が出ないこともあります。

この記事では、七つの場面に分けて声かけの例を紹介します。すべてを暗記する必要はありません。今の家庭で繰り返し起きる場面を一つ選び、言いやすい形へ変えて使ってください。

七つの声かけは魔法のフレーズではない

自己肯定感は、褒め言葉を増やせば自動的に変化する単純なものではありません。体調、友人関係、学校での経験、得意不得意、安心できる場所など、さまざまな条件が関係します。親の一言だけで子どもの状態を背負う必要はありません。

声かけで大切にしたいのは、子どもの評価を急いで変えることより、「今の気持ちを否定されずに聞いてもらえた」「失敗しても関係は切れない」と感じられるやり取りです。「すごい」「えらい」を増やすだけでなく、親が見た事実、子どもの気持ち、次に選べることを短く伝えます。

子どもがすぐ笑う、前向きな返事をすることを成果にしないでください。「別に」「分からない」と返されても、言葉が届いていないとは限りません。返事を求めず、その場を終えてよいこともあります。

褒められ方の好みを本人へ聞く方法もあります。「人前と二人の時ではどちらがいい?」「言葉で伝えるのと、うなずくだけならどちらが楽?」と二つに絞ります。答えが出なければ、反応を見ながら親が少しずつ変えて構いません。

失敗した時と挑戦の前に使える言葉

1.失敗した時「悔しかったね。どこまでできたか一緒に見よう」

テストで間違えた、試合で負けた、作品が思うようにできなかった。そんな時に「次は頑張ればいい」「失敗は成功のもと」とすぐ意味づけすると、子どもは悔しさを置き去りにされたように感じることがあります。最初に、本人が感じている悔しさや恥ずかしさを短く返します。

その後で、結果だけでなく途中を確認します。「最後まで提出した」「一問は自分で考えた」「途中で助けを求めた」など、実際に見えた行動を伝えます。無理に良い点を探して褒めるのではなく、事実を一緒に確認する言葉です。振り返りを嫌がるときは、「今は見たくないよね。後でもいい」と止めます。

2.挑戦の前「やるか迷っているんだね。どこまでなら試せそう?」

発表、部活動、初めての場所などを前に「無理」と言う子へ、「大丈夫」「あなたならできる」と励ましたくなります。しかし本人には、大丈夫ではない理由があるかもしれません。できると保証せず、迷いや不安があることを認めます。

挑戦を「全部参加するか、やめるか」の二択にせず、見学する、最初の十分だけ参加する、困ったら合図するなど、小さい選択肢を考えます。挑戦しない選択をした場合も、臆病と評価せず、何が負担だったかを次の準備に使います。

断る時と比較した時に使える言葉

3.親が断る時「今日はできない。代わりにここまでならできるよ」

子どもの希望をすべて受け入れることが、自己肯定感を支えるわけではありません。親にも時間、体力、金銭、安全の限界があります。「だめなものはだめ」と終える代わりに、断る理由を短くし、可能なら代わりの範囲を示します。

「今日は疲れていて公園には行けない。家で十分だけ一緒に遊べる」「今は買えない。誕生日に考える候補へ入れる」のように伝えます。代わりの案がない時は、「今日はできない。がっかりするよね」で終えても構いません。子どもの不満を消すことまで親の責任にしないでください。

4.人と比較した時「その子のことが気になったんだね。あなたは何が一番つらかった?」

「みんなはできるのに」「自分だけ遅い」と言われた時、「人と比べなくていい」と返すだけでは、本人が感じた差は消えません。まず、比較したくなるほど気になった出来事を聞きます。成績、見た目、友達の数、運動など、本人が苦しんでいる点は違います。

「でもあなたには良いところがある」と別の長所で打ち消すより、「追いつけないと思って悔しかったんだね」と返します。その後、本人が望むなら、自分の前回と比べる、助けを求める、練習の量を調整するなど、次の行動を一緒に考えます。

