児童精神科の予約電話で何を聞かれるか|初めての電話を乗り越えるための台本【現場の看護師から】

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こんにちは。児童思春期精神科の病棟で看護師として働いている星野レンです。子どものことで「そろそろ病院に相談したほうがいいのかもしれない」と思って受話器を持ち上げたのに、最初の一言が出てこなくて指が止まってしまった――そんな経験はありませんか。私は外来の電話対応を見聞きする立場でもあるのですが、お母さんやお父さんが言葉に詰まりながら、それでも勇気を振り絞って電話をかけてくださる場面に何度も出会ってきました。「なんて言えばいいのか」「どこから話せばいいのか」「変な親だと思われないか」――そう感じるのは、あなたが真剣にお子さんを心配しているからこそです。この記事では、児童精神科の予約電話で実際に聞かれる項目と、すぐ使える電話の台本を、看護師の立場から分かりやすくまとめました。読み終える頃には、もう少し落ち着いて受話器を持てるはずです。

  1. 児童精神科の予約電話の特徴|なぜ普通の小児科と違うのか
  2. 児童精神科とは何か——基礎知識
  3. 児童精神科の電話で聞かれる10項目
  4. 準備しておくと安心な10つのメモ|手元に置く台本テンプレ
  5. 電話の台本|実例3パターン
  6. 「言わなくていいこと」と「言いすぎないコツ」
  7. 電話する病院の選び方
  8. 父親・祖父母・本人が電話する場合
  9. 電話する前の心の準備
  10. 予約が取れない・数か月待ちと言われた時の選択肢
  11. 受診当日までの流れ
  12. 初診で何を聞かれるか
  13. 診断と治療計画
  14. 自立支援医療と医療費
  15. 看護師としての一言|電話で泣いてしまった親御さんの話
  16. 病棟で見てきた電話の3ケース
  17. 電話が苦手な人へのアドバイス
  18. 電話の時に注意したいこと
  19. 地域差・病院差を知っておく
  20. 受診後のフォローと家族のサポート
  21. 初診から1か月の流れ
  22. 主治医との関係を築く
  23. 看護師・心理士・ソーシャルワーカーの活用
  24. 入院治療の選択
  25. よくある質問(FAQ)
  26. 「うちの子は病気じゃない」と思った時
  27. 「電話できない時」のサポート資源
  28. 初診までの過ごし方
  29. 大人になった元患者の声
  30. 親自身のセルフケア
  31. 医療機関と並行して使える支援サービス
  32. 夫婦・家族で話し合っておきたいこと
  33. 家庭でのサポートのコツ
  34. まとめ|最初の一本の電話が、子どもを救うはじまり
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児童精神科の予約電話の特徴|なぜ普通の小児科と違うのか

児童精神科の予約電話は、風邪で小児科にかける電話とは少し性質が異なります。理由のひとつは「初診枠の希少性」です。児童精神科は全国的に医師が不足しており、特に思春期外来を持っている病院では、初診の予約だけで2か月から半年待ちというところも珍しくありません。そのため、電話口で「この方を初診で受け入れられるか」「どの程度の緊急性があるか」をスタッフ側が丁寧に確認する必要があり、結果として聞かれる項目が多くなります。

もうひとつの特徴は、最初の電話が「予診(よしん)」を兼ねていることです。受付や看護師、心理士が電話で状況をひととおり聞き取り、医師にカルテとして共有する病院が多くあります。つまり、最初の電話で話した内容は診察の前段階の情報として残ります。「ちゃんと話さなきゃ」と気負ってしまう方もいますが、まとまっていなくて大丈夫です。あとから外来で補足できますし、電話のスタッフも慣れていますので、断片的でもきちんと拾ってくれます。

また、児童精神科では原則として「保護者からの電話」を求められることが多いのも特徴です。子ども本人が電話をかけてしまうと、保険証や保護者同意の確認が取れず、結局かけ直しになるケースがあるためです。中学生・高校生の場合は本人が電話することもありますが、保護者と一緒に動く前提で考えておくとスムーズです。

児童精神科とは何か——基礎知識

「児童精神科」という言葉自体が初めての方も多いと思います。電話をかける前に、基本的な知識を整理しておきましょう。

児童精神科の対象年齢

児童精神科は、おおむね0歳〜18歳までのお子さまを対象とします。病院によって受け入れ年齢に幅があり、「思春期外来」は中学生以上を対象とすることが多いです。本人の年齢に応じて、適切な医療機関を選びましょう。

どんな症状を診るのか

発達障害(ASD、ADHD、LDなど)、不登校、抑うつ、不安症、強迫症、自傷、摂食障害、チック、トゥレット症候群、統合失調症、双極性障害——子ども・思春期の精神疾患全般を診療します。「これは児童精神科の対象か」と迷うレベルでも、まず相談してみるのが正解。

小児科・心療内科との違い

小児科は体の不調全般、心療内科は心と体のつながりが強い症状、児童精神科は精神疾患を中心に診ます。「どこに行けばいいか分からない」場合、まずかかりつけの小児科に相談し、紹介してもらうのも一つの方法です。

大学病院・総合病院・クリニックの違い

大学病院・総合病院の児童精神科は、検査設備が整い、複雑な症例に対応可能。クリニックは予約が取りやすく、長期的な通院に向きます。本人の状態とニーズに応じて選びましょう。

男女別の医師の専門性

本人が「男性医師がいい」「女性医師がいい」という希望がある場合は、電話で問い合わせを。特に思春期の女の子は「同性医師がいい」と希望することがあります。

専門医の有無

「子どものこころ専門医」「精神保健指定医」など、専門資格を持つ医師がいる病院もあります。複雑な症例なら、専門医のいる施設を選ぶのがおすすめ。

児童精神科の電話で聞かれる10項目

病院によって順番や聞き方は多少違いますが、おおむね次の10項目が聞かれると思っておけば外しません。心の準備という意味で、ひととおり目を通してみてください。

1. 子どもの氏名・生年月日・性別

まず本人の基本情報です。氏名のフリガナ、生年月日(西暦・和暦どちらでも)、性別を確認されます。緊張してフルネームが出てこないこともあるので、メモを手元に置いておきましょう。

2. 主訴(何で困っているか)

「今日はどういったご相談でしょうか」と聞かれます。一番伝えたい困りごとを、ひと言で伝えるイメージです。「学校に行けなくなって2か月になります」「最近自分の腕を切っているのを見つけました」など、状況を端的に。

3. 症状の期間(いつから)

「いつ頃から気になっていますか」と必ず聞かれます。きっかけになった出来事(運動会の前、進級、友人とのトラブルなど)と一緒に思い出すと、自然に時系列が浮かんできます。

4. 受診歴(他院の有無・処方)

過去にメンタル系の医療機関にかかったことがあるか、現在飲んでいる薬があるかを聞かれます。お薬手帳を手元に出しておくと安心です。「近所の小児科で相談したけど紹介になった」も立派な受診歴です。

5. 紹介状の有無

大きな病院ほど「紹介状(診療情報提供書)はお持ちですか」と確認されます。紹介状がある場合は受け入れ優先になることもあります。なくても受診は可能な病院が多いので、ここで諦めないでください。

6. 学校状況(不登校・登校状況)

「学校には行けていますか」「現在の学年は」と聞かれます。完全な不登校・遅刻早退・保健室登校・別室登校など、現状をそのまま伝えて構いません。スクールカウンセラーや担任との連携状況も聞かれることがあります。

7. 家庭状況(家族構成・同居/別居)

同居している家族の構成、きょうだい関係、別居の親がいるかどうか、を聞かれます。デリケートな質問に感じるかもしれませんが、これは子どもの環境を理解するための情報です。「父・母・本人・弟(小2)の4人暮らし」のように簡単で十分です。

8. 緊急性(自傷・希死念慮の有無)

「自分を傷つけてしまうことはありますか」「死にたいと口にすることはありますか」と聞かれることがあります。これは病院側が緊急枠で受け入れるかどうかを判断するための、とても大事な質問です。「ある」と答えることで予約が早まることはあっても、不利になることはありません。事実を正直に伝えてください。

9. 親の希望診療日時

「ご都合のよい曜日や時間帯はありますか」と聞かれます。多くの児童精神科では平日昼間の枠しかないため、学校や仕事の調整が必要になります。第1希望・第2希望まで考えておくと、その場で決められます。

10. 保険証・受給者証の有無

健康保険証はもちろん、自治体の子ども医療費受給者証、自立支援医療や障害福祉サービス受給者証を持っている場合は伝えます。「うちの子は何も持っていない」ということはまずないので、保険証だけでも大丈夫です。

準備しておくと安心な10つのメモ|手元に置く台本テンプレ

ここからは、電話する前に手元に書き出しておきたいメモを10項目ご紹介します。A4用紙1枚にざっと書き出すだけで、ずいぶん心が落ち着きます。スマホのメモアプリに打ち込んでおいてもいいですね。

  1. 子どもの基本情報:氏名(フリガナ)/生年月日/性別/学年
  2. 主訴のひと言メモ:「学校に行けない」「自分を傷つける」「気分の波が激しい」など、一番伝えたいことを1行で
  3. 症状のはじまり:きっかけ(あれば)/いつから/頻度/変化したきっかけ
  4. 受診歴・服薬:過去の医療機関名/現在の処方薬/お薬手帳の場所
  5. 紹介状の有無:あり/なし/取れそうな病院があるか
  6. 学校の状況:登校/遅刻早退/別室登校/不登校(期間も)/担任名・SC連携の有無
  7. 家族構成:同居メンバー/きょうだいの年齢/別居家族
  8. 緊急性のサイン:自傷の有無と頻度/「死にたい」発言の有無/不眠・拒食の有無
  9. 受診できる曜日・時間:第1希望/第2希望/NGの日
  10. 保険・受給者証:健康保険証/子ども医療費/自立支援/療育手帳など

ポイントは「全部完璧に書こう」としないこと。空欄があっても大丈夫です。電話でその場で「すみません、わかりません」と答えても、責められることはありません。むしろ「分かる範囲で」と前置きしてくれる病院がほとんどです。

電話の台本|実例3パターン

では、実際に話す流れを3つのパターンで見てみましょう。あくまで例ですので、お子さんの状況に合わせて差し替えて使ってください。

パターンA:不登校で受診したい

あなた:「お忙しいところすみません。中学2年の息子のことで、初診の予約をお願いしたくてお電話しました。」

受付:「お子さまのお名前と生年月日をお願いします。」

あなた:「○○○○、××××年×月×日生まれ、14歳の男子です。今は2か月ほど学校に行けていなくて、家の中でも口数が少なくなってきました。朝起きられず、頭痛や腹痛を訴えることが増えています。これまで精神科にかかったことはありません。紹介状はありません。担任の先生とスクールカウンセラーには相談していて、医療につないだほうがいいと言われました。」

受付:「自分を傷つけたり、死にたいと口にすることはありますか?」

あなた:「今のところ自傷はありませんが、『消えてしまいたい』と先週ぽつりと言いました。」

――これだけ伝われば、あとは病院側が日程を提示してくれます。

パターンB:自傷を見つけて緊急で

あなた:「中3の娘のことで急ぎ相談したくてお電話しました。昨夜、腕にカッターでつけた傷を見つけてしまって、本人とも話したのですが、ここ数週間続いていたようです。すぐに受診できる枠はありますか?」

受付:「傷の深さや出血の状況はいかがですか?」

あなた:「浅い傷が複数本で、出血は止まっています。本人は『死にたいわけではない』と言っていますが、私としては心配で、専門の先生に診ていただきたいです。」

緊急度が高い場合は、初診待ちの列を飛ばして優先枠に入れてもらえることがあります。傷が深い・出血が止まらない・「死にたい」発言が強い場合は、児童精神科の予約を待たず、救急外来やいのちの電話(よりそいホットライン 0120-279-338)の活用も並行して検討してください。

パターンC:発達障害の診断を希望

あなた:「小学3年の息子のことで、発達面の評価をお願いしたくてご相談です。落ち着きのなさや、集団での指示の入りにくさが気になっていて、担任の先生からも一度専門の先生に診てもらってはと言われました。療育や検査の経験はまだありません。学校から書面はもらえそうです。」

発達障害の診断目的の場合は、初診後に心理検査(WISCなど)の予約が別日で組まれます。「診断書がほしい」「学校に提出する書類がほしい」など目的があれば、最初の電話で伝えておくと、適切な医師・科に振り分けてもらえます。

「言わなくていいこと」と「言いすぎないコツ」

電話で頑張って全部伝えようとすると、かえって要点がぼやけてしまいます。電話ではあくまで「予約を取るための情報共有」と割り切って、詳しい家庭背景や夫婦関係の悩みなどは、外来で医師に直接話すほうが伝わります。育ちの細かい経緯、過去の家族間のトラブル、自分自身の生育歴などは、電話で長々と話す必要はありません。

言いすぎないコツは3つです。①主訴は1〜2文で。②期間は「いつから」を一言で。③緊急サイン(自傷・希死念慮・拒食・不眠)は短く事実だけ。この3つさえ押さえれば、あとは聞かれたことに「はい/いいえ/わかりません」で答えていけば大丈夫です。「うまく話せなかった」と落ち込む必要はまったくありません。電話のスタッフは、断片からでも必要な情報を拾うプロです。

電話する病院の選び方

電話する前に、どの病院に電話するかを決める必要があります。病院選びのポイントを共有します。

地域の児童精神科を探す

「○○市 児童精神科」「△△県 思春期外来」などで検索。Googleマップで近隣の医療機関を探すのも有効。地域によっては選択肢が少ない場合もありますが、まず一覧を作りましょう。

医療機関の情報源

「日本児童青年精神医学会」のホームページでは、地域の専門医情報が確認できます。市区町村の保健センター、子ども家庭支援センターも、地域の医療機関を紹介してくれます。

かかりつけ小児科に相談

かかりつけの小児科に「児童精神科を紹介してほしい」と相談するのも有効。紹介状を書いてもらえれば、優先枠で受診できる病院もあります。

スクールカウンセラーに相談

学校のスクールカウンセラーは、地域の医療機関情報を持っていることが多いです。学校経由で相談するのも一案。

口コミの活用

地域の保護者会、SNSのコミュニティで、口コミ情報を集める。「あの先生は親切」「あの病院は予約取りやすい」など、リアルな情報が役立ちます。ただし、口コミは個人の主観なので、参考程度に。

複数の病院に電話する

1つの病院だけでなく、複数の病院に電話することも検討。それぞれの予約状況、対応の雰囲気を比較できます。「電話の対応がよかった病院」は、診察も丁寧なことが多いです。

父親・祖父母・本人が電話する場合

電話するのは母親というイメージがありますが、誰が電話してもOK。立場別のポイントを共有します。

父親が電話する場合

父親が電話するのも全く問題ありません。「保護者からの電話」が条件なので、父親も保護者の一人として対応可能。父親が電話することで、家族全体で本人を支える姿勢が伝わります。

祖父母が電話する場合

祖父母が電話する場合、「保護者の代理」として扱われます。電話だけは祖父母が、診察には親が同伴、という形が一般的。事前に家族で役割分担を相談しておく。

中高生本人が電話する場合

中高生本人が電話する場合、本人が状況を一番よく分かっているため、伝わりやすいメリットがあります。ただし、保険証・保護者同意が必要なため、親と一緒に動く前提で。

ひとり親家庭の場合

ひとり親家庭でも、もちろん電話できます。「ひとり親で困っている」「平日は仕事で時間が取れない」など、状況を伝えることで、土曜診療の病院を紹介してもらえることも。

共働き家庭の場合

共働き家庭は、診療日時の調整が大変。「土曜診療があるか」「夕方の枠があるか」を事前に確認。職場の理解を得る準備も必要です。

夫婦で電話を分担

1つの病院に父親、別の病院に母親——夫婦で手分けして電話するのも効率的。情報を共有しながら、最適な病院を選びましょう。

電話する前の心の準備

電話する前に、心の準備をしておくと、緊張が和らぎます。具体的な準備のコツを共有します。

「メモを手元に」

準備した10項目のメモを、必ず手元に。ペンも準備しておく(受付からの情報をメモするため)。

「静かな場所で」

子どもがいない、静かな場所で電話する。本人に聞かれたくない話もあるため、別室で電話するのがおすすめ。

「時間に余裕を持って」

電話は20〜30分かかることも。バタバタした時間ではなく、ゆっくり話せる時間に。

「深呼吸してから」

電話する直前に、3回深呼吸。緊張を少しでも和らげる。「うまく話せなくても大丈夫」と自分に言い聞かせる。

「お茶を用意」

お水やお茶を手元に。緊張して喉が渇くことがあります。

「夫婦で電話する」

可能なら、夫婦で一緒に電話する。スピーカーホンにして、2人で内容を確認できると安心。

予約が取れない・数か月待ちと言われた時の選択肢

「初診は4か月後になります」と言われ、絶望して電話を切りそうになった――そんな経験のある親御さんは多いです。でも、選択肢はいくつかあります。

  • 他院への紹介を依頼する:電話口で「他に予約が取りやすい児童精神科をご存じありませんか」と聞いてみる。地域の連携先を教えてくれることがあります。
  • かかりつけ小児科で診療情報提供書を書いてもらう:紹介状があると優先枠に入れる病院があります。
  • 思春期外来のある心療内科・精神科を検討する:「中学生以上であれば」と引き受けてくれる一般精神科もあります。
  • 地域の児童相談所・子ども家庭支援センターに相談する:医療と並行して、福祉的な支援にもつながれます。
  • スクールカウンセラー・教育支援センターを当面の窓口にする:受診待ちの間、子どもが孤立しないようにするための大切なつなぎ役です。
  • キャンセル待ちを依頼する:「キャンセルが出たら早めの枠でも構いません」と伝えておくと、繰り上げの連絡をもらえることがあります。

長く待つ間、自傷や希死念慮が強くなった場合は、迷わずもう一度病院に電話し直してください。状況が変わったことを伝えれば、判断を見直してくれる病院は多いです。我慢せず、何度でも声を上げていいのです。

受診当日までの流れ

電話で予約が取れたら、受診当日までの流れを整理しておきましょう。準備しておくことで、当日がスムーズに進みます。

初診前のリマインド

初診の1週間前、3日前、前日に、本人にリマインド。「来週月曜日は病院に行くね」と、本人の心の準備を促す。

本人への説明

本人に「なぜ病院に行くのか」を説明。「お医者さんに、最近の気持ちや困っていることを話してみよう」「あなたが楽になる方法を一緒に考えるためだよ」——前向きな説明で。

本人が拒否する場合

「病院なんて行きたくない」と本人が拒否することも。「最初は親だけ受診」「病院の前まで行って様子を見る」など、段階的なアプローチを。

持ち物の準備

保険証、子ども医療費受給者証、お薬手帳、紹介状(あれば)、メモ帳、ペン、本人が好きなアイテム(ぬいぐるみ、本など、緊張和らげるもの)。

事前にメモをまとめる

本人の症状、生育歴、家族構成、学校の状況——医師に伝えたいことを、事前にA4一枚にまとめておく。

余裕を持って到着

初診は問診票の記入があるため、予約時間の30分前には到着するのが理想。バタバタしないよう、余裕を持って。

初診で何を聞かれるか

初診では、電話で話した内容に加えて、より詳しく聞かれます。事前に心構えしておきましょう。

主訴の詳細

電話で伝えた主訴を、もっと詳しく聞かれます。具体的なエピソード、頻度、程度、本人の様子——できるだけ具体的に伝えます。

生育歴

妊娠中の様子、出産時の状況、乳幼児期の発達、就学前の様子、小学校時代——本人の生育歴を時系列で聞かれます。母子手帳を持参すると詳しく答えられます。

家族歴

家族に精神疾患の方がいるか、似た症状を持つ親族はいるか——遺伝的要素を確認するための質問。デリケートですが、正直に答えるのが治療に役立ちます。

現在の生活

睡眠、食事、運動、勉強、友達関係、スマホ・ゲーム使用時間——本人の日常生活の全体像を聞かれます。

身体面の不調

頭痛、腹痛、めまい、吐き気——身体的な不調も、心の症状と関連していることが多いため、確認されます。

本人と医師の二人だけの時間

多くの病院で、本人と医師だけで話す時間が設けられます。親には聞かせたくない本人の気持ちを、医師に話せる機会。

診断と治療計画

初診から数回の通院で、診断と治療計画が決まります。家族として知っておきたい流れを共有します。

診断までの期間

診断は1回で決まるものではなく、複数回の通院、心理検査、本人の経過観察を経て確定します。数か月かかることもあります。

心理検査

必要に応じて、WISC(知能検査)、ASD・ADHDの評価尺度、抑うつ・不安のスクリーニング——様々な心理検査が行われます。1回1〜2時間かかることが多いです。

治療計画の説明

診断が確定したら、医師から治療計画の説明があります。薬物療法、心理療法、環境調整——お子さまに合った方法が提案されます。

本人と家族の合意

治療は、本人と家族が納得した上で進めるのが原則。「この方法が嫌」「別の方法を試したい」と感じたら、医師に率直に伝える。

セカンドオピニオン

診断・治療計画に納得できない場合、他の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」も選択肢。主治医に伝えても、責められることはありません。

通院の継続

多くの場合、月1〜2回の通院が長期にわたって続きます。「治る」ではなく「付き合っていく」イメージで、長期戦に備えましょう。

自立支援医療と医療費

児童精神科の通院には、医療費がかかります。利用できる制度を活用しましょう。

子ども医療費助成制度

多くの自治体で、子どもの医療費が無料または定額。年齢制限や所得制限は自治体により異なります。お住まいの市区町村で確認を。

自立支援医療(精神通院)

精神疾患の通院治療費を軽減する制度。所得に応じて、医療費が1割負担になります。診断書と申請書類が必要。市区町村の保健センターで申請。

高額療養費制度

月の医療費が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度。入院が必要になった場合に特に役立ちます。

医療費控除

年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告で医療費控除を受けられます。通院の交通費も対象。領収書はしっかり保管。

障害者手帳

重度の場合、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳が取得できます。医療費以外にも、福祉サービスの利用、税金の控除など、様々なメリットがあります。

傷病手当金

高校生のお子さまがアルバイトをしていて、病気で休業した場合、健康保険から傷病手当金が支給される可能性があります。

看護師としての一言|電話で泣いてしまった親御さんの話

※以下はプライバシー保護のため、複数の事例を組み合わせた架空のエピソードです。

以前、外来の電話に出た同僚から聞いた話です。中学1年の女の子の親御さんから「すみません、すみません」と泣きながら電話が入ったそうです。受話器の向こうで、なかなか言葉が続きません。同僚は「お電話ありがとうございます。お話できる範囲で大丈夫ですよ」とゆっくり待ち、「お子さんは今、安全な場所にいらっしゃいますか」と一言だけ確認しました。親御さんは涙ながらに「娘が腕を切っていて、どうしたらいいかわからなくて」と話してくれて、結果的に翌週には初診枠で受診できました。受診後、親御さんは「あの時、電話で泣いてしまって申し訳なかった」と看護師に話してくださいましたが、こちらとしては「泣いてくれて、勇気を出して電話してくれてありがとうございました」という気持ちでした。電話口で完璧に話せなくていい。それでも子どもにつながる扉は、ちゃんと開きます。

病棟で見てきた電話の3ケース

守秘義務に配慮し一般化したケースとして、電話に関連する3つのパターンを紹介します。電話する側の心構えとして、参考にしていただければと思います。

ケース1:何度も電話を切ってしまった父親

息子の不登校で悩む父親が、何度も電話をしようとしては、つながった瞬間に切ってしまっていました。3週間悩んだ末、ついに電話で「すみません、息子のことで……」と話せました。父親自身が「もっと早く電話すればよかった」と振り返っていました。電話するハードルは高いですが、一度乗り越えてしまえば、道が開けます。

ケース2:祖母が代わりに電話した家庭

母親が抑うつ状態で電話できない家庭。祖母が代わりに電話し、状況を説明しました。「保護者が一緒に来てくれれば、祖母からの電話でも構いません」と病院は快く受け入れてくれました。家族の中で電話できる人が、電話すればいいのです。

ケース3:本人が自分で電話した高校生

高校生のお子さまが、自分で病院に電話。「親には言えないけど、自分から助けを求めたい」と思ったとのこと。受診時に親も同伴することで、保険証の問題もクリア。本人が主体的に動けるのは、回復への大きな一歩でした。


