今月のこころ予報【2026年10月号】|行事ピークと日照減少に備える

今月のこころ予報のイメージ(やさしい水彩イラスト) 保護者向け

この記事の要点

  • 10月第1週は運動会後の燃え尽きに注意。頑張った直後こそ休息をあらかじめ確保する
  • 第2〜3週は文化祭など行事ピークの負荷が重なる。予定を足さず「引く」発想で守る
  • 日照が減り夕方から気分が沈みやすい。朝の光を浴びる時間を意識してつくる
  • 二学期中盤の中だるみは「怠け」ではなく疲れの表れ。責める前に休ませる
  • 朝晩が冷え、起きられない朝が増える。前夜の準備と朝の光で負担を減らす

こんにちは。看護師歴8年、うち児童思春期精神科で5年以上働いている星野レンです。毎月1日にお届けしている「今月の子どものこころ予報」、2026年10月号です。

10月は、9月の慌ただしさをくぐり抜けたあとにやってくる「見た目は落ち着いているのに、内側は疲れがたまっている」月です。天気にたとえるなら、晴れ間は増えるのに、日が短くなり、朝晩ぐっと冷え込む「秋晴れ、ところにより冷え込み」といったところ。この記事では、10月の子どもの心の傾向を週ごとの「予報」として整理し、家庭でできる備えを淡々とお伝えします。読んだあと、傘を1本用意しておくくらいの気持ちで受け止めていただければ十分です。

10月の全体予報|「秋晴れ、ところにより冷え込み」

まず今月の全体像です。10月の子どもの心は、大きく4つの要因に影響を受けます。

  • 運動会・体育祭が終わったあとの反動(燃え尽き・脱力)
  • 文化祭や合唱コンクールなど、次の行事ピークによる負荷の重なり
  • 日没が早まり、日照時間が減ることによる気分の落ち込み
  • 二学期中盤の中だるみと、朝晩の冷え込みによる起床困難

9月が「切り替えの月」だとすれば、10月は「疲れが遅れて出てくる月」です。9月をなんとか乗り切った子ほど、10月に入って電池が切れることがあります。予報としては「秋晴れ、ところにより冷え込み」。全体としては安定するのに、局地的に冷える瞬間がある。その冷え込みに、家庭で薄手の上着を用意しておくイメージで読み進めてください。

第1週の予報|運動会後の「燃え尽き」に注意

多くの学校で、運動会や体育祭は9月末から10月上旬に行われます。その直後の第1週に起こりやすいのが、いわゆる「燃え尽き」です。大きな行事に向けて何週間も練習を重ね、本番で全力を出し切ったあとには、必ず反動の脱力期が来ます。大人がイベントを終えたあとにどっと疲れが出るのと同じで、これは正常な体の反応です。

この週のサインは「行事は終わったのに、なぜか元気がない」という形で出ます。朝起きられない、学校に行きたがらない、家でゴロゴロして動かない。周囲からは「あんなに頑張れたのに、なんで今さら」と見えるため、叱られやすい時期でもあります。けれど、頑張った直後に落ちるのは順序として自然です。頑張りは貯金ではなく燃料なので、大きく使えばその分だけ空になります。

備えとしては、行事の「あと」に休息をあらかじめ入れておくことです。運動会が終わった週末は予定を詰め込まず、家でのんびりできる時間を確保する。「頑張ったんだから、しばらくゆっくりしていい」と親が先に言葉にしてあげるだけで、子どもは安心して充電できます。この時期に登校をしぶる場合の向き合い方は、「学校に行きたくない」と言われたときの記事も参考にしてください。

第2〜3週の予報|行事ピークの負荷が重なる

第2週から第3週にかけては、文化祭・学芸会・合唱コンクールといった、秋の行事が次々にやってくる時期です。運動会の疲れがまだ抜けきらないうちに、次の準備が始まる。負荷が「切れ目なく」続くのが、10月中旬の特徴です。

この時期のサインは、夕方から夜にかけて出やすくなります。帰宅後の口数が減る、宿題に取りかかれない、些細なことで泣いたり怒ったりする、寝つきが悪くなる。学校では気を張って頑張っているぶん、家で緊張がほどけて崩れるのです。これは甘えではなく、外で使い切ったエネルギーの反動です。家で崩れられるのは、家が安全な場所である証拠でもあります。

備えのコツは、予定を「足す」のではなく「引く」ことです。行事の準備で日中の負荷が増えている時期は、家庭側の要求を意識して下げる。習い事を1回休む、宿題は最低限にする、就寝時刻だけは死守する。負荷が増える時期に家庭の要求も増やすと、どこかで必ず破綻します。「今月は行事が続くから、家ではゆるめでいい」と親が先に決めておくことが、燃料切れを防ぐ一番の近道です。親自身の疲れも同じ時期にたまりますので、親の疲れSOSチェックリストで、ときどき自分の状態も点検してみてください。

第4週の予報|日照減少と「中だるみ」が重なる

第4週は、10月の中で最も見落とされやすい時期です。行事が一段落し、生活が落ち着いて見える一方で、内側では2つの負荷が静かに重なります。ひとつは日照時間の減少、もうひとつは二学期中盤の中だるみです。

10月は日没が目に見えて早まる月です。夕方5時前に薄暗くなり始めると、なんとなく気分が沈む、寂しさが強くなる、やる気が出ないという子がいます。朝の光を浴びる時間が減ると、体内時計や気分の調整に関わるリズムが乱れやすくなることが知られています。季節の変わり目に気分が揺れるのは大人も同じで、異常なことではありません。ただ、この落ち込みが行事疲れと重なると、子どもは自分でも理由の分からないだるさを抱えることになります。

そこへ二学期中盤の中だるみが加わります。始業から2か月近く経ち、緊張感がゆるむ頃です。「やる気がない」「ぼーっとしている」と見える状態を、怠けと決めつけないでください。多くの場合、それは気持ちの問題ではなく、たまった疲れの表れです。責めるより先に、まず休ませる。この順番を間違えないことが、10月後半では特に大切になります。

備えとしては、夕方以降は部屋の照明を早めにつけること、そして朝に光を浴びる時間を意識してつくることです。カーテンを開けて朝日を入れる、登校前に少し外の光に当たる。地味ですが、日が短くなる時期の気分を支える、確かな土台になります。

朝晩の冷えと「起きられない朝」への備え

10月は朝晩の冷え込みが強まる月でもあります。布団から出るのがつらくなり、起床に時間がかかる子が増えます。これは気合いの問題ではありません。寒い朝は体温を上げるのに時間がかかり、体が動き出すまでのハードルが物理的に高くなります。

加えて、朝に起きられない状態が続く場合、単なる寒さや夜更かしだけでなく、体の調整機能が関わっていることもあります。とくに立ち上がったときのだるさや、午前中の不調が目立つ場合は、起立性調節障害という体の状態が背景にあることがあります。詳しくは起立性調節障害と不登校の記事で整理していますので、「怠けているだけには見えない」と感じたら参考にしてください。判断に迷うときは、必ずかかりつけの医師に相談することをおすすめします。

家庭でできる備えは2つです。1つは、前夜のうちに翌朝の準備を済ませておくこと。着替えを枕元に置く、持ち物をそろえておく。朝の作業を減らすほど、起きたあとの負担が軽くなります。もう1つは、起床時刻にカーテンを開けて朝の光を入れ、起こす声かけは最小限にして待つこと。寒い朝の起床については、朝起きられない子どもへの向き合い方の記事もあわせてご覧ください。

今月の家庭の備え3つ

ここまでの予報を踏まえて、10月の家庭の備えを3つに絞ります。全部やる必要はありません。できそうなものを1つ選ぶだけで十分です。

備え1|行事の「あと」に休息をあらかじめ入れる

運動会や文化祭のような大きな行事のあとには、必ず反動が来ます。だからこそ、行事の直後の週末は予定を詰め込まず、家でゆっくりできる時間を先に確保しておきましょう。「頑張ったんだから、しばらく休んでいい」と親が言葉にしてあげることが、子どもが安心して充電するための許可証になります。燃え尽きは、休息を先回りで用意できれば軽く済みます。

備え2|日が短くなる時期は「朝の光」を意識してつくる

日照が減る10月は、朝の光を浴びる時間を意識して確保することが、気分の落ち込みへの備えになります。起床時刻にカーテンを開けて朝日を入れる、登校前に少しだけ外の光に当たる、休日は午前中に短い散歩を入れる。夕方以降は逆に、暗くなる前に部屋の照明を早めにつける。光を味方につけるだけで、秋の気分の揺れは小さくできます。

備え3|「中だるみ」は責める前に休ませる

二学期中盤のぼんやりした様子を見ると、つい「気を抜くな」と言いたくなります。けれど、中だるみに見える状態の多くは、たまった疲れの表れです。まず休ませて、エネルギーが戻ってから声をかける。この順番を守るだけで、こじれずに済むことが多いのです。疲れを放置して無理を重ねると、体調不良や不登校といった二次的な問題につながることもあります。予防の考え方は二次障害を防ぐための記事で詳しくまとめています。

10月によくある質問

予報とあわせて、この時期に保護者の方からよくいただく質問にお答えします。個別の状況で判断が変わる部分は、必ずかかりつけの医師やスクールカウンセラーにもご相談ください。

Q1. 運動会のあとにゴロゴロしてばかりです。だらけているだけでは?

だらけているように見えても、多くは頑張りの反動です。大きな行事に向けて何週間も練習を重ねたあとには、必ず脱力期が来ます。これは正常な体の反応で、無理に動かそうとするとかえって回復が遅れます。目安としては、数日から1週間ほどでゆっくり戻ってくれば心配いりません。この間は「今は充電中」と捉えて、休息を優先させてあげてください。一方で、脱力が2週間以上続き、食事や睡眠まで崩れてくる場合は、単なる反動を越えている可能性があります。その際はスクールカウンセラーや医療機関に相談する段階です。

Q2. 秋になってから、夕方に急に元気がなくなります。大丈夫でしょうか?

日が短くなる時期に、夕方以降の気分が沈むこと自体は、多くの子に見られる自然な反応です。朝の光を浴びる時間が減ることで、気分やリズムの調整が揺れやすくなるためと考えられています。まずは朝に光を浴びる時間をつくり、夕方は暗くなる前に部屋を明るくする、といった環境の工夫を試してみてください。それでも、気分の落ち込みが数週間続く、食欲や睡眠に影響が出ている、学校生活に支障が出ているといった場合は、様子見の段階を越えています。かかりつけの医師や児童精神科への相談をおすすめします。

Q3. 朝、布団から出られません。寒さのせいでしょうか?

朝晩が冷え込む10月は、寒さで起床がつらくなるのは自然なことです。まずは前夜に翌朝の準備を済ませておき、起床時刻にカーテンを開けて光を入れ、起こす声かけは最小限にして待つ、という基本から始めてみてください。ただし、起きられない状態が続き、立ち上がったときのだるさや午前中の不調が目立つ場合は、寒さだけでなく体の調整機能が関わっていることもあります。起立性調節障害という状態が背景にあるケースもあるため、気になるときは自己判断せず、かかりつけの医師に相談してください。「怠けているだけには見えない」という保護者の直感は、案外あてになります。

Q4. 「中だるみ」と本当の不調は、どう見分ければいいですか?

見分けの目安は「生活の土台」と「期間」です。中だるみであれば、休むとある程度回復し、食事・睡眠・入浴といった生活の基本は保たれています。一方、休んでも回復せず、生活の土台が崩れてくる、2週間以上ぼんやりした状態が続く、といった場合は、単なる中だるみを越えているサインです。また、期間にかかわらず「消えたい」「自分なんていないほうがいい」という言葉が出たときは、迷わずその日のうちに専門機関へ相談してください。早すぎる相談というものはありません。判断に迷うほど、早めに外の力を借りることが、本人と家族を守ります。

今月のBGM|「夜の灯台」

予報の恒例コーナー、今月のBGMです。私は看護の仕事のかたわら、リラックスBGMのYouTubeチャンネル「Calm Harbor」を運営しています。10月にご紹介するのは「夜の灯台」。夜の港に灯台の光がゆっくり巡る映像に、静かなピアノを合わせた長尺のBGMです。

日が短くなり、夕方から気分が沈みやすいこの季節。行事で疲れて帰ってきた夕方や、眠る前のクールダウンの時間に、部屋の照明を落として小さな音量で流す。そんな休息のおともにどうぞ。効果を約束するものではありませんが、「何もしない時間」をつくるきっかけとして使っていただけたら嬉しいです。動画はこちら(YouTube・夜の灯台)から聴けます。

今夜これだけ

今夜は、明日の朝の持ち物と着替えを枕元にそろえておいてください。寒い朝の作業がひとつ減るだけで、お子さんが布団から出る負担が軽くなります。

現場からのひとこと|看護師視点でのまとめ

10月の子どもの心は「秋晴れ、ところにより冷え込み」。第1週は運動会後の燃え尽き、第2〜3週は行事ピークの負荷、第4週は日照減少と中だるみ、そして月を通して朝晩の冷えによる起床困難。全体としては落ち着いて見えるのに、局地的に冷える瞬間がある。それが10月です。

病棟から見えている季節の波として、入院が増えるのは、ゴールデンウィーク明けの5月から6月、長期休暇明けの9月から10月、冬休み明けの1月です。10月も、その時期に含まれます。また、運動会や文化祭などの行事が、もともと調子がよくなかった子にとって崩れるきっかけになることはあります。だからこそ10月は、「頑張らせ続けること」より「疲れを先回りで休ませること」を大切にしてください。行事のあとに休息を入れる、日が短い時期は朝の光を意識する、中だるみは責める前に休ませる。この3つができていれば、多少の冷え込みは乗り切れます。

一方で、脱力や落ち込みが2週間以上続く、食事や睡眠が崩れる、朝の不調が強く午前中動けない、「消えたい」といった言葉が出る場合は、家庭の調整だけで抱える段階を越えています。その際はためらわず、スクールカウンセラーや児童精神科などの専門機関、かかりつけの医師に相談してください。判断に迷うときほど、早めの相談が本人と家族を守ります。

それでは、また来月の予報でお会いしましょう。10月が、お子さんにとってもあなたにとっても、冷え込む朝に上着を1枚はおって歩ける月になりますように。


参考にした公的情報・一次情報

この記事の内容に関連する制度・相談先・健康情報は、以下の公的情報・一次情報を2026年8月15日に確認しています。制度の運用や個別の医療判断は、学校・自治体・医療機関などへご確認ください。

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【医療に関する免責事項】

本記事は、児童思春期精神科での看護経験に基づいた一般的な情報提供を目的としています。医療行為・診断・治療の代わりとなるものではありません。お子さんの心身の状態にご不安がある場合は、必ず主治医・かかりつけ医・スクールカウンセラー・地域の相談窓口など、お子さまを直接見ることのできる専門家にご相談ください。詳細は免責事項をご確認ください。

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出典:厚生労働省「まもろうよ こころ」(2026年7月確認)
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