怒った後と学校で疲れた時に使える言葉

5.親が怒った後「大きな声で責めたのはよくなかった。言い直すね」

親がいつも穏やかでいることは難しいものです。言いすぎた後に「さっきはあなたが聞かなかったから」と子どものせいにせず、親の言動を具体的に認めます。「怒ったこと全部」ではなく、大声、侮辱、決めつけなど、よくなかった部分を伝えます。

そのうえで、「片づけてほしかった。今から一つずつ伝える」と言い直します。謝ったから家庭のルールを取り消す必要はありません。注意の内容と、傷つける言い方を分けることができます。子どもがすぐ許さなくても、受け入れるよう求めず時間を置きます。

6.学校で疲れた時「今日はよく話さなくてもいいよ。休んでから必要なら聞くね」

帰宅した子の表情が暗いと、「学校で何があったの」「また友達?」と確認したくなります。親の心配が強いほど質問が増えますが、学校で力を使い切った子には、説明すること自体が負担になる場合があります。

水分、食事、着替え、静かな時間など、身体を落ち着けることを先にします。「話さなくてよい」と伝えつつ、完全に放っておくのではなく、「夕食の後に一度声をかけるね」と次の接点を示します。体調不良や安全に関わる変化がある時は、必要な確認を短く行います。

何も話さない時は言葉を足しすぎない

7.沈黙している時「今は話したくないんだね。ここにいるよ」

問いかけても「別に」「分からない」としか返らない時、親は会話を成立させようと質問を重ねがちです。しかし、子どもは気持ちがないのではなく、言葉にできない、話す相手や時間を選びたい、親を心配させたくないことがあります。

「話したくなったら教えて」と言った後は、同じ部屋で別のことをする、飲み物だけ置く、短いメモを渡すなど、言葉以外の接点もあります。厚生労働省の保護者向け情報でも、話を聞くことに集中し、子どもの気持ちを否定せず、親の意見を押しつけない姿勢が示されています。

沈黙を尊重することと、危険な変化を放置することは別です。食事や睡眠が大きく崩れている、学校へ行けない状態が続く、自傷の跡があるなどの場合は、「話したくない」を尊重しながらも、大人が学校や医療機関へ相談します。

言い方を間違えたと思ったら後から言い直せる

「そんなことで落ち込まないの」「もっと頑張りなさい」と言った後、この記事を読んで自分を責める必要はありません。親も心配や疲れの中で言葉を選んでいます。大切なのは、一度も間違えないことより、気づいた後に関係を修復することです。

言い直しは長い説明にしなくて構いません。「さっき、もっと頑張れと言ったけれど、もう頑張っていたよね。先にしんどかった気持ちを聞けばよかった」と伝えます。「でも心配だったから」と正当化を足すと、子どもはまた自分の気持ちが後回しになったと感じることがあります。

子どもが「今さら遅い」と返す場合もあります。「そう思うよね」と受け止め、すぐ仲直りを求めません。同じ場面が次に来た時、言葉を一つ変えることが、言い直しの続きになります。

強い自己否定は声かけだけで抱えない

「自分なんていないほうがいい」「消えたい」「死にたい」という言葉は、励まして終える話ではありません。「そんなこと言わないで」「本気ではないでしょう」と否定せず、今どの程度危険があるかを確認し、大人が相談先へつなぐ必要があります。

  • 今、死にたい気持ちがあるか
  • 方法や場所を考えているか
  • 自分を傷つける物を持っているか
  • すでに自傷や服薬などの行動があったか
  • 一人で過ごす予定があるか

危険が疑われるときは子どもを一人にせず、刃物や薬など危険な物から距離を取り、医療機関や地域の緊急窓口へ連絡します。差し迫った危険がある場合は救急要請を含め、安全確保を優先してください。「秘密にして」と言われても、命や健康に関わる内容は秘密にできないことを説明します。

強い自己否定が続く、眠れない、食べられない、好きだったことをしない、欠席が増えるなど生活への影響がある時も、学校、スクールカウンセラー、かかりつけ医、児童精神科などへ相談します。声かけで何とかできなかったと、親御さんの失敗にしないでください。

