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「最近、子どもが家で不機嫌な時間が増えた気がする」「朝のぐずりが戻ってきた」「なんとなく食欲が落ちている」——5月の中旬、こんな違和感を抱いている保護者の方はいらっしゃいませんか。
「五月病」というと大人の話と思われがちですが、子どもにも確かに『五月病』は起こります。児童思春期精神科の病棟でも、この時期の受診・相談が増える傾向があります。
ただ、子どもの五月病は大人のように「会社に行きたくない」とはっきり言葉にならず、身体症状や行動の変化として現れることが多いのが特徴。この記事では、見逃しやすいサインと、家庭でできる立て直しの工夫をお伝えします。
- 大人と違う「子どもの五月病」の正体
- 見逃しやすい5つのサイン
- 5月中旬に出やすい本当の理由
- 家庭でできる立て直し4つの工夫
- 相談機関に頼るタイミング
- この記事を書いている私について
- 大人と違う「子どもの五月病」の正体
- 見逃しやすい5つのサイン
- なぜ5月中旬に出やすいのか
- 学年別「五月病」の現れ方
- 五月病の科学的背景|身体で何が起きているか
- 家庭でできる立て直し4つの工夫
- 五月病の時期に意識したい食事メニュー
- 5月の運動・活動のヒント
- 父親の関わり方
- 病棟で見た五月病のケース3つ
- 相談機関に頼るタイミング
- 五月病と他の疾患の見分け方
- 親自身の五月病対策
- 翌年の五月病を予防するために
- よくある質問
- 五月病の時期に避けたい家庭の関わり方
- 運動会・宿泊行事への対応
- きょうだいへの配慮
- 5月の心を整える小さな習慣
- 看護師として親御さんに伝えたい3つのこと
- 五月病から回復した子の振り返り
- 五月病を乗り越えた家族の体験談
- 五月病になりやすい子の特徴
- 5月の子育てカレンダー
- 五月病に関連する身体症状の詳細
- 5月の親のSelfCareチェックリスト
- 子どもが「学校行きたくない」と言った日の対応
- 新学期不安への根本的アプローチ
- 五月病を予防する4月の過ごし方
- 五月病からの「気づき」を活かす
- 長期化する五月病に対応する
- 5月病と上手に付き合うための家族会議
- まとめ|5月は「休ませる勇気」の月
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- 著者プロフィール
- 免責事項
この記事を書いている私について
はじめまして、星野レンと申します。看護師歴8年、うち児童思春期精神科の病棟で5年勤務。不登校・発達障害・思春期のメンタル不調を抱えたお子さまとご家族のケアに従事してきました。
毎年ゴールデンウィーク明けから5月中旬にかけて、「4月は頑張って通えていたのに、急に行きしぶりが始まった」というご相談が増えます。春の緊張の糸がほどけ、溜まっていた疲れがどっと出る時期——それが子どもにとっての5月なのです。
大人と違う「子どもの五月病」の正体
大人の五月病は「環境の変化に適応しきれず、気分が落ち込む状態」として知られています。医学的には「適応障害」に近い状態ですが、子どもの場合はもう少し複雑な要素が混ざっています。
大人の五月病との3つの違い
- 自覚しにくい:子どもは「疲れている」を言葉にできないことが多い
- 身体症状で出やすい:頭痛・腹痛・吐き気など体に現れる
- 行動で出やすい:反抗・引きこもり・泣きやすさなど行動に出る
大人は「最近調子悪いな」と気づいて休めますが、子どもは自分の疲れに気づけないまま、身体や行動で発信する——これが最大の違いです。親がそのサインを受け取れるかどうかが、立て直しの早さを大きく左右します。
「4月を頑張りすぎた」ツケ
新学期の4月、子どもはとてつもないエネルギーを使います。新しいクラス・新しい先生・新しい教室・新しい時間割——「覚える」「慣れる」「我慢する」を総動員した1ヶ月です。
ゴールデンウィークで一度気が抜けたあと、5月中旬は「頑張った貯金」が底をつく時期。ここで疲労の総決算が起こります。
見逃しやすい5つのサイン
子どもの五月病は複数のサインが少しずつ現れるのが特徴です。どれか1つだけではなく、「あれ、なんだか全体的に元気がない」という印象で気づくことが多いです。
サイン①:朝のぐずり・登校しぶりの復活
4月はスムーズに登校できていたのに、5月になってから朝の準備が遅くなる・「行きたくない」が口をつくのは典型的なサインです。連休明けに一度出た「行きたくない」がそのまま続いている場合も含まれます。
サイン②:身体の不調の増加
頭痛・腹痛・吐き気・微熱・めまい・食欲不振——検査をしても異常がない身体の不調が増えるのは、心の疲れが体に出ているサインかもしれません。特に「朝だけ」「登校前だけ」症状が出る場合は、ストレス由来の可能性が高いです。
サイン③:睡眠の変化
寝つきが悪くなる/夜中に目が覚める/朝起きられない/逆に寝過ぎる——睡眠のリズムが崩れるのも重要なサインです。「夜眠れない」ので「朝起きられない」が続き、登校しぶりに繋がっていくパターンはよく見ます。
サイン④:情緒の不安定さ
ささいなことで泣く/急に怒る/無表情な時間が増える/反抗が強まる——感情の出方が普段と違うのも見逃さないでほしいサインです。思春期の反抗と区別がつきにくい場合もありますが、「普段のこの子と違う」という親の直感は大切にしてください。
サイン⑤:楽しみにしていたことへの興味の喪失
好きだったゲーム・アニメ・習い事・友達との遊びに、以前ほどの熱を出さなくなる——これは見逃されやすいけれど重要なサインです。「楽しい」という感情は、心が元気なときの反応。そこに翳りが出ているときは、心が少し疲れているサインです。
サイン一覧まとめ
| カテゴリ | 具体的なサイン |
|---|---|
| 行動面 | 登校しぶり、朝のぐずり、帰宅後ぼんやりしている |
| 身体面 | 頭痛・腹痛・微熱・食欲不振・寝つきの悪さ |
| 情緒面 | 泣きやすい・怒りっぽい・無表情・反抗が強い |
| 興味関心 | 好きだった活動に熱が出ない、話題が減る |
| 対人関係 | 友達の話をしなくなる、一人で過ごす時間が増える |
なぜ5月中旬に出やすいのか
五月病が5月中旬に集中するのには、いくつかの構造的な理由があります。
理由①:4月の疲労の「遅延性発症」
心身の疲労は、ピークの瞬間より「ピークが過ぎたあと」に症状として出ることが多いです。4月の緊張が最高潮のときは、アドレナリンで持ちこたえていた疲れが、5月に一気に表面化する——これは看護の現場でも「勤務交代直後の疲れ」として経験する現象です。
理由②:気候変動による自律神経の揺さぶり
5月は気温の寒暖差・気圧変動が大きい季節です。この変化は自律神経を揺さぶり、心身両面でバランスを崩しやすくします。特に起立性調節障害(OD)やHSC(敏感な気質)のお子さまは、この気候変動の影響を強く受けます。
理由③:「5月は休みにくい」という心理的圧力
5月は祝日のあと、次の長期休みが夏休みまでありません。「あと2ヶ月休みがない」という心理的圧力も、五月病の背景にあります。大人と同じで、子どもも「先が見えない」ことにエネルギーを削られます。
理由④:運動会・宿泊行事の緊張
5月〜6月は運動会・宿泊学習などの行事が集中する時期でもあります。「参加できるかどうか」「失敗したくない」「友達との距離感」——行事前のプレッシャーが、五月病のトリガーになることも少なくありません。
学年別「五月病」の現れ方
五月病の現れ方は、お子さまの学年によって少しずつ違います。年代別の特徴を知っておくと、見立てがしやすくなります。
小学校低学年(1〜3年)
言葉での表現が苦手な年代。身体症状(腹痛、頭痛、夜泣き)として現れることが多いです。学校に行く時間になると急にトイレに行きたがる、朝食を食べたがらない、お母さんから離れたがらない(分離不安様の症状)など。保育園・幼稚園からの環境変化が大きい1年生は特に注意が必要。
家庭での関わり:身体症状を否定せず受け止める、抱きしめる時間を増やす、夜のスキンシップを意識する。
小学校高学年(4〜6年)
自分の状態を少しずつ言語化できる年代。「友達と上手くいかない」「先生が怖い」「勉強がついていけない」など、具体的な訴えが出てきます。一方で、本人がプライドを保ちたい年代でもあるので、本当のつらさを隠すことも。
家庭での関わり:本人の話を否定せず聞く、解決を急がない、安全な居場所として家を維持する。
中学生
思春期と重なる時期で、五月病の症状が複雑になります。反抗的な態度、引きこもり、SNS依存、自己否定感など、思春期特有の現れ方をします。新中1は環境変化が最大で、五月病が出やすい学年です。
家庭での関わり:本人のペースを尊重する、過度に詮索しない、家を安全地帯として維持する、必要に応じてSC・医療機関と連携。
高校生
進路、人間関係、自立への不安が複雑に絡む時期。五月病が長引くと、適応障害やうつ病に発展することも。新高1は中学から高校への大きな環境変化があるため、特に注意が必要です。
家庭での関わり:一人の人として接する、進路や将来の話を急がない、本人の選択を尊重する。
五月病の科学的背景|身体で何が起きているか
五月病は単なる「気の持ちよう」ではなく、身体で確かに変化が起きている状態です。科学的な背景を知ると、家族としての対応も変わってきます。
自律神経の乱れ
新学期の緊張で、4月は交感神経が優位な状態が続きます。5月になって緊張が解けると、副交感神経への切り替えが上手くいかず、自律神経のバランスが崩れます。これが頭痛・腹痛・めまい・倦怠感などの身体症状を引き起こします。
ストレスホルモンの変化
4月の緊張期に分泌されていたコルチゾール(ストレスホルモン)が、5月の弛緩期に急減します。この変化が、気分の落ち込みや疲労感を増幅させます。
セロトニン分泌の影響
気分を安定させる神経伝達物質「セロトニン」は、日光浴と運動で増えます。5月は気候が良くなり外で活動できる時期ですが、室内で過ごす時間が長いとセロトニン不足になりやすく、気分の落ち込みが強くなります。
睡眠サイクルの乱れ
4月の緊張で交感神経が高ぶり、睡眠の質が低下している状態が長引きます。睡眠不足は気分の落ち込みを増幅させ、悪循環に陥ります。
これらは身体で起きている自然な反応です。「気の持ちよう」ではなく、身体的なケア(睡眠、食事、日光、運動)が重要なのは、こうした背景があるからです。
家庭でできる立て直し4つの工夫
サインに気づいたら、慌てず、責めず、家の中の「安心感」を少しだけ増やすところから始めます。
工夫①:「疲れ」を言葉にしてあげる
子どもは自分の疲れに気づきにくいので、親が代わりに言葉にしてあげるのが効きます。
- 「4月、よくがんばってたね」
- 「新しい環境って、思ってるより疲れるよね」
- 「お母さんも仕事の4月はくたくただった」
「頑張ってる自分に気づく」ことが、回復の第一歩です。「疲れていいんだ」という許可を、親の言葉で渡してあげてください。
工夫②:「5月は省エネモード」と家族で宣言する
無理に元気づけようとせず、5月は家族全体で活動量を控える月と決めてしまう手があります。
- 週末の予定は最小限に
- 宿題は「やる」より「机に向かう」で合格
- 夕食は凝らずに簡単メニューでOK
- 習い事も「行けたら行く」くらいの気楽さに
大事なのは「サボる」ではなく「充電期間」と位置づけることです。家族全員で共有することで、お子さまも罪悪感なく休めます。
工夫③:身体のケアから整える
心の回復は身体からが早道です。五月病の時期こそ、基本的な身体ケアを丁寧に。
- 睡眠:就寝時刻を30分早める
- 食事:朝食を「少量でも食べる」をキープ
- 日光:朝カーテンを開けるだけでも効果あり
- 入浴:シャワーではなく湯船につかる時間を増やす
地味ですが、この4つが揃うだけで自律神経のバランスが整い、気分の安定にも繋がることが臨床的にもわかっています。
工夫④:学校との連携をゆるく始めておく
「登校しぶりが出ている」「朝の身体症状が増えた」段階で、担任に一言だけ共有しておくのもおすすめです。
「大ごとではないのですが、最近ちょっと疲れが見えて気になっています」と短く伝えるだけで十分です。学校側も『あ、この子は今ちょっとデリケートなんだ』と気にかけてくれるようになり、運動会の練習や宿泊行事の配慮にもつながります。
「学校に相談するほどじゃない」と抱え込まず、早めに・軽く・共有するのが、悪化を防ぐコツです。
五月病の時期に意識したい食事メニュー
身体ケアの中でも、食事は気分への影響が大きいです。五月病の時期に意識したい栄養素とメニューをご紹介します。
セロトニンの材料を取る
気分を安定させるセロトニンは、トリプトファンというアミノ酸から作られます。トリプトファンを多く含む食品:
- 大豆製品(豆腐、納豆、味噌)
- 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)
- 卵
- バナナ
- 魚(鮭、まぐろ)
ビタミンB群の補給
ビタミンB群はエネルギー代謝に必須で、不足すると疲労感が増します。豚肉、レバー、玄米、納豆などを意識的に。
鉄分の補給
鉄分不足は疲労感の原因になります。特に女子は注意。赤身肉、魚、ほうれん草、ひじきなど。
朝食の重要性
朝食を取ることで、体内時計がリセットされ、自律神経のバランスが整います。食欲がない時も、ヨーグルト一個、バナナ一本でもいいので、何か口に入れる習慣を。
避けたいもの
- 糖質に偏った食事(菓子パンだけ、お菓子だけ)
- カフェインの取りすぎ(コーラ、エナジードリンク)
- 夜遅い時間の重い食事
5月の運動・活動のヒント
適度な運動は、セロトニン分泌を促し、五月病の予防・改善に効果的です。無理のない範囲でできる活動をご紹介します。
朝の散歩
5月は気候が良い時期。家族で朝の散歩を習慣にすると、日光浴と運動を同時にでき、セロトニン分泌が活発になります。15分程度でも十分効果があります。
家族で公園
週末に家族で公園に行く時間を作ります。ピクニック、軽い運動、ただ座って空を見るだけでも、心が休まります。気候が良い時期だからこそ、外で過ごす時間を大切に。
家族と一緒の運動
サイクリング、軽いハイキング、キャッチボールなど、家族と一緒にできる運動を。本人だけにやらせるのではなく、家族で一緒にやることが続けるコツです。
強度は低めに
五月病の時期は、激しい運動は避けます。「楽しい」と感じられる程度の軽い運動が、心身の回復に向いています。本人が嫌がる場合は無理せず、別の方法を。
父親の関わり方
五月病の対応では、父親の関わりも重要です。母親が日常のケアを担当することが多い中、父親ならではの役割があります。
週末の特別な時間
平日は仕事で関わりが少ない父親も、週末に本人と二人だけの時間を作る。一緒に買い物、ドライブ、外食など、特別感のある活動を。母親が休む時間にもなります。
進路や将来の話
父親と話しやすいテーマとして、進路や将来の話があります。日常会話より、ちょっと真面目な話を、車の中など並んで座る場面で。
母親のサポート
母親が疲弊しないよう、家事や子育てを分担する。母親が一人時間を持てるよう、配慮する。「お母さんが元気でいることが、子どもにとっての最大の支え」と心得て。
家庭の雰囲気作り
父親が穏やかでいることで、家庭全体の空気が安定します。仕事のストレスを家に持ち込まない、家族との時間を大切にする姿勢を見せる、これだけで家族にとっての安心感が増します。
病棟で見た五月病のケース3つ
病棟で出会ったお子さまの中で、五月病の代表的なケースを3つご紹介します。プライバシー保護のため、状況は大きく改変していますが、エッセンスは現場のリアルです。
ケース① 朝の腹痛が増えたAさん(小2女子)
4月は元気に通学していたが、5月のGW明けから毎朝腹痛を訴え始めた。小児科では異常なし。お母さんが「無理しなくていいよ」「疲れたよね」と声をかけ、週末は家族で公園で過ごす時間を増やしました。2週間後には腹痛が減り、5月後半には通常通り通学できるように。身体症状を否定せず、家族の安心感を増やしたことが効いたケースです。
ケース② 反抗が強まったBさん(中1男子)
中学入学から1ヶ月、慣れたと思った矢先のGW明け、急に家族に反抗的になり、部屋にこもることが増えた。家族は最初「思春期だから」と距離を置きすぎ、症状が悪化。SCに相談し、「五月病の可能性」と指摘され、家族で「省エネモード」を宣言。本人にも「4月よく頑張ったね」と労いの言葉を。1ヶ月かけて徐々に落ち着きを取り戻しました。思春期と五月病の見分けがつきにくいケースで、専門家の介入が効いた例です。
ケース③ 不眠が続いたCさん(高1女子)
高校入学後、5月から夜眠れない日が続き、朝起きられなくなった。受診で「適応障害」と診断され、軽い薬物療法と並行して、家族で生活リズムを整え直す取り組みを開始。3ヶ月かけて回復しました。五月病が長引いた場合、医療機関の介入が必要なこともあると示すケースです。
3つのケースに共通するのは、「早めに気づいて家族で対応した」「必要に応じて専門家に相談した」「本人のペースを尊重した」こと。五月病は早期対応が回復を早めます。
相談機関に頼るタイミング
五月病は多くの場合、家庭のケアと時間で自然に回復します。ただ、以下のような状況が見られる場合は、早めに専門機関に相談してください。
相談を検討するサイン
- 2週間以上、身体症状や情緒の不安定が続く
- 食事・睡眠が著しく崩れている
- 「消えたい」「生きてる意味がない」などの発言がある
- 登校できない日が増えている
- 自傷の痕跡がある
- 親から見て「いつもと違う深刻さ」を感じる
どこに相談すればいい?
- まず:学校のスクールカウンセラー、担任
- 次に:小児科、児童精神科、心療内科
- 公的窓口:市区町村の子育て支援センター、児童相談所、教育センター
- 匿名・電話:こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)、よりそいホットライン(0120-279-338)
「相談する」ことは「問題を大きくする」ことではありません。早めに頼ることが、お子さまの回復を最短にします。
五月病と他の疾患の見分け方
五月病の症状は、他の疾患と似ていることがあります。見分けるポイントをまとめます。
五月病 vs 適応障害
五月病は適応障害の一種とも言えますが、軽症で短期間(数週間〜2ヶ月程度)で自然回復するのが特徴。それを超えて症状が続く、生活機能が大きく損なわれる場合は、医療的な適応障害として治療が必要です。
五月病 vs うつ病
うつ病は持続的な気分の落ち込み、興味の喪失、自己否定感、希死念慮などを伴います。2週間以上続く症状、好きなことへの興味が完全に失われる、「死にたい」と発言するなどがあれば、うつ病の可能性も視野に。
五月病 vs 起立性調節障害
起立性調節障害は、朝起きられない、立ちくらみ、頭痛などが特徴の自律神経の病気です。五月病と症状が似ていますが、起立性調節障害は身体の病気として治療が必要です。小児科でnew Schellong試験などで診断できます。
五月病 vs 不登校
五月病は登校できているが疲れている状態、不登校は登校できない状態が続く状態。五月病の段階で対応すれば、不登校への移行を防げることが多いです。
これらの見分けは、家庭だけでは難しいことがあります。気になる症状があれば、迷わず専門家に相談してください。
親自身の五月病対策
子どもの五月病と同じく、保護者自身の五月病も多いです。親が元気でないと、子どもへの対応も雑になります。親自身のセルフケアも忘れずに。
自分の状態に気づく
「最近、疲れているな」「やる気が出ないな」と気づくこと自体が、ケアの第一歩。子どものことばかりに目を向けて、自分の状態に気づけないと、知らないうちに消耗します。
自分にも「省エネモード」を許す
5月は親も省エネモードで。家事は手抜き、夕食は簡単に、週末は寝る、これでOK。完璧を求めず、ゆるめる勇気を持ってください。
自分のためのリフレッシュ
趣味、友人との時間、一人カフェなど、自分のためのリフレッシュ時間を意識的に確保。「親が楽しんでいる」姿が、子どもにとっての安心の土台です。
必要なら自分も受診
不眠や食欲不振が続くなら、自分も心療内科などを受診。親が倒れる前に、ケアを始めてください。
翌年の五月病を予防するために
今年の五月病を乗り越えたら、翌年の予防も考えてみましょう。事前準備で、五月病の影響を最小化できます。
春休み中の準備
- 生活リズムを少しずつ通常モードに戻す
- 新学年への期待と不安を本人と話す
- 新しい持ち物や制服に慣れる時間を作る
- 家族での楽しい時間を確保し、心の余裕を作る
4月中の意識
- 本人の頑張りを毎日認める
- 疲れた様子があれば早めに対応
- 習い事や塾を増やしすぎない
- 週末はゆっくり過ごす
GW中の過ごし方
- 遊びすぎず、休息も確保
- 後半に生活リズムを戻す日を作る
- 5月の予定を家族で確認
- 「5月は省エネモード」を家族で共有
よくある質問
Q1. 五月病と不登校の違いはなんですか?
明確な境界線はありませんが、登校はできている(けれどつらそう)段階が五月病、登校できない日が続いている段階が不登校の入り口、と考えると分かりやすいです。五月病の段階で気づいて対処できれば、不登校への移行を防げるケースがたくさんあります。
Q2. 「頑張れ」と励ましていいですか?
「頑張れ」は、すでに頑張っている子どもには逆効果になることが多い言葉です。代わりに「今まで頑張ってきたね」「休んでいいよ」と、頑張りを認めて休息を許可する言葉に置き換えてください。
Q3. 共働きで家で過ごす時間を増やすのが難しい
時間の長さよりも「目を合わせて話す5分」「一緒に食事をとる時間」の質が効きます。帰宅後30分だけでも、スマホを置いて子どもの話を聞く時間を作ってみてください。短くても、効果は確かにあります。
Q4. 大人の五月病と同時期で、自分も疲れていてつらい
保護者自身の五月病も、実はとても多いです。「親が元気でいること」が、子どもの回復の土台になります。ご自身のケアも同じくらい大切にしてください。必要なら大人向けのオンラインカウンセリングや、本ブログで紹介している相談サービスも活用していただければと思います。
Q5. 発達特性のある子の五月病は違いますか?
はい、傾向があります。ASD傾向のお子さまは環境変化への適応疲れが長引きやすく、ADHD傾向のお子さまは新環境で注意エネルギーを使いすぎて電池切れを起こしやすい傾向があります。特性に応じた配慮を、学校と早めに共有しておくと安心です。
Q6. 子どもが「学校楽しくない」と言ったらどうしたら?
否定せず、「そっか、楽しくないんだね」とまず受け止めます。理由を聞き出そうとせず、共感だけで十分。本人が話したくなった時に、ゆっくり聞ける雰囲気を作っておいてください。
Q7. 兄弟がいる場合、両方が五月病になることはありますか?
