GW明けの「行きたくない」を防ぐ|長期休暇明けの不登校再発対応

GW明け・長期休暇明けの不登校再発を防ぐ 不登校

本記事にはプロモーションが含まれています。

ゴールデンウィーク最終日の夜。楽しく過ごしていたはずのお子さまの口数が減り、「明日から学校だね」と声をかけた瞬間、ふっと目をそらされた——。そんな経験はありませんか。あるいは、連休後半から食事の量が減り、笑顔が少なくなり、「ちょっとお腹が痛い」「頭が重い」といった訴えが増えてきた。リビングでテレビを見ていても上の空で、何度呼びかけても反応が遅い。そんな小さな変化に、胸の奥がざわつき始めている親御さまもいらっしゃるかもしれません。

連休明けは、登校しぶりや不登校の再発が増えやすいタイミングです。児童思春期精神科の病棟でも、5月の連休明けには「また行けなくなってしまって」とご相談にいらっしゃる親御さまが目立って増えていました。電話相談の件数も、4月中旬と比べて1.5倍ほどに増える時期でした。年明け1月、9月初旬と並んで、連休明けは「学校に行きづらさ」が表面化しやすい三大シーズンといえます。

この記事では、GW明けに「行きたくない」が戻ってきたときの関わり方、休暇後半からの「慣らし運転」、当日朝の声かけ、再発時の初期対応、親御さま自身のセルフケア、学校との連携の仕方、よくある質問への答えまでを、病棟での具体例を交えてお伝えします。夏休み・冬休みにも応用できる考え方としてまとめましたので、長期休暇のたびに見返していただける内容を目指しました。

私は児童思春期精神科の病棟で5年以上、不登校のお子さまとそのご家族に向き合ってきました。連休明けに病棟へ駆け込んできたご家族、電話越しに「もうどうしたらいいか分からない」と泣かれた親御さま、ベッドサイドでぽつりぽつりと連休中のことを語ってくれたお子さま——そうした現場の声から見えてきたものを、できるだけ等身大の言葉でお伝えします。

  1. なぜ連休明けに不登校サインが出やすいのか
    1. 理由①:緊張の反動
    2. 理由②:生活リズムのずれ
    3. 理由③:学校を客観視してしまう時間ができること
  2. 休暇中に起きやすい3つの変化
    1. 変化①:生活リズムの乱れ
    2. 変化②:ひきこもり化
    3. 変化③:自己認識の変化
  3. 病棟で見た「連休明けに動けなくなった子」の3つのパターン
    1. パターン①:エネルギー切れ型
    2. パターン②:人間関係しんどい型
    3. パターン③:勉強ついていけない型
  4. 休暇後半から始める「慣らし運転」
    1. 学齢別の慣らし運転のポイント
  5. 当日朝の関わり方(現場で見た成功例)
    1. 朝の声かけ:NG例とOK例
  6. 学校との連携・相談の仕方
    1. 担任の先生への連絡の仕方
    2. スクールカウンセラーの活用
    3. 教育支援センター・適応指導教室の存在
  7. 再発してしまったときの初期対応
    1. 医療機関を検討すべきサイン
  8. 親御さま自身のメンタルケア
    1. 「がんばりすぎ」の3つのサイン
    2. 親御さまの「逃げ場」を確保する
    3. オンラインカウンセリングという選択肢
  9. よくある質問(Q&A)
    1. Q1. 連休明けに1日休んだら、もう癖になりますか?
    2. Q2. 朝、起きてこないとき、どこまで起こせばいいですか?
    3. Q3. 連休中、ゲームやスマホは制限すべきですか?
    4. Q4. 「学校に行きたくない」と言われたとき、まず何と言えばいいですか?
    5. Q5. 連休明けに体調不良(腹痛・頭痛)を訴えます。本当に体調が悪いのでしょうか?
    6. Q6. 父親と母親で意見が割れます。どうすればいいですか?
    7. Q7. 祖父母から「甘やかしすぎ」と言われます。
    8. Q8. 兄弟姉妹への影響が心配です。
    9. Q9. 担任の先生との関係がうまくいきません。どう対応すべきですか?
    10. Q10. 不登校が長引いたら、進学はどうなりますか?
  10. 夏休み・冬休みにも応用できるリズム作り
    1. 夏休み明けの注意点
    2. 冬休み明けの注意点
    3. 春休み明けの注意点
  11. 「行きたくない」が長期化したときの選択肢
    1. 選択肢①:保健室登校・別室登校
    2. 選択肢②:教育支援センター・適応指導教室
    3. 選択肢③:フリースクール
    4. 選択肢④:オンライン学習・通信教育
  12. まとめ|連休は「準備と戻し」の両輪で
    1. こちらの記事もおすすめ
    2. この記事を書いた人
    3. 免責事項
  13. 看護師として見てきた「長期休暇明けの揺れ」
  14. 休暇中にできる「切り替えの準備」
  15. 休暇明けの朝の「行きたくない」への対応
  16. 再発のサインを見逃さないために
  17. 看護師として、ご家族へお伝えしたいこと
  18. 学校との連携で「休み明けの不安」を支える
  19. 関連記事

なぜ連休明けに不登校サインが出やすいのか

連休明けにサインが出やすい理由は、大きく分けて3つあります。「子どもの気の持ちよう」では片づけられない、身体と心の自然な反応として理解していただけるよう、順にお話しします。

理由①:緊張の反動

ひとつめは緊張の反動です。4月からの新しいクラス、新しい先生、新しい時間割、変わった通学路、増えた荷物——お子さまは、大人が思う以上に4月という月を「気を張って」過ごしています。学校というのは、ただ授業を受ける場所ではありません。誰の隣の席に座るか、休み時間に誰と話すか、給食のグループで浮かないか、廊下で誰と挨拶を交わすか——目に見えないルールと駆け引きが、一日中続く場所でもあります。

その緊張を、お子さまは1ヶ月間ずっと支えてきました。連休に入って初めてその糸がほどけ、ためこんできた疲れが一気に表へ出てきます。病棟で出会った中学2年生の女の子は、「4月はずっと自分が自分じゃないみたいだった」「連休に入って、初めて自分の身体が重いことに気がついた」と話してくれました。連休は休む時間であると同時に、4月にためこんだ疲れと向き合う時間でもあるのです。

理由②:生活リズムのずれ

ふたつめは生活リズムのずれです。連休中、数日の夜更かし・朝寝坊でも、体内時計は思ったより早く乱れます。人間の体内時計は、本来24時間より少しだけ長い周期で動いており、毎朝の光と朝食でリセットされて初めて24時間にぴたりと合います。連休に入って朝の光と朝食のリズムが崩れると、体内時計はすぐにずれてしまうのです。

大人でも月曜の朝はつらいものですが、お子さまの場合はその何倍ものつらさとして「起きられない朝」が押し寄せてきます。中学生・高校生になると、自室でのスマホやゲームで深夜まで起きていることが珍しくありません。GW最終日には午前2時就寝・午前11時起床という生活になっていることもあります。これを月曜の朝に「6時起き・7時半登校」に戻すのは、海外旅行から帰って来た翌日にフルで仕事をするようなものです。本人の意志ではなく、身体がついていかないのです。

理由③:学校を客観視してしまう時間ができること

みっつめは学校を客観視してしまう時間ができることです。学校に通っている間は、目の前の宿題、明日の小テスト、放課後の予定——とにかく「次のこと」で頭がいっぱいで、立ち止まって学校全体を見渡す余裕がありません。ところが連休に入って学校から物理的に離れると、初めて学校を「外から」見る時間が生まれます。

「あの子にまた会うのか」「あの先生のあの言葉、本当はけっこう傷ついていた」「クラスで自分はどう見えているんだろう」——ふだんは流していた疑問が、一つひとつ頭の中で再生されます。脳の中で学校が何度も再生されるたびに、気持ちが重くなる。これは怠けでも甘えでもなく、休んで初めて自分の心の声が聞こえるようになっただけです。

病棟でも「連休前は登校できていたのに、明けから動けなくなった」というお子さまに何度も出会いました。意思が弱くなったのではなく、休みに入って初めて自分の限界に気づいただけなのだと感じます。むしろ、自分の限界を感じ取れたことは、心の働きが正常である証拠でもあります。

休暇中に起きやすい3つの変化

連休中、お子さまの中ではどんな変化が起きているのでしょうか。現場でよく見られた3つを、それぞれ詳しくご紹介します。「変化のサインに早めに気づけるか」が、連休明けの再発を防ぐ大きな鍵になります。