電話が苦手な人へのアドバイス

電話が苦手で、なかなか動けない方も多いです。電話のハードルを下げる工夫を共有します。

「電話できない自分」を責めない

「電話一本かけられない自分はダメ」と責めない。緊張するのは当然。「いつかかけられたら」「今日できなくても、明日かけよう」と、自分を許す姿勢で。

夫婦・パートナーに代わってもらう

「自分は電話できないけど、夫はできる」「妻は電話できるけど、私はメモ作りまでなら」——家族の中で得意な役割を分担する。

メールやWebフォームの活用

病院によっては、メール、Webフォーム、LINEでの予約受付があります。電話が苦手な方は、これらの方法を活用するのも有効。

かかりつけ小児科経由

かかりつけ小児科を経由して、紹介してもらう。「お母様、こちらで紹介状を書いておきますので」と、かかりつけ医が動いてくれることもあります。

スクールカウンセラー経由

学校のスクールカウンセラーに相談すると、病院との橋渡しをしてくれることもあります。本人を学校に通わせている場合、活用しやすい方法。

保健センター経由

市区町村の保健センターに、まず相談する。地域の医療機関を紹介してくれて、場合によっては予約まで取りやすくしてくれることも。


電話の時に注意したいこと

電話する時に、いくつかのマナーや注意点があります。スムーズな会話のために、知っておきましょう。

診療時間内に電話

病院の診療時間内に電話する。早朝・深夜・休診日は電話に出ないこともあります。事前にホームページで診療時間を確認。

電話受付の専用時間

病院によっては「電話受付は午前10時〜午後3時のみ」と、専用時間を設けていることがあります。事前に確認を。

名乗ってから話す

「○○の母(または父)です」と、まず保護者として名乗る。本人の名前ではなく、保護者として電話していることを最初に伝える。

ゆっくり話す

緊張すると早口になりがち。意識してゆっくり話す。相手も聞き取りやすく、自分の頭も整理しやすくなります。

分からない時は素直に

聞かれたことに分からなければ「分かりません」「分かる範囲では○○です」と素直に答える。曖昧な情報を答えると、後で混乱します。

受付の説明をメモ

受付からの説明(予約日時、持ち物、注意事項など)は、必ずメモを取る。緊張で頭に入らないことが多いので、書き留めておくのが大事。

最後に確認

電話を切る前に、「予約日時は○月○日午後○時で間違いないですね?」と確認。「忘れた」がないよう、ダメ押し。


地域差・病院差を知っておく

児童精神科のサービスには、地域差・病院差があります。お住まいの地域の実情を知っておくと、電話の心構えが変わります。

都市部と地方の差

都市部は児童精神科の選択肢が多いですが、その分予約が取りにくい傾向。地方は選択肢が少ないものの、地域密着型の温かい対応が期待できることも。

大学病院と一般病院の差

大学病院は研究機関でもあり、複雑な症例に対応可能。一般病院・クリニックは、より身近な存在として長期通院に向きます。

専門外来の有無

「発達障害外来」「思春期外来」「摂食障害外来」など、特定領域に特化した外来がある病院もあります。本人の状態に応じて、専門外来を選ぶのも有効。

診療時間の違い

「平日昼間のみ」「土曜診療あり」「夕方診療あり」——病院によって診療時間が違います。共働き家庭は、診療時間も重要な選択基準。

医療費の違い

子ども医療費助成の範囲は自治体により異なります。お住まいの自治体での補助内容を、事前に確認。

福祉サービスとの連携

放課後等デイサービス、教育支援センターなど、福祉サービスとの連携が強い病院もあります。総合的な支援を受けたい場合、連携の有無を確認。


受診後のフォローと家族のサポート

初診が終わった後の家族のフォローも大事です。本人の気持ちに寄り添う関わりを共有します。

受診後の本人の気持ち

初診後、本人は緊張・疲労・安堵・不安——様々な感情を抱えています。「お疲れさま」「よく頑張ったね」と、ねぎらいの言葉を伝える。

本人の感想を聞く

本人がどう感じたか聞く。「先生どうだった?」「また行きたい?」——本人の感想を尊重しながら、今後の通院について話し合う。

家族で振り返り

夫婦で初診の内容を振り返る。医師の話、本人の様子、今後の方針——家族で共有することで、一貫したサポートができます。

定期通院の継続

1回の受診で終わらせず、定期的な通院を続ける。本人が「行きたくない」時もあるが、まず「行く」習慣を作ることが大事。

学校との連携

必要に応じて、学校とも情報共有。診断書、医師の意見書を学校に提出することで、必要な配慮が得られます。

家族のセルフケア

本人のサポートだけでなく、家族自身のケアも忘れずに。長期戦になることが多いため、自分の時間も大事に。

初診から1か月の流れ

初診から1か月程度の典型的な流れを共有します。心の準備をしておくと、不安が和らぎます。

初診後の数日

初診後、本人と家族は様々な感情を抱えます。「ちゃんと受診できた」という安堵、「これから治るのか」という不安、「医師の言葉をどう受け止めるか」——時間をかけて整理していきましょう。