児童思春期精神科の現場から伝えたいこと

私は看護師歴8年、うち児童思春期精神科で5年以上、自己否定の強い子どもと、何と声をかければよいか悩む親御さんの話を聞いてきました。親御さんは、過去の言葉を思い出して「あの一言が原因では」と考え続けることがあります。しかし、子どもの状態を親の一言だけで説明することはできません。

ある場面では、失敗した子へ家族が「次はできる」と励ますほど、本人は「今の悔しさを分かってもらえない」と黙っていました。先の成功ではなく、「悔しかったね」と今の気持ちを返し、振り返りは後日にしました。言葉を増やすより、話す順番を変えた場面です。

別の場面では、親御さんが怒鳴った後に物を買って埋め合わせていました。短く謝り、次は大声を出す前に会話を止めると伝える形へ変えました。親が間違いを認めても、親としての立場がなくなるわけではありません。

※個人が特定できないよう複数のケースを合成し、状況を抽象化しています。

よくある質問

Q1.毎日褒めたほうがよいですか?

回数を目標にする必要はありません。褒める点を探すより、「自分から準備を始めたね」「嫌だと伝えられたね」と見えた行動を言葉にします。褒められることが負担な子もいるため、反応を見ながら、うなずきや見守りだけにする日があっても構いません。

Q2.「そんなことない」と否定してはいけませんか?

親として否定したくなるのは自然です。ただ、「自分はだめ」と言った直後に打ち消すと、子どもは理由を話しにくくなることがあります。「そう思うほど何かあった?」と先に聞き、その後で親から見えている事実を伝えます。

Q3.子どもが声かけを嫌がります

言葉を減らして構いません。「今は言われたくないんだね」と伝え、そばにいる、飲み物を置く、必要な連絡だけする方法があります。人前で褒められることが嫌な子には、一対一で短く伝えるか、言葉にせず普段どおり接します。

Q4.親自身が疲れて優しい言葉が出ません

長い共感の言葉を作らなくて大丈夫です。「今は私も余裕がない。十分休んでから話したい」と会話を止める方法があります。親の疲れが続く時は、家事や対応の分担、学校や地域の相談先、親自身の受診や相談も検討してください。

今夜これだけ

子どもの今日の行動を一つ思い出し、「自分から着替えたね」のように評価を足さず事実だけ伝えてください。返事は求めなくて大丈夫です。

まとめ|覚える言葉は一つでよい

七つの声かけを全部使う必要はありません。失敗、挑戦、断る時、比較、怒った後、学校で疲れた時、沈黙という場面から、家庭で繰り返し起きるものを一つ選びます。子どもの評価を変えようと急がず、気持ちと見えた事実を短く伝えます。

言い方を間違えたと感じても、後から言い直せます。親が一度も感情的にならないことを目標にせず、よくなかった言動を認め、次に変えることを一つ伝えてください。子どもがすぐ前向きな反応をしなくても、返事を迫る必要はありません。

強い自己否定や「死にたい」という言葉は、家庭の声かけだけで抱えるものではありません。危険を確認し、子どもを一人にせず、学校や医療機関、緊急窓口へつなぎます。親の言葉だけに責任を集めず、複数の大人で支えることが大切です。

【医療に関する免責事項】

本記事は、児童思春期精神科での看護経験に基づいた一般的な情報提供を目的としています。医療行為・診断・治療の代わりとなるものではありません。お子さんの心身の状態にご不安がある場合は、必ず主治医・かかりつけ医・スクールカウンセラー・地域の相談窓口など、お子さまを直接見ることのできる専門家にご相談ください。詳細は免責事項をご確認ください。

🌙 つらいとき、ひとりで抱えないでください
お子さん本人も、親御さんも使える相談窓口です(無料・匿名OK)。
#いのちSOS:0120-061-338(24時間365日)
よりそいホットライン:0120-279-338(24時間)
24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(24時間)
チャイルドライン(18歳まで):0120-99-7777(毎日16〜21時)
児童相談所相談専用ダイヤル:0120-189-783(24時間)/虐待の心配は189
命に関わる危険があるときは、ためらわず119番へ。
出典:厚生労働省「まもろうよ こころ」(2026年7月確認)
子供への声掛け・接し方
星野レンをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました