この記事の要点
- 面会の決まりは病院ごとに違う。初回は短めに行われることが多い
- 最初の面会で「会いたくない」と言われても、次第に打ち解けていく子が多い
- 面会のあとに感情を爆発させる子は、実際にはあまりいない。しんどくなるなら、たいてい初回のあと
- 面会は、外出・外泊を経て退院へ向かうステップの始まり
- 質問攻めにせず、話を聞くことを第一に
- 話を聞くことと、「ダメなものはダメ」と伝えることは両立する
子どもが児童思春期精神科に入院すると、親の生活も大きく変わります。毎日顔を合わせていた子どもと、決められた日の、決められた時間だけ会う。初めての面会の前は、何を話せばいいのか、嫌がられたらどうしようかと、落ち着かない気持ちになると思います。
私は看護師歴8年、うち児童思春期精神科の病棟で5年以上働いてきました。病棟では、入院した子どもと親の面会の場面を見てきました。
この記事では、面会の決まりごと、最初の面会で起こりやすいこと、そして面会で親ができることを、病棟で見てきたことをもとにお伝えします。入院を勧められて迷っている段階の方は、子どもの入院を勧められた。断ってもいい?もあわせてご覧ください。
面会はどんな形で行われる?
面会の決まりは、病院ごとに違います。入院のときに渡される説明をよく読み、分からないことは病棟のスタッフに確認してください。そのうえで、ひとつの例として、私が働く病棟の形をお伝えします。
面会は1回30分で、病棟の面会室で行います。来られるのは基本的に両親で、きょうだいや祖父母も、医師の許可があれば面会できます。差し入れについては、寿司などの生ものは持ち込めません。また、病院は基本的に、物をたくさん持ち込むことを好みません。
ただし、持ち込めるものの決まりも病院ごとに違います。持っていく前に、病棟に確認してください。
面会は週1回をお願いしています。そして、初回の面会は短めに、15分くらいで行われることが多いです。その日の様子を見て、次回の面会の時間を考えていきます。
最初から長く会えないことを、さびしく感じるかもしれません。短い時間から始めるのは、面会の様子を見ながら、会う時間を少しずつ整えていくためです。
手紙や電話はできる?スマホは?
病棟では、子どもはスマホを基本的に使えません。一方で、手紙や電話は基本的にできます。
精神科の入院では、手紙や電話、面会といった外とのやりとりは、原則として自由に行えるものとされています(厚生労働省が定めた基準)。家族や社会とのつながりを保つことが、治療の上でも大切だと考えられているためです。ただし、病状や治療のために必要な範囲で、電話や面会が制限されることがあり、その場合は理由が説明されます。
電話や手紙でも、面会と同じく、質問を重ねすぎないことを意識してみてください。
最初の面会で「会いたくない」と言われたら
最初の面会では、親が来ても「会いたくない」と言って、病室のベッドの上から動かない子がいます。その場合、病棟では本人の意思を尊重し、親には「本人が会いたくないとのことなので」とお伝えして、その日は帰っていただきます。
そうした日の子どもは、たいてい憂鬱な表情をしています。看護師は、その子の様子を見ています。
会えずに帰る道は、親にとってつらいものです。ただ、それで終わりではありません。
最初の面会では拒否感が強かったものの、回を重ねるうちに次第に打ち解けていく子は多いです。
その日に会えなくても、次の面会の日は来ます。「会いたくない」と言われた日を、関係の終わりと受け取らないでください。
面会のあと、子どもはしんどくならない?