2回目の診察

初診から1〜2週間後に、2回目の診察。初診で出された薬の効果、本人の様子の変化、新たに気づいたこと——医師に報告します。

心理検査の予約

必要に応じて、心理検査の予約が組まれます。WISC、各種スクリーニング——本人の特性を詳しく評価する検査。

診断の方向性

1か月程度で、診断の方向性が見えてくることが多いです。「ASDの可能性が高い」「うつ症状が中心」など、医師から説明があります。

治療計画の確定

診断が固まったら、治療計画も確定。薬物療法、心理療法、環境調整——本人に合った方法を提示してもらいます。

家族会・自助グループへの参加

このタイミングで、家族会や自助グループへの参加も検討。同じ立場の家族と繋がることで、心の支えが得られます。


主治医との関係を築く

児童精神科は、長期的な通院になることが多いため、主治医との良好な関係作りが大事です。

「合う・合わない」がある

医師にも個性があり、本人や家族との相性があります。「この先生は話しやすい」「この先生は厳しすぎる」——感覚を大事に。合わない場合は、主治医を変えることも検討。

「質問していい」と知る

診察中、分からないことは遠慮なく質問。「忙しそうで聞きづらい」と思わず、本人と家族の理解のために聞く姿勢が大事。

事前にメモを準備

診察前に、聞きたいことをメモ。診察時間が短くても、効率よく相談できます。

家での様子を共有

診察室では本人がいい子ぶることも。「家ではこんな様子です」と、家での様子を文書で共有すると、医師がより正確に判断できます。

主治医を信頼する

長期的な治療では、主治医との信頼関係が治療の基盤。意見の食い違いがあっても、率直に話し合いながら、信頼を築いていく。

主治医の変更

どうしても合わない場合、主治医の変更も選択肢。同じ病院内で別の医師に変更、または転院も。本人にとって最適な医療を受けることが最優先。


看護師・心理士・ソーシャルワーカーの活用

児童精神科には、医師以外にも様々な専門スタッフがいます。それぞれの役割と活用方法を知っておきましょう。

看護師の役割

外来看護師、病棟看護師は、本人と家族の身近な相談相手。診察前後の不安、薬の副作用、生活面の悩み——気軽に相談できます。

心理士・公認心理師

心理検査、カウンセリング、認知行動療法——本人の心理的支援を担当。医師の診察とは別に、心理士による定期面談を受けられることが多いです。

精神保健福祉士(PSW)

福祉サービス、生活支援、家族支援——医療と福祉の橋渡し役。「学校との連携をどうしたらいいか」「福祉サービスを使いたい」など、相談できます。

医療ソーシャルワーカー(MSW)

医療費、入院、退院後の生活——医療面の社会的支援を担当。経済的な不安、福祉制度の活用——気軽に相談できる存在です。

作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)

発達特性のあるお子さまの療育、言語面のサポート——専門的な支援を提供。リハビリ的な視点で、本人の発達を支えます。

チームで支える

医師だけでなく、多職種チームでサポートを受けるのが、児童精神科の特徴。様々なスタッフを活用しながら、本人と家族を支える体制を作りましょう。


入院治療の選択

重症の場合、入院治療になることもあります。家族として知っておきたい入院の流れをまとめます。

入院が必要なケース

自殺リスクが高い、自傷が激しい、重度の摂食障害、激しい興奮、家庭での安全確保が難しい——これらの場合、入院が検討されます。

任意入院と医療保護入院

本人の同意による「任意入院」と、保護者の同意による「医療保護入院」があります。お子さまの状態と本人の判断力に応じて選択。

入院期間

1か月〜3か月程度が一般的。状態により、もっと長期になることも。長期入院は、本人の社会復帰のリハビリも兼ねた治療になります。

面会の制限

治療上、面会が制限される時期があります。家族と離れることが、本人の自立につながることも。スタッフを信頼して、見守りを。

退院後のフォロー

退院後も、外来通院で経過観察。退院がゴールではなく、社会復帰までの道のりが続きます。

入院費用

子ども医療費助成、高額療養費制度を活用することで、自己負担額は大きく軽減されます。詳しくは病院のソーシャルワーカーに相談を。


よくある質問(FAQ)

Q1. 初診の費用はいくら?

A. 保険適用で3割負担として、5,000円〜10,000円程度。子ども医療費助成があれば無料の場合も。

Q2. 何歳から受診できる?

A. 病院によりますが、3歳頃から受診可能な所もあります。多くは小学生以上を対象とします。

Q3. 本人が拒否しています

A. 最初は親だけ受診して相談する形でもOK。「親が困っているから話を聞いてほしい」と伝えれば、受け入れてくれる病院も多いです。

Q4. 何回通えば治る?

A. 一概に言えませんが、月1〜2回の通院を、年単位で続けることが多いです。「治る」より「付き合う」イメージで。

Q5. 薬は使いますか?

A. 症状に応じて使うことがあります。薬の必要性、種類、副作用——医師としっかり相談を。

Q6. 入院になる可能性は?

A. 重症の場合は入院が必要なことも。自殺リスクが高い、自傷が激しい、摂食障害で体重が著しく減少しているなどの場合。

Q7. セカンドオピニオンを受けたい

A. 主治医に申し出れば、紹介状を書いてもらえます。「他の意見を聞きたい」と素直に伝えればOK。

Q8. 学校にバレますか?

A. 家族が伝えない限り、学校に情報は行きません。プライバシーは守られます。

Q9. 通院の交通費の助成は?

A. 自治体によっては、通院交通費の助成制度があります。市区町村に確認を。

Q10. 受診を急いだ方がいい時は?

A. 自傷、自殺念慮、強い拒食、激しい興奮——緊急性が高い場合は、救急外来も検討。命に関わる場合は躊躇せず119。

「うちの子は病気じゃない」と思った時

本人を病院に連れて行くのに、抵抗を感じる保護者は多いです。「うちの子は病気じゃない」「精神科にかかると変な目で見られる」——その気持ちと向き合うヒントを共有します。

「病気」ではなく「専門家のサポート」

児童精神科は「病気を治す」だけの場所ではなく、「専門家にサポートを受ける」場所。本人の困りごとを軽減するための、心の専門家との出会いの場と捉えるとハードルが下がります。

「早期発見」のメリット

早めに専門家と繋がることで、症状の悪化を防げます。「ほっとけば治る」と判断を先送りすると、深刻な事態に発展することも。

「診断=レッテル」ではない

診断名がつくことで、本人が「自分の特性を理解できる」というメリットもあります。診断は「レッテル」ではなく「自己理解のツール」。

「精神科への偏見」を超える

精神科への偏見は、まだ社会に根強いです。でも、世代を超えて「心の健康も大事」という意識が広がりつつあります。家族から偏見を持たない姿勢を見せることが、本人の安心感に繋がります。

「親の責任」ではない

本人が精神科にかかることになっても、「親の責任」ではありません。子どもには、自分の特性、自分の人生があります。親は、その伴走者として、寄り添うだけでいいのです。

「他の家庭にも例がある」

児童精神科にかかる家庭は、想像以上に多いです。「うちだけ特別」ではなく、「普通の選択肢の一つ」と捉えれば、ハードルが下がります。


「電話できない時」のサポート資源

「どうしても病院に電話する勇気が出ない」「電話することへの恐怖が強い」——そんな時に活用できる、別のサポート資源を紹介します。

SNS相談

「よりそいホットライン」のLINE版、自治体の相談LINEなど、文字で相談できる窓口が増えています。電話が苦手な方の選択肢。

メール相談

各種相談機関、医療機関、自治体の窓口で、メール相談を受け付けているところも。文章で考えをまとめてから送れるメリットがあります。

チャット相談

「いのちSOS」「あなたのいばしょ」など、24時間チャット相談を受け付けている団体も。声を出さずに相談できる方法。

保健センターへの来所

電話が難しければ、保健センターに直接行って相談するのも有効。対面で話せる方が安心という方も多いです。

かかりつけ小児科への来院

かかりつけ小児科に通院した時に「実は、子どものことで……」と相談。対面で話す方が、電話より楽な方も多いです。

学校相談から繋がる

学校のスクールカウンセラー、養護教諭、担任に相談。学校経由で医療機関と繋がるルートもあります。


初診までの過ごし方

電話で予約が取れても、初診まで数か月待つこともあります。その間の過ごし方について、家族のヒントを共有します。

本人の状態をメモ

初診まで、本人の様子を日々メモ。「いつ・何が・どうあった」を記録することで、初診時の医師への情報提供が充実します。

本人と話す機会

「病院に行くこと」を本人と話す機会を作る。「お医者さんに、最近の困りごとを話してみよう」と、本人の心の準備を促す。

家庭環境を整える

本人が安心できる家庭環境を整える。睡眠、食事、運動——基本的な生活習慣を見直し、本人の心と体の状態を安定させる。

本人の好きなことを応援

本人の趣味、興味、好きな活動を応援。「家にいて何もしない」より、「好きなことに没頭する」時間が、本人の支えになります。

緊急時の準備

初診まで待つ間、状態が悪化することも。緊急連絡先(救急、相談窓口)を手元に。何かあったら、すぐに動ける準備を。

家族の自分時間

「初診待ち」の期間は、家族にとっても不安な時期。自分時間を確保し、心の余裕を保つことも大事です。


大人になった元患者の声

児童精神科に通って大人になった方々の体験談から、家族として大事にしたい姿勢を学べます。

「親が連れてきてくれたから」

「あの時、親が病院に連れてきてくれなかったら、今の自分はなかった」「自分では言い出せなかった助けを求めることを、親がしてくれた」——親の決断が、本人の人生を救ったという声は多いです。

「医師との出会いが転機」

「あの先生が初めて、自分の話をちゃんと聞いてくれた」「先生が『あなたは悪くない』と言ってくれて、救われた」——医師との出会いが、人生の転機になったという声も。

「長期通院が支えだった」

「何年も通い続けたことで、徐々に自分を取り戻していった」「定期的に話せる場所があることが、心の支えだった」——継続的な通院の意義を語る声。

「同じ立場の仲間に出会えた」

「病院のグループで、同じ立場の仲間に出会えた」「自分だけじゃないと知れた」——医療機関での仲間との出会いも、回復の支えに。

「家族の支えがあったから」

「親が一緒に病院に通ってくれた」「親が自分を信じてくれた」——家族の継続的なサポートが、本人の回復の土台となります。


親自身のセルフケア

児童精神科への電話、通院、治療——保護者は長期にわたって本人を支えます。親自身のケアも忘れずに。

電話する自分を褒める

勇気を出して電話したあなたは、本当にすごいことをしました。「電話できた自分、えらかった」と自分を褒めてあげてください。

通院の負担を分担

通院は、月1〜2回の長期戦。夫婦で交代で付き添う、祖父母の協力を得る——母親一人で抱え込まない体制を作りましょう。

同じ立場の親と繋がる

家族会、SNSのコミュニティで、同じ立場の親と繋がる。「自分だけじゃない」と知れる安心感が、心の支えに。

カウンセリングの活用

「同じ悩みを共有できる人がいない」時には、自宅から利用できるオンラインカウンセリング「cotree(コトリー)」のようなサービスを活用するのもおすすめです。

「自分時間」の確保

本人のサポートで疲弊しがち。週に1回でも、自分のための時間を確保しましょう。

主治医・看護師に相談

本人だけでなく、家族の悩みも、主治医や看護師に相談してOK。「家族支援」も児童精神科の大事な役割です。


医療機関と並行して使える支援サービス

児童精神科の通院と並行して、様々な支援サービスを活用できます。本人と家族を支える社会資源を、知っておきましょう。

放課後等デイサービス

発達特性のあるお子さま向けの福祉サービス。診断書または医師の意見書があれば利用可能。本人の居場所として、家族のレスパイトとして活用できます。

児童発達支援

未就学のお子さま向けの発達支援。早期介入の意味で重要です。

教育支援センター(適応指導教室)

不登校のお子さま向けの公的な居場所。学校への復帰を目指す段階的支援を受けられます。

フリースクール

不登校のお子さま向けの民間の学びの場。本人のペースで通える環境。

地域の家族会・自助グループ

同じ立場の家族と繋がれる場。情報交換、悩み相談、励まし合いの場として活用。

児童相談所

子どもに関する様々な相談を受け付けています。福祉的支援を必要とする場合に。


夫婦・家族で話し合っておきたいこと

電話する前に、夫婦・家族で話し合っておきたいことがあります。家族の方針を共有しておくと、電話もスムーズに進みます。

「受診の目的」を共有

「なぜ受診するのか」「何を期待するか」を家族で確認。「とりあえず話を聞きたい」「診断を受けたい」「薬を出してほしい」——目的が明確だと、医師にも伝わりやすい。

「本人の同意」をどう取るか

本人の同意なしでの受診は難しい場合も。「本人にどう伝えるか」「拒否した時はどうするか」——事前に夫婦で話し合っておく。

「役割分担」を決める

電話、通院の付き添い、本人への声かけ——家族の中で誰が何を担当するか、役割分担を明確に。一人に負担が集中しないように。

「祖父母への共有」

同居の祖父母、近くにいる祖父母には、状況を共有しておく。「精神科」「発達障害」への偏見がある場合、家族内での理解を得るための説明も必要。

「兄弟への対応」

兄弟への対応も話し合う。「兄弟に病名を伝えるか」「兄弟が受診時に同伴するか」——家族として一貫した方針を持つ。

「予算」を確認

医療費、交通費、休業の負担——経済的な側面も話し合う。子ども医療費助成、自立支援医療など、活用できる制度も確認。


家庭でのサポートのコツ

通院しながら、家庭でできるサポートも大事です。家族として大事にしたい関わりを共有します。

「家は安全な場所」

本人にとって、家が「安心して帰れる場所」であり続けること。学校で疲れても、家に帰れば癒される——そんな環境を作りましょう。

「焦らせない」

「早く治って」「いつになったら学校に行ける?」——焦りの言葉は禁物。本人のペースを尊重しましょう。

「比較しない」

「○○ちゃんはできるのに」「他の子はもう学校行ってるのに」——比較は本人を追い詰めるだけ。本人だけの成長を見守る。

「小さな成長を喜ぶ」

「朝起きられた」「ご飯食べられた」「外に出られた」——小さな成長を、家族で一緒に喜ぶ。本人の自己肯定感が育ちます。

「存在を認める」

「あなたがいてくれて嬉しい」「あなたは大事」——存在そのものを認めるメッセージを、繰り返し伝えてあげてください。

「待つ力」

治療は時間がかかります。「すぐに結果を求めない」「ゆっくり待つ」姿勢を、家族で持ち続けることが大事です。


まとめ|最初の一本の電話が、子どもを救うはじまり

児童精神科の予約電話は、聞かれることが多く緊張しますが、A4一枚のメモと簡単な台本があれば乗り越えられます。完璧に話そうとせず、「困っています」「いつから」「今どんな状態か」の3点を中心に、聞かれたことに答えていけば十分です。受話器を持ち上げたあなたは、もう半分扉を開けています。今日は深呼吸して、まずメモを書き出すところから始めてみませんか。

あなたが今日電話をかけることが、お子さまの未来を変える第一歩になります。電話口で言葉に詰まっても、泣いてしまっても、それは「あなたが本気で本人を心配している証」です。電話のスタッフは、そういう保護者の方をたくさん見ています。何も恥ずかしいことはありません。

勇気を出して受話器を持ち上げてくれてありがとう。あなたの一歩を、現場の医療スタッフはあたたかく受け止めます。応援しています。

「電話できなかった日」も大事に

「今日こそ電話する」と思いながら、結局できなかった日もあるでしょう。それも、あなたが本人を真剣に考えている証。電話できなかった自分を責めず、「明日こそ」と、また仕切り直していけば大丈夫。

誰かに背中を押してもらう

一人で電話するのが難しければ、誰かにそばにいてもらう。夫、母、友人——「私が電話するから、隣にいて」と頼む。一人で抱え込まないことが大事です。

家族で動く

本人のサポートは、家族で動くのが理想。電話、通院の付き添い、本人への声かけ——家族で役割分担をしながら、長期戦に備えましょう。

「気づいた今」が一番早い

「もっと早く気づけばよかった」と思う必要はありません。「気づいた今が、一番早い」。今日から動き始めれば、それで十分です。

本人への愛が、すべての出発点

電話できる勇気の源は、本人への愛。「この子を守りたい」「この子の苦しみを和らげたい」——その想いが、すべての出発点です。あなたの愛が、必ず本人に届きます。

未来への一歩

今日の電話が、本人の未来を変えます。長く続く治療の旅の、最初の一歩。その一歩を、ぜひ今日、踏み出してみてください。応援しています。

本人と歩んでいく未来

受診を始めることは、本人と家族の長い旅の始まりです。治療を通じて、本人の特性を理解し、本人らしい生き方を見つけていく——その過程に、ぜひ家族で寄り添ってあげてください。

「電話」は最初のドア

電話は、医療機関への最初のドア。このドアを開けることで、本人と家族の人生に、新しい可能性が広がっていきます。一本の電話が、未来を変えます。

あなたへ「ありがとう」

最後に、ここまで本記事を読んでくださったあなたへ。本人を心配して、ここまで読み進めてくれたあなたの愛情に、心から感謝します。あなたの想いが、必ず本人に届きます。応援しています。

電話する勇気が、本人を救う第一歩になります。受話器を持ち上げた瞬間から、本人と家族の物語が、新しい章を始めます。怖くて当然、緊張して当然、声が震えて当然——それでも、勇気を出して電話してくれることに、現場の医療者は心から敬意を持っています。私たちは、いつでもあなたの電話を待っています。

本記事が、最初の一本の電話を、少しでも楽にすることができたら、これに勝る喜びはありません。看護師として、現場でみなさまをお迎えできる日を、楽しみにしています。

そして、もし本記事を読んで「電話してみよう」と思っていただけたら、ぜひ今この瞬間に、お住まいの地域の児童精神科を一つ調べてみてください。「調べる」という小さな行動が、次の「電話する」につながっていきます。一歩ずつ、無理せず、本人と家族の幸せに向かって歩んでいきましょう。

本人と、ご家族の毎日が、少しずつ穏やかなものになっていきますように。心から願っています。最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。

あなたの一歩が、本人の人生を、ご家族の未来を、確実に変えていきます。私もこの場所から、ずっと応援し続けています。本人と、ご家族と、ご縁のあったすべての方の毎日が、温かい光に包まれますように。電話する勇気を、心から信じています。一緒に、本人の幸せに向かって、進んでいきましょう。

※本記事は児童思春期精神科看護師としての臨床経験をもとに作成した一般的な情報です。診断・治療の判断は、必ず医療機関の医師にご相談ください。緊急時(自傷・希死念慮が強いとき)は、救急外来、いのちの電話(0120-783-556)、よりそいホットライン(0120-279-338)など、すぐに相談できる窓口の活用もご検討ください。


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【医療に関する免責事項】

本記事は、児童思春期精神科での看護経験に基づいた一般的な情報提供を目的としています。医療行為・診断・治療の代わりとなるものではありません。お子さんの心身の状態にご不安がある場合は、必ず主治医・かかりつけ医・スクールカウンセラー・地域の相談窓口など、お子さまを直接見ることのできる専門家にご相談ください。詳細は免責事項をご確認ください。

🌙 つらいとき、ひとりで抱えないでください
お子さん本人も、親御さんも使える相談窓口です(無料・匿名OK)。
#いのちSOS:0120-061-338(24時間365日)
よりそいホットライン:0120-279-338(24時間)
24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(24時間)
チャイルドライン(18歳まで):0120-99-7777(毎日16〜21時)
児童相談所相談専用ダイヤル:0120-189-783(24時間)/虐待の心配は189
命に関わる危険があるときは、ためらわず119番へ。
出典:厚生労働省「まもろうよ こころ」(2026年7月確認)
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