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「学校がある朝だけ、お腹が痛いと言う」
「病院で検査しても、異常は見つからない」
「仮病なのか、本当に痛いのか、わからない」
子どもの原因不明の腹痛に、戸惑う親御さんは少なくありません。私は児童思春期精神科の病棟で5年間、多くの子どもたちと関わってきましたが、入院してくる子の中にも「ずっとお腹が痛かった」「頭が痛くて起きられなかった」と話す子が本当に多くいました。
今日は、現場で見てきた子どもたちの姿から、「お腹が痛い」という訴えの裏にあるかもしれない心のSOSについてお伝えします。
本当に「仮病」?体と心は繋がっている
大人の目から見て「学校がある日だけ痛くなる」と、どうしても仮病を疑ってしまう親御さんのお気持ちはよくわかります。けれども、子どもの「お腹が痛い」は、ほとんどの場合、本人の中では本当に痛みを感じているものです。
心と体はつながっていて、強いストレスや不安が続くと、自律神経のバランスが乱れて胃腸の動きに影響が出ます。大人でも「緊張するとお腹が痛くなる」ことがあるように、子どもはその反応がもっとダイレクトに身体に表れやすいのです。つまり、「ウソをついている」のではなく、心の苦しさを身体が先に叫んでいる状態と言えます。
現場で見てきた「お腹が痛い」の3つの意味
① 緊張や不安の、身体からの表れ
「明日、発表がある」「苦手な子と同じ班になる」「先生に叱られるかもしれない」。大人には些細に見える不安でも、子どもにとっては大きな重荷になります。
病棟でも、登校を意識し始めた朝に決まって腹痛を訴える子がいました。心の緊張が、そのまま胃腸の不調として出ているのです。
② 言葉にできないSOS
小さな子ほど、自分の気持ちを言葉で表現するのが難しいものです。「いじめられている」「先生が怖い」「勉強についていけない」と直接言えない時、子どもが使える最後の手段が「体の痛み」という訴えになることがあります。
つまり、「お腹が痛い」は 「今日は学校に行きたくない。でも理由が説明できない」という子どもなりのSOSなのかもしれません。
③ 本当に身体の病気の可能性
もちろん、心因性ではなく身体的な病気が隠れていることもあります。過敏性腸症候群、便秘、食物アレルギー、消化器系の炎症など、医療的な治療が必要なケースも少なくありません。
「お腹が痛い」と繰り返し訴える場合は、まず小児科で身体的な検査を受けることが大切です。その上で異常が見つからなければ、心の面からのアプローチを考えていきます。
親ができる声かけと、大切な観察ポイント
子どもが「お腹が痛い」と訴えた時、親御さんに意識してほしいのは、まず痛みを否定せず受け止めることです。
- × 「仮病でしょ?」「学校に行けば治るよ」
- ○ 「お腹痛いんだね。ちょっと休もうか」
痛みを認めてもらえた経験が、子どもの安心感につながります。その上で、以下のポイントをそっと観察してみてください。
- 痛みが出るタイミング(登校前だけ?週末も?)
- 他の症状(頭痛、吐き気、食欲低下、夜眠れない)
- 学校での出来事や人間関係の変化
- 家庭での最近の出来事(引越し、兄弟の誕生、親の仕事の変化など)
こうした情報は、医師やカウンセラーに相談する際にも重要な手がかりになります。
専門機関への相談を考える目安
以下のような場合は、一人で抱え込まず専門機関への相談を検討してください。
- 腹痛や頭痛が週に複数回、1か月以上続いている
- 小児科で身体の異常が見つからないと言われた
- 食欲低下や睡眠の乱れも出てきた
- 子どもが「学校に行きたくない」と言葉で訴え始めた
- 親御さん自身がどう対応していいかわからず疲弊している
相談先としては、かかりつけ小児科、児童精神科、スクールカウンセラー、自治体の子ども家庭相談窓口などがあります。詳しくは児童精神科の受診方法や「学校行きたくない」と言われたら最初にすることもご参考ください。
おわりに|「痛い」の裏にある気持ちを、見逃さないで
子どもの「お腹が痛い」は、大人にとっては扱いに困る訴えかもしれません。でも、現場で多くの子どもたちを見てきた立場から感じるのは、「お腹が痛い」は子どもが絞り出した心の言葉であることが多いということです。
無理に学校に送り出すのではなく、一度立ち止まって「何か辛いことがあるのかな」と寄り添ってみてください。原因がわからなくても、「あなたの痛みを信じているよ」というメッセージが、子どもにとって何よりの安心になります。


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