あります。兄弟それぞれが新学年で環境変化があり、家族全体に影響が及ぶことも。家族全体で「5月は省エネモード」を共有し、無理しない月にしてください。
五月病の時期に避けたい家庭の関わり方
良かれと思って行う家族の対応が、かえって五月病を悪化させることもあります。避けたい関わり方をまとめます。
「気のせい」「甘え」と否定する
「そんなの気のせい」「甘えるな」と否定すると、本人は「自分の感覚が信用されない」と感じ、心の不調を表現することをやめてしまいます。サインを見せなくなった子は、ある日突然不登校になることも。否定せず、まず受け止めること。
無理に予定を入れる
「気分転換に」と週末に大きな予定を入れる、習い事を増やす、塾を始めるなど、活動量を増やす対応は逆効果。五月病の時期は休養が必要です。
「みんな頑張ってる」と比較
「みんな頑張ってるんだから」「あなたも頑張りなさい」という比較は、本人の自己肯定感を下げます。「みんな」がどうであれ、今の本人がしんどい、それが事実。本人の状態に寄り添う姿勢を。
過度に心配する
親が過剰に心配な顔をすると、本人は「自分のせいで親が苦しんでいる」と罪悪感を抱きます。心配は当然ですが、家では穏やかな表情で接する努力を。
具体的なアドバイスをしすぎる
「○○すればいい」「△△に注意しろ」と具体的なアドバイスをしすぎると、本人は「自分のやり方を否定された」と感じます。本人が話してくれた時はまず聞く、解決を急がない姿勢を。
運動会・宿泊行事への対応
5月〜6月は学校行事が集中する時期。五月病の子にとっては、これらの行事が大きなプレッシャーになることがあります。対応のヒントをご紹介します。
事前に学校と相談
五月病で疲労が見える場合、行事の練習や本番に対して、学校と事前に相談しておきます。「練習を一部見学する」「無理のない範囲で参加する」「保健室で休む選択肢を」など、配慮を依頼。
「参加しない」も選択肢
体調や心の状態によっては、行事に参加しないという選択肢もあります。「みんな参加するから」と強制せず、本人と相談して決めること。一度欠席しても、来年または別の機会で経験できます。
当日のサポート
参加する場合、当日の対応もサポート。朝早く起きすぎない、軽い朝食、必要なら家族の応援、当日の本人の様子を観察。「頑張れ」より「無理しないでね」の声かけを。
行事後のケア
行事の後は、本人が消耗しています。翌日は休む、好きなご飯を作る、ゆっくり過ごす時間を確保。「お疲れさま」と労う言葉を忘れずに。
きょうだいへの配慮
五月病のお子さまにきょうだいがいる場合、きょうだいへの配慮も大切です。
きょうだいも五月病かもしれない
同じ家族内で、複数の子が五月病になることはよくあります。家族全体で五月病モードと捉え、それぞれの子の状態に気を配ります。
きょうだいへの説明
「お兄ちゃん(お姉ちゃん、弟、妹)は今、ちょっと疲れているから、ゆっくり休んでもらっているよ」と、きょうだいにも状況を伝えます。「あの子ばかり甘えている」と感じないよう、配慮します。
家族全体で省エネモード
一人だけ特別扱いするのではなく、家族全員が「5月は省エネモード」と決める。家事を減らす、予定を減らす、夕食を簡単にする——家族全体でゆるめることで、本人も罪悪感なく休めます。
5月の心を整える小さな習慣
五月病の時期に、本人と家族で取り入れたい小さな習慣をご紹介します。どれも今日から始められるものです。
朝のカーテン全開
朝起きたら、まずカーテンを全開にする。自然光は体内時計をリセットし、セロトニン分泌を促します。30秒で始められる、最大の効果がある習慣です。
夕食の食卓を一緒に
家族と一緒に食事をする時間は、心の支えになります。テレビを消して、スマホを置いて、家族で短い会話を交わす夕食。一日の最後の安心タイムです。
夜のスキンシップ
小学生以下なら、寝る前のハグや背中をなでる時間を。中高生でも、肩をぽんと叩く程度のスキンシップが、安心感を生みます。スキンシップでオキシトシンが分泌され、心が落ち着きます。
5分の散歩
朝でも夕方でも、5分でいいので外を歩く。日光、運動、自然との接触が、心身を整えます。家族で一緒に歩くと、会話のきっかけにもなります。
「今日のよかったこと」を3つ
夕食時や寝る前に、家族でその日の良かったことを3つずつ言い合う。小さなことでOK。「お弁当美味しかった」「猫を見た」「ちょっと笑った」など。ポジティブな視点を養う習慣です。
看護師として親御さんに伝えたい3つのこと
① 五月病は「頑張った証」
五月病は、4月に頑張った証拠です。「悪いこと」ではなく、「頑張ったからこそ起きる自然な反応」として受け止めてください。「よく頑張ったね」と認めることが、回復への第一歩です。
② 「休ませる勇気」を持つ
「学校休んでいいの?」と迷う場面で、「休ませる勇気」を持つこと。一日休んで充電すれば、翌日からまた頑張れます。無理に行かせて悪化するより、休むという選択が、長期的には子どものためになります。
③ 親自身も同じく労る
子どもの五月病は、親の五月病でもあることが多いです。親自身も労り、休ませる時間を持ってください。「親が元気で穏やか」が、子どもの回復の最大の土台です。
五月病から回復した子の振り返り
面談で関わった、五月病から回復したお子さまたちの振り返りの言葉をご紹介します。プライバシー保護のため、状況は大きく改変していますが、本人たちの気持ちが見えてきます。
「親が休むのを許してくれて助かった」
「あの時、親が『今日は休もうか』と言ってくれて、本当に救われた。自分から『休みたい』とは言えなかったから、親が察して声をかけてくれたのがありがたかった」(中2女子・五月病で1週間休んだ後復帰)
「無理しなくていいよと言ってくれた」
「『頑張れ』ではなく『無理しなくていい』と言ってくれたのが大きかった。頑張らなきゃと思い詰めていたから、ホッとした」(小5男子・五月病から回復後)
「家がゆっくりした空気だった」
「5月、家族みんなで『ゆっくりしよう』モードになっていた。週末の予定もなくて、ダラダラ過ごせた。あれが自分の回復には必要だった」(高1女子・五月病から回復後)
「お母さんも疲れてた」
「お母さんも『今日は手抜きご飯』『今日はテレビ見て寝る』と言っていて、自分だけが疲れているわけじゃないんだと思えた。それが安心だった」(中3男子・五月病から回復後)
これらの言葉に共通するのは、「親が休むことを許し、自分も休んでくれていた」こと。家族で一緒に休む姿勢が、本人の回復を支えています。
五月病を乗り越えた家族の体験談
面談で関わったご家族の体験から、五月病をどう乗り越えたかの実例を3つご紹介します。
事例① 小学校1年生の五月病
小1男子。4月は元気に通学していたが、GW明けから毎朝「お腹痛い」と訴えるように。お母さんは最初「学校行かせなきゃ」と無理に登校させていましたが、症状が悪化し、SCに相談。「環境変化の疲れ」と指摘され、しばらく「行きたい時に行く」スタイルに切り替え。母子で過ごす時間を増やし、5月後半には自然に通学を再開できました。無理に登校させず、本人のペースを尊重した事例です。
事例② 中学2年生の五月病
中2女子。GW明けから急に元気がなくなり、夜眠れない日が続きました。家族で話し合い、「5月は省エネモード」を宣言。週末の予定をキャンセルし、家族でゆっくり過ごす時間を作りました。3週間ほどで本人も落ち着きを取り戻し、6月から元のペースに戻れました。家族全体で休養モードに切り替えた事例です。
事例③ 高校1年生の五月病から長期化
高1女子。GW明けから登校しぶりが始まり、6月になっても続いていました。家庭でのケアだけでは改善せず、児童精神科を受診。適応障害と診断され、軽い薬物療法とカウンセリングを開始。3ヶ月かけて回復し、夏休み明けから徐々に登校できるように。家庭でのケアと医療の両輪が効いた事例です。
3つの事例に共通するのは、「早めに対応した」「本人のペースを尊重した」「必要に応じて専門家と連携した」こと。五月病は、適切な対応で必ず回復します。
五月病になりやすい子の特徴
すべての子が五月病になるわけではありません。なりやすい子の特徴を知っておくと、予防的な対応がしやすくなります。
真面目で頑張り屋の子
「ちゃんとしなきゃ」「みんなに合わせなきゃ」と頑張りすぎる子は、エネルギーを使い果たしやすいです。普段から「無理しなくていいよ」と伝え、休む許可を与えておくことが予防になります。
感受性が強い子(HSC)
環境変化、人の感情、音や光などに敏感な子(HSC: Highly Sensitive Child)は、新学期の刺激が大きく、五月病になりやすい傾向があります。刺激を減らす環境作り、休息時間の確保が大切です。
発達特性のある子
ASD、ADHD、LDなどの発達特性があるお子さまは、新環境への適応に通常よりエネルギーを使います。早めの学校との連携、特性に応じた配慮の依頼が予防に有効です。
新環境への変化が大きい子
新入学、転校、クラス替えで仲の良い友達と離れたなど、環境変化が大きい子は注意が必要です。新環境に慣れるまでの期間、家族のサポートを意識的に増やします。
過去にも五月病になったことがある子
過去に五月病を経験した子は、再発する可能性があります。「今年も気をつけよう」と、予防的に省エネモードを取り入れます。
5月の子育てカレンダー
5月の1ヶ月間、子どもの状態と家族の対応をどう変えていくか、週ごとのカレンダーをご紹介します。
5月1週目(GW中)
- GW中は遊びすぎず、休息も意識
- 家族で楽しい時間を確保
- 後半に生活リズムを少しずつ戻す
- 「5月は省エネモード」を家族で共有
5月2週目(GW明け)
- 登校しぶりが出ても無理せず
- 朝のサインに気をつける
- 夕食の時間を一緒に
- 本人の話を聞く時間を作る
5月3週目(五月病ピーク)
- 身体症状・情緒の変化を観察
- 必要なら学校と連携
- 「無理しないで」の声かけ
- 週末はゆっくり過ごす
5月4週目(少し落ち着き)
- 本人の様子を見ながらペース調整
- 運動会の練習で疲れすぎていないかチェック
- 必要なら専門家への相談を検討
- 6月への準備をゆっくりと
6月1週目(移行期)
- 少しずつ通常モードに戻す
- 梅雨入りに伴う気分の変化に注意
- 家族の楽しい時間を継続
- 「よく頑張ったね」と本人を労う
五月病に関連する身体症状の詳細
五月病の身体症状について、もう少し詳しく見ていきます。それぞれの症状の特徴と対応をまとめます。
頭痛
緊張性頭痛、片頭痛、群発頭痛など、ストレス由来の頭痛が出やすくなります。頻度や強さによっては、小児科や頭痛外来の受診を。市販薬の使いすぎは薬物乱用頭痛のリスクがあるので注意。
腹痛
過敏性腸症候群(IBS)の症状として現れることが多いです。下痢、便秘、ガス、腹痛など。食物繊維と水分の摂取、規則正しい生活が改善に有効。長引く場合は消化器内科を受診。
めまい・立ちくらみ
起立性調節障害(OD)の症状として現れることがあります。朝起きられない、立ち上がるとふらつく、午前中調子が悪い、午後元気になる、というパターンが特徴的。小児科でnew Schellong試験を受けてみることをお勧めします。
食欲不振
ストレスで食欲が落ちることはよくあります。朝食を食べない、間食ばかりで食事の時間に食べない、特定の食べ物だけ食べる、など。無理に食べさせず、食べやすいもの(バナナ、ヨーグルト、おにぎりなど)を用意。
過眠・不眠
眠れない夜が続く、または昼間も寝てしまう、というパターン。睡眠の質を改善する基本(就寝1時間前のスマホ控え、寝室の環境整備、規則的な就寝時間)から始め、改善しない場合は医療機関へ。
5月の親のSelfCareチェックリスト
子どもの五月病に対応する保護者にも、Self Careが必要です。チェックリスト形式でまとめます。
身体面のセルフケア
- 1日6時間以上の睡眠を確保しているか
- 朝食を取っているか
- 1日30分の身体活動があるか
- 日光を浴びる時間があるか
- 水分補給は十分か
心のセルフケア
- 自分の感情に気づいているか
- 愚痴を話せる相手はいるか
- 趣味の時間があるか
- 友人と会う機会はあるか
- 一人時間を確保できているか
家族関係のセルフケア
- 夫婦・パートナーと話す時間があるか
- 家事を一人で抱え込んでいないか
- 子育てを分担できているか
- 祖父母など外部のサポートを得られているか
- SCや専門家との接点があるか
これらが満たされていないと、保護者自身が消耗します。一つずつでも改善していくことが、結果的に子どもへの関わりの質を高めます。
子どもが「学校行きたくない」と言った日の対応
朝、子どもが「学校行きたくない」と言った瞬間、親はどう対応すればよいか。具体的な対応をご紹介します。
まず否定せず受け止める
「そんなこと言わないで」「行きなさい」と否定せず、「そっか、行きたくないんだね」とまず受け止めます。共感の一言が、本人の心を少し軽くします。
体調を確認
「どこか痛い?」「気持ち悪い?」と体調を確認します。身体症状があれば、それを真に受けてあげる。仮病疑いではなく、五月病の身体症状の可能性も。
選択肢を提示
「今日は休もうか」「途中まで行ってみる?」「保健室で過ごす?」など、複数の選択肢を提示します。本人に選ばせることで、自己決定感が生まれ、心が落ち着きます。
休むと決めたら罪悪感を持たせない
休むと決めたら、「分かった、今日はゆっくりしよう」と切り替えます。「みんな行ってるのに」などのプレッシャーは厳禁。家でリラックスして過ごせる環境を整えます。
学校への連絡
学校に電話で「本日体調不良のためお休みします」と簡潔に伝えます。詳細を毎日伝える必要はありません。学校側も「五月病」を理解している場合が多いです。
翌日への準備
休んだ日の夜、「明日どうしようか」と本人と話します。プレッシャーをかけず、本人の意思を尊重しながら、翌日の方向性を一緒に考えます。
新学期不安への根本的アプローチ
五月病の根本にあるのは、「環境変化への不安」です。これにどう向き合うかが、根本的な対応になります。
環境変化を予測可能にする
新しい環境への不安は、「何が起きるか分からない」ことから生まれます。事前に学校の見学、先生との顔合わせ、新しい教室の確認など、予測可能性を上げる工夫が有効です。
「変わらないもの」を確認する
環境が変わる中でも、家族・友達・趣味など「変わらないもの」を確認することで、安心感が得られます。「学校は変わったけど、家族はいつも通り」「クラスは変わったけど、好きなゲームはある」など。
小さな成功体験を積む
新しい環境で「できた」と感じる体験を積み重ねることで、自信がついていきます。大きな成功ではなく、「今日も学校に行けた」「お弁当を完食できた」など、小さなことから。
「失敗してもいい」を伝える
新しい環境では失敗が当たり前。「失敗してもいい」「失敗から学べばいい」というメッセージを、家庭で何度も伝えます。失敗を恐れずに動ける子は、五月病になりにくい傾向があります。
五月病を予防する4月の過ごし方
五月病は、4月の過ごし方によって予防できる部分があります。4月から意識したいポイントをまとめます。
「頑張りすぎ」を見守る
4月、お子さまが頑張っている姿を見て嬉しいと感じるのは自然です。でも、「頑張りすぎ」は五月病の原因になります。「無理してない?」「疲れてない?」と定期的に声をかけ、本人が休む許可を出せる雰囲気を。
新しい活動を増やしすぎない
新学年に合わせて、塾、習い事、部活動を一気に始めるご家庭がありますが、4月は新環境への適応で精一杯。新しい活動は1つに絞り、5月以降に少しずつ増やす方が、五月病予防になります。
家庭をリラックスの場に
学校で緊張している分、家ではリラックスできる環境を。「学校どうだった?」と質問攻めにせず、「お疲れさま」と短い声かけで。家が「ホッとできる場所」であることが、最大の予防になります。
睡眠を優先
4月は本人の睡眠時間を確保することを最優先に。宿題やゲームより、寝る時間を守ること。睡眠不足が積み重なると、5月に一気に出てきます。
週末はゆっくり
4月の週末は、家族で楽しい予定を入れたくなりますが、本人の体力を考えると、ゆっくり過ごす時間を優先する方が良いです。詰め込みすぎず、リラックスできる週末を。
五月病からの「気づき」を活かす
五月病は、家族にとって「気づき」の機会でもあります。この経験から学べることを整理します。
子どもの状態への敏感さ
五月病を経験すると、子どもの小さな変化への敏感さが高まります。「あれ、いつもと違うかも」と早めに気づける親になっていきます。これは長期的にも、子どもの健康を守る大切な感覚です。
家族の関わり方の見直し
五月病をきっかけに、家族の関わり方を見直す機会になります。「もっとゆっくり話す時間が必要だった」「家族で楽しむ時間が少なかった」など、気づきがあれば、それを今後に活かしていきます。
「休む」ことの大切さ
頑張ることが美徳とされる社会で、「休む」ことの大切さを家族で学ぶ機会になります。子どもにも、休んでいいこと、休むことで回復できることを実感を持って理解させられます。
家族の絆の確認
困難な時期を家族で乗り越えることで、絆が深まります。「家族はいざというとき助け合える」という安心感が、お子さまにとっての大きな財産になります。
長期化する五月病に対応する
五月病は通常、数週間〜2ヶ月程度で自然回復しますが、長引く場合の対応も知っておきましょう。
6月以降も続く場合
5月の症状が6月、7月と続く場合、適応障害やうつ病への移行を疑う必要があります。早めに医療機関への相談を。「五月病だから」と放置しないことが大切です。
不登校への移行を防ぐ
五月病が長引くと、不登校に発展することがあります。早めに学校と連携し、保健室登校、別室登校、午前中だけの登校など、柔軟な対応を検討します。完全休養と部分登校をバランスよく組み合わせる工夫が有効です。
専門治療の検討
症状が3ヶ月以上続く、生活機能が大きく損なわれる、希死念慮がある場合は、専門的な治療(薬物療法、認知行動療法など)の検討が必要です。家族だけで抱え込まず、必ず専門家へ。
家族のサポート継続
長期化すると、家族の疲労も蓄積します。専門家のサポート、親の会、配偶者との分担など、家族のサポート体制を継続的に整えていくことが大切です。
5月病と上手に付き合うための家族会議
家族で五月病と向き合うために、家族会議を開いてみるのも一つの方法です。
会議のタイミング
GW明けの最初の週末、家族みんなが集まれる時間に。15〜30分程度で十分。改まった雰囲気ではなく、夕食後のリラックスした時間に。
話す内容
- 4月の振り返り(みんなどんなだった?)
- 5月にどう過ごしたいか
- 「省エネモード」のルール
- 家族でやりたいこと(楽しい予定)
- 困った時の合図(「ちょっと休みたい」をどう伝える?)
会議のコツ
全員が話す機会を作ること。子どもの意見も平等に扱うこと。「決める」より「共有する」スタンスで。長引かせず、楽しく終わること。
まとめ|5月は「休ませる勇気」の月
子どもの五月病は、4月を頑張った証です。何も問題のない証拠でもあり、何も異常ではありません。ただ、サインを見逃してそのまま放置すると、不登校や身体症状の慢性化につながることもあります。
この記事でお伝えしたポイントを振り返ります:
- 子どもの五月病は身体症状・行動・情緒の3方向で出る
- 5月中旬は4月の疲れが遅れて出る時期
- 学年別の現れ方を知っておくと見立てやすい
- 科学的背景(自律神経・ホルモン)を理解すると対応が変わる
- 家庭では「疲れを言語化」「省エネモード宣言」「身体ケア」「学校連携」の4つ
- 食事・運動・父親の関わりも回復に貢献
- 2週間以上続く不調は専門機関に早めに相談
- 他の疾患(うつ・適応障害・起立性調節障害)との見分けも意識
- 親自身のケアも欠かさない
- 翌年に向けた予防策も考える
「頑張らせる」より「休ませる」が、5月の親の仕事です。一度しっかり休めた子は、6月からまた自分のペースで進めるようになります。どうか焦らず、お子さまの回復を信じて、家の空気を少しだけゆるめてあげてください。
5月の風が、お子さまとあなたの家族にとって、優しいものでありますように。
もしこの記事を読んで「うちの子もそうかも」と思われた保護者の方は、ぜひ今夜にでも、お子さまに「最近どう?疲れてない?」と声をかけてみてください。「大丈夫」と返ってきても、「無理しないでね、休みたい時は休んでいいからね」とだけ伝えてみる。それだけで、本人の心が少し軽くなることがあります。
面談で関わったご家族で、五月病をきっかけに「家族の関わり方を見直すきっかけになった」という方が多くいらっしゃいました。五月病は決して「悪いこと」ではなく、家族の関わりを整え直す機会としても活用できます。本人の頑張りに気づき、家族の在り方を見直す——そんな5月の過ごし方ができれば、結果として家族全体がもっと穏やかになっていきます。
5月の終わりが見えてきたら、本人と一緒に「この一ヶ月、よく頑張ったね」と振り返る時間を作ってみてください。1ヶ月の頑張りを言葉で認められることが、本人にとっての大きな支えになります。そして、6月からは新しい気持ちで、また家族みんなで前に進んでいけます。
本ブログでは、不登校・発達障害・思春期メンタルに関する記事を、現役の児童思春期精神科看護師の視点から継続的に発信しています。五月病に限らず、季節ごとのお子さまへの関わり方、家族のケア、学校との連携など、幅広く取り扱っています。関連記事もぜひお読みください。
そして、もしこの記事が少しでもお役に立ったら、同じように悩んでいる保護者の方に、そっとシェアしていただけたら嬉しいです。「子どもの五月病」を知っているだけで、救われる親御さんがたくさんいらっしゃいます。一人でも多くの方に、情報が届きますように。
お子さまもあなたご自身も、どうかご自愛くださいませ。今日もお疲れさまでした。明日もまた、ここでお会いできますように。児童思春期精神科看護師の星野レンより、心を込めて。5月という季節が、家族にとって優しい時間でありますように。
5月の風が心地よい季節、お子さまの「ちょっと疲れた」のサインに気づける親でいてください。そして気づいたら、迷わず「今日は休もうか」と提案できる親でいてください。それが、お子さまの一年を支える、何よりの愛情の表現です。
「休む」ことは、決して負けではありません。むしろ、明日への充電であり、未来への投資です。一日休んで、また家族で笑い合える日々を取り戻すこと——それが、5月の家族の在り方なのだと、私は思います。
もし今、五月病のお子さまと向き合っている保護者の方がいらっしゃるなら、まずあなた自身に「お疲れさま」と声をかけてあげてください。あなたが穏やかでいることが、お子さまの何よりの支えになります。あなたの優しさが、必ずお子さまに届きます。
明日からの一日が、お子さまとあなたの家族にとって、少しでも穏やかで温かいものでありますように。心からの願いを込めて、ここに今日の記事を書き終えます。
本ブログは、子育てに悩む保護者の方の伴走者でありたいと願って、毎日の発信を続けています。五月病、不登校、思春期、発達特性、家族の関わり方——様々なテーマで、現役の児童思春期精神科看護師の視点をお届けしています。気になるテーマがあれば、ぜひ関連記事もご覧ください。
そして、もしあなたが今、お子さまの「5月病」に悩んでいるなら、決して一人で抱え込まないでください。スクールカウンセラー、かかりつけ医、児童精神科、自治体の相談窓口、不登校・引きこもりに関する親の会など、相談先はたくさんあります。「相談する」ことは、保護者として弱さではなく、家族を守るための強さです。一歩を踏み出す勇気を、明日にでも持ってみてください。
そして、もしこの記事が少しでもお役に立ったら、同じように悩んでいる保護者の方に、そっとシェアしていただけたら嬉しいです。「子どもの五月病」を知っている保護者が増えることで、救われる家族が増えていきます。あなたの一つのシェアが、もう一つの家族の支えになるかもしれません。情報のバトンを、次の保護者に渡すこと——それも家族支援の大切な形のひとつです。今日この記事を読んでくださったあなたの存在が、必ず誰かの希望になります。家族の物語を、ひとつずつ繋いでいきましょう。優しさは、必ず循環していきます。あなたの今日の小さな一歩が、明日の家族の風景を確かに変えていきます。今日も明日も明後日も、ずっとずっと、あなたとお子さま、ご家族みんなの毎日が、穏やかで温かい時間でありますようにと、心から強く深く願っています。
そして、いつかどこかで、あなたのお子さまの「5月の頑張り」を、誰かがちゃんと認めてくれる時が来ますように。家族の安らかな日々が、明日からも、ずっとずっと続いていきますように。心からの深い祈りを込めて。最後までお読みくださり、本当にありがとうございました。今夜はゆっくり温かい飲み物を飲んで、ゆっくりお休みください。お子さまの隣に、あなたという何よりも大切で温かな味方が寄り添っていることを、どうか決して忘れないでくださいね。5月の風が、優しくあなた方ご家族を包み込んでくれますように。穏やかな朝が、毎日のご家族のもとに必ず訪れますように。今日も明日も明後日も、これからもずっと、ご家族の毎日が、ほんの少しでも温かいものでありますようにと、心から強く願っています。5月の終わりに、家族みんなで笑顔で過ごせる素敵な時間を持てますように。そして6月、また新しい季節を、家族みんなで穏やかな気持ちで迎えられますように。心からの深い祈りと、ご家族への感謝を込めて、ここに今日のペンを置かせていただきます。本当にお疲れさまでした。明日もまた、ご家族のみなさんで、たくさんの笑顔のあふれる、とても温かくて穏やかで、何よりも素晴らしくて、ほんとうに良い一日を過ごせますようにと、ここで深く深くお祈り申し上げ、心の底より強く願っております。それでは、また明日、こちらの場所で、ぜひまたお会いできますことを、心の底から、本当に心から楽しみにしながらお待ちしております。
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著者プロフィール
星野レン(ほしの れん)
看護師歴8年、うち児童思春期精神科の病棟で5年勤務。不登校・発達障害・思春期のメンタル不調を抱えたお子さまとご家族のケアに従事。
免責事項
本記事は児童思春期精神科での臨床経験をもとにした一看護師の視点をまとめたものです。医療的な診断・治療方針を示すものではありません。症状が長引く・悪化する場合や、自傷・希死念慮など緊急性のある状況では、必ず主治医・専門機関にご相談ください。


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