面会のあとに感情を爆発させる子は、実際にはあまりいません。しんどくなったり荒れたりする子がいるとすれば、たいてい初めての面会のあとです。
初めての面会は、子どもにとっても親にとっても、気持ちが大きく動く場面です。もし面会のあとに調子を崩したと聞いても、「会わないほうがよかったのでは」とひとりで結論を出さないでください。
面会のあとには、看護師が親御さんに面会中の様子をうかがうことがあります。特に初回の面会のあとです。病棟では、面会のあとの様子も見ながら、次回の面会の時間を考えていきます。
面会中に気になったこと、うまく話せなかったことがあれば、そのときに遠慮なく伝えてください。
次の面会をどうするかは、自分だけで決めずに、病棟と相談してください。
面会の先にあるもの|外出、外泊、そして退院へ
面会が進んでいくと、次は外出、そして外泊と、退院へのステップを踏んでいきます。
今は30分の面会でも、それは退院までの道のりの最初の一歩です。
どの段階にいつ進むかは、子どもの状態を見ながら、主治医が判断します。先の見通しが気になるときは、主治医や病棟のスタッフに尋ねてみてください。
面会で何を話せばいい? 質問攻めにしない
面会に来る親御さんに、看護師として伝えたいのは、質問攻めにしないことです。話を聞くことを、第一の姿勢にしてください。
たとえば「ちゃんと食べてる?」「眠れてる?」「先生とは話せてる?」「いつ帰れそう?」。どれも心配から出る、自然な言葉です。ただ、限られた面会の時間にこれを立て続けに聞かれると、子どもにとっては答えを求められ続ける時間になります。
親の関わり方が、押し付けから、話を聞く姿勢に変わったとき、子どもも少しずつ変わっていきます。
話を聞くというのは、子どもが話し始めるのを待つことでもあります。沈黙の時間があっても、無理に埋めなくて大丈夫です。
話を聞くことと、「ダメなものはダメ」は両立する
ただし、話を聞くことは、何でも受け入れることとは違います。ダメなものはダメと教えられないと、子どもに操作されてしまうこともあります。
それが問題になっている親子の場合、関係が変わっていくのは、親が子どもの要求を拒否できるようになったときです。
「話は最後まで聞く。でも、できないことはできないと伝える」。この二つは矛盾しません。
面会での距離感
病棟の面会では、小学校高学年の女の子が父親に抱きついていて、看護師としてかなり違和感を覚えることが時々あります。
久しぶりに会えたうれしさから、子どもの側が距離を詰めてくることもあるでしょう。それでも高学年から思春期にかけては、親子の身体の距離が自然と変わっていく時期です。年齢に合った距離を保つのは、子どもではなく大人の役目だと考えてください。
親自身が限界になる前に
子どもとのつながりを持ち続けることは大切です。ただ、それは支える側がしっかりしていないと難しいものです。限界になる前に、専門機関に相談してください。
子どもの入院中は、親も心と体が疲れやすい時期です。自分のためのカウンセリングや、地域の精神保健福祉センターなど、親自身が相談できる場所もあります。親の休み方については、子どものことで疲れ切った親へや、親のメンタルヘルス 完全ガイドでもお伝えしています。
よくある質問
Q1. 面会には毎週行かないといけませんか?
私が働く病棟では、面会は週1回をお願いしています。仕事や家庭の事情で難しい週もあると思います。その場合は、病棟に早めに相談してください。
Q2. きょうだいや祖父母を連れて行ってもいいですか?
基本的には両親の面会ですが、きょうだいや祖父母も、医師の許可があれば面会できます。病院ごとに決まりが違うので、事前に病棟へ確認してください。
Q3. 差し入れは何を持っていけばいいですか?
寿司などの生ものは持ち込めません。また、病院は基本的に、物をたくさん持ち込むことを好みません。病院ごとに持ち込めない物の決まりがありますので、持っていく前に、病棟に確認してください。
Q4. 「会いたくない」と言われた日は、どうすればいいですか?
本人の意思を尊重して、その日は帰っていただきます。最初の面会では拒否感が強くても、次第に打ち解けていく子は多いです。次の面会の日を待ってください。
Q5. 面会のあと子どもが不安定になったと聞きました。行かないほうがいいですか?
面会のあとに感情を爆発させる子は、実際にはあまりいません。しんどくなる子がいるとすれば、たいてい初めての面会のあとです。病棟ではその様子を見て、次回の面会の時間を考えていきます。面会をやめるかどうかは、自分だけで決めずに、病棟と相談してください。
今夜これだけ
次の面会で聞きたいことを紙に書き出してみてください。そして、ひとつだけ残して、あとは線で消してみてください。
看護師として伝えたいこと
面会で子どもが変わっていくのは、親の関わり方が、押し付けから話を聞く姿勢に変わったときです。最初の面会で「会いたくない」と言われても、次第に打ち解けていく子は多くいます。
限られた面会の時間は、何かを聞き出すための時間ではなく、子どもの話を聞くための時間です。そして、ダメなものはダメと伝えられる親でいることも、同じくらい大切です。
そのためにも、支える側の親が限界になる前に、専門機関を頼ってください。
参考にした公的情報・一次情報
この記事の内容に関連する制度は、以下の公的情報を2026年9月25日に確認しています。面会や持ち込みの具体的な決まりは、入院先の病院にご確認ください。


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