変化①:生活リズムの乱れ

就寝時刻が1〜2時間ずれるだけで、朝の起床が一気に難しくなります。中学生以降は自室でのスマホやゲームも増え、「休みだから」と大目に見ているうちに、最終日には午前3時就寝・午前11時起床というリズムになっていることもあります。

睡眠の専門家の話によると、就寝時刻が3時間以上ずれると、元のリズムに戻すのに約1週間かかるそうです。連休7日間で生活リズムが乱れ、それを戻すのにまた1週間かかる——そうしている間に「行きたくない」気持ちが固定化していくこともあります。朝の起床時刻だけは、平日の±1時間以内に収めることが、何より大きな予防策です。これを意識しているご家庭は、連休明けの登校もスムーズなことが多い印象です。

具体的には、休みの日でも「8時までには起きる」を最低ラインに置く。朝食は決まった時間に出す。日中の昼寝は20分以内に留める。夜は21時以降は照明を少し落とす——この4つだけで、体内時計は驚くほど守られます。完璧を目指す必要はなく、「夜更かしの日があっても、朝の時間だけは戻す」という意識で十分です。

変化②:ひきこもり化

外の刺激に触れる機会が減ると、「家の外=疲れる場所」という感覚が強まります。家にいれば誰にも気を使わなくていい——その快適さに慣れるほど、制服に袖を通すハードルは上がります。怠けではなく脳が省エネモードに入っているだけのことです。

連休に入って3日もすると、外出回数がぐっと減ってくるお子さまがいます。最初は「家でゆっくりしたい」と言っていただけが、いつの間にか「外に出ると疲れる」「人ごみがしんどい」と話すようになる。これは身体が外出に必要なエネルギーレベルを下げてしまった状態です。連休後半に「ちょっと買い物に行こう」と誘っても、玄関でしゃがみ込んでしまうことも珍しくありません。

予防のコツは、連休中も「ちょっとだけ外に出る」時間を1日1回作ることです。コンビニまでの買い物、犬の散歩、近所の公園、車で出かけてもいい。ポイントは「人と少しだけすれ違う場所」に身を置くことです。完全な無刺激の状態が続くと、月曜の朝、クラスメイトと向き合うエネルギーが残っていません。逆に、毎日少しでも外の刺激を浴びていれば、月曜朝のハードルはぐっと下がります。

変化③:自己認識の変化

もっとも見えにくい変化です。休みの間、お子さまは意外と自分を振り返っています。「クラスに自分の居場所はあるのか」「自分はあのグループに本当に入っているのか」——ふだん流されていた疑問が頭をもたげ、「自分は学校に合わない気がする」という新しい自己認識が芽生えていることがあります。

ある中学生の女の子は「休んでる間に、自分は別にいなくてもいいんじゃないかと思った」と話してくれました。連休中に誰からも連絡が来なかったこと、SNSで他のグループが盛り上がっているのを見たこと、家族と過ごす時間で初めて「学校って何のために行くんだっけ」と考えてしまったこと——いくつかの小さな出来事が重なって、自分の居場所への自信が揺らいでいったそうです。

このタイプの変化は、外から見ても気づきにくいのが厄介です。本人も「なんとなく嫌」としか言葉にできず、親御さまも「なぜ?」と問い詰めても答えが返ってきません。「答えなくていいから、隣にいてもいい?」という距離感で寄り添うことが、このタイプには効きます。連休後半、リビングで一緒にテレビを見るだけ、車の中で並んで音楽を聴くだけ——そんな時間が「自分は孤立していない」という感覚を取り戻す助けになります。

病棟で見た「連休明けに動けなくなった子」の3つのパターン

連休明けに登校できなくなったお子さまには、いくつかの典型的なパターンがあります。私が病棟で出会ってきたケースを3つに整理してご紹介します。お子さまの状態を理解するヒントになれば幸いです。

パターン①:エネルギー切れ型

4月にがんばりすぎて、5月の連休でついに電池切れになるタイプです。学校では真面目で、新しい環境にも前向きに適応しようとしてきたお子さまに多く見られます。連休前半は「やっと休める」と笑顔で過ごしていたのに、後半になるにつれ起きる時間が遅くなり、当日朝には起き上がれない——そんな経過をたどります。

このタイプは、責めても叱っても動きません。逆に「もう少し休もう」と言ってもらえた瞬間、ほっとして涙を流すお子さまも多いです。「がんばってきたんだね、ちゃんと休もう」——この一言が、回復への入り口になります。1〜2週間しっかり休めば、自分から「ちょっと行ってみようかな」と言える日が来ることが多い印象です。

パターン②:人間関係しんどい型

クラス替えや担任の交代で、4月から人間関係に苦しんでいるタイプです。表向きは「友達はいるよ」と言うものの、休み時間や給食の時間に小さな苦しさが積み重なっています。連休に入ってその苦しさから解放されたとき、「あの場所にまた戻るのか」という重さに耐えられなくなります。

このタイプは、原因を聞き出すのが難しいです。本人も「何がしんどいのか」を言葉にできないことが多く、「とにかく行きたくない」「全部いや」としか表現できません。原因を追求するより、まず「行きたくない気持ち」そのものを受け止めることが大切です。気持ちが落ち着いてから、少しずつ「給食どんな感じ?」「席は誰の隣?」と外側の事実から聞いていくと、徐々に状況が見えてきます。

パターン③:勉強ついていけない型

4月の授業内容がすでに難しく、連休中の宿題で「自分は分からない」を再認識してしまうタイプです。中学校1年生・高校1年生に多く、新しい学年で授業のレベルが一段上がったことについていけず、徐々に自信を失っていきます。

このタイプは、勉強の遅れだけが原因ではないことが多いです。「分からない自分=価値がない」という思考のクセが背景にあり、勉強の遅れがそれを刺激するイメージです。一方的に塾や家庭教師を増やすのではなく、「分からなくても、ここにいていい」という感覚を取り戻すことが先決です。学校のスクールカウンセラーや、教育支援センターの利用も検討してください。

休暇後半から始める「慣らし運転」

連休明けの朝を少しでも軽くするために、休みの後半から少しずつ「学校モード」に近づけていく——これを「慣らし運転」と呼んでいます。大切なのは、さりげなく行うこと。「明日から学校だよ、ちゃんと準備して」とは絶対に言わない。気づいたら身体が学校モードに戻っていたという流れを作るのが理想です。

GWを7日間とした場合、こんな流れが現実的です。

  • 5日前:好きなことを思いきり楽しむ(後半に備えてエネルギーを貯める)
  • 4日前:就寝時刻を30分だけ早める。朝はカーテンを開けて光を浴びる
  • 3日前:短時間でいいので外出(散歩・買い物同行など)
  • 2日前:時間割を一緒にちらっと確認する。「来週の話」として
  • 前日:朝は学校の起床時刻に起きる。昼寝はせず、夕食後は穏やかに
  • 当日朝:少し早めの起床。朝食はあたたかいものを一品

ポイントは、「学校の話」を前面に出しすぎないことです。時間割の確認も「一緒に覗いてみようか」くらいの温度感で十分。「準備物そろってる?」「宿題終わったの?」を連発すると、お子さまの中で「親=学校の人」という構図ができてしまい、家の中まで安心できる場所でなくなります。

あるご家族は連休後半に親子で散歩する時間を作っていました。歩きながら話すうちにお子さまからクラスの気がかりが出てきて、月曜の朝はそのまま登校できた、というエピソードも伺いました。向き合うのではなく隣に並んで歩く——それだけで心の扉は開きやすくなります。車の中、台所で並んで料理、湯船に一緒に浸かる——「並んでいる」状態は、対面より圧倒的に話しやすい姿勢です。

学齢別の慣らし運転のポイント

小学生・中学生・高校生で、慣らし運転のポイントは少し変わります。それぞれの発達段階に応じた関わり方をご紹介します。

小学生の場合:低学年は「親と一緒に何かをする」時間が安心の源です。連休後半に親子で工作、料理、お絵かきの時間を作ってあげると、月曜朝の気持ちが穏やかになります。高学年は逆に、少し距離を置きたい時期でもあるので、「一緒に過ごす時間」と「一人で過ごす時間」のバランスを取ってあげるのが大切です。

中学生の場合:思春期真っ只中で、親からの干渉に最も敏感な時期です。「学校どう?」「明日大丈夫?」という直接的な質問は逆効果になりやすいです。代わりに、好きな食べ物を黙って出す、車の中で本人の好きな音楽をかけるなど、言葉にしない優しさを増やしてみてください。中学生は、親の沈黙の中に込められた愛情を、意外と正確に感じ取っています。

高校生の場合:すでに自分なりの対処法を持っていることが多い年代です。親が「慣らし運転」をしてあげるというより、本人が自分でリズムを戻すのを見守る姿勢が中心になります。ただし、明らかにスマホやゲームの時間が膨らんでいたら、「リビングでスマホ使おうか」と提案するなど、生活空間の工夫で介入できます。直接の指示ではなく、環境の調整で誘導するのがコツです。

当日朝の関わり方(現場で見た成功例)

連休明け当日は、一年でいちばん緊張する朝かもしれません。親御さまの張りつめた空気は、そのままお子さまに伝わります。「今日は行ってくれるかな」「玄関で泣かれたらどうしよう」——その心配は、ふしぎとお子さまにも伝わってしまうのです。

病棟でご家族から聞いた、うまくいきやすかった朝の共通点はこちらです。

  • 起こす声は、ふだんより少しだけ明るく・短く。「行くよ」ではなく「おはよう」から始める
  • 朝食は好きなものを一品だけでも出す。量より「食べられた」という達成感が大事
  • 前日の楽しかった話を少しだけする。過去の良い感覚を連れて家を出る
  • 玄関で「いってらっしゃい」を笑顔で言う。心配顔より、軽い背中のほうが押し出しやすい

逆に、朝から「ちゃんと行けるの?」と不安を口にしてしまうと、お子さまはその不安を背負って家を出ることになります。親御さまの不安は当然のものですが、朝の時間以外で、誰かに話して外に出すのがおすすめです。スクールカウンセラー、保健室の先生、配偶者、信頼できる友人——一人でも話せる相手がいれば、朝の時間は意外と穏やかに保てます。

「今日は半日だけ」「2時間目から」といった選択肢が学校と相談できるなら、それも大きな助けになります。「全部か、ゼロか」ではなく間をたくさん用意しておくことが、最初の一週間を乗り切るコツです。たとえば「給食まで行けたらすごい」「3時間目までで早退してもいい」「保健室に直行してもいい」——選択肢が多ければ多いほど、お子さまの中に「逃げ道」ができ、結果として登校のハードルが下がります。

朝の声かけ:NG例とOK例

具体的な声かけ例を、NGとOKで対比してみます。同じ意図でも、言葉の選び方で受け取られ方が大きく変わります。

NG:「もう7時だよ! 早く起きて!」

OK:「おはよう、7時だよ」(時刻を伝えるだけ。指示を含めない)

NG:「今日はちゃんと行けるよね?」

OK:「朝ごはん何が食べたい?」(先のことより、目の前のことに意識を向ける)

NG:「昨日もちゃんと寝なかったから、こうなるんだよ」

OK:「眠かったら、布団の中であと5分」(過去を責めず、今ここの選択肢を提示)

NG:「みんな行くんだから、あなたも行きなさい」

OK:「今日はどんな感じ?」(他者と比較せず、本人の状態を聞く)

朝の限られた時間の中で、こうした言葉の使い分けを徹底するのは大変です。でも、朝の10分間の言葉が、その日一日の親子の空気を決めます。完璧でなくていいので、「ひとつだけNGをOKに変えてみる」という意識で十分です。

学校との連携・相談の仕方

連休明けに「行きたくない」が出てきたとき、学校との連携は早ければ早いほどスムーズです。「もう少し様子を見てから」「迷惑かもしれない」と遠慮してしまう親御さまが多いのですが、担任の先生は、早めの一報をむしろ歓迎します。学校側にも「連休明けは要注意期間」という意識があるからです。

担任の先生への連絡の仕方

連絡のときは、以下の3点をシンプルに伝えれば十分です。

  • 事実:「連休明けから登校しぶりが出ています」「今朝は休ませました」
  • 家での様子:「食欲はあります」「夜はそれなりに眠れています」「腹痛・頭痛の訴えがあります」
  • お願い:「無理に登校刺激はしないでいただきたいです」「家で様子を見ます」

長く説明しすぎると、かえって担任の先生も身構えてしまいます。簡潔に、事実だけを伝えるのがコツです。電話より連絡帳・メール・連絡アプリで先に伝えておくと、担任の先生も心の準備ができ、より丁寧な対応につながります。

スクールカウンセラーの活用

多くの中学校・高校にはスクールカウンセラー(SC)が配置されています。週1〜2日の勤務が多いですが、保護者面談だけでも受け付けてくれることがほとんどです。「お子さまが学校に行けない時期にこそ、保護者がSCに会う」——これは、現場でも強くおすすめしている使い方です。

SCと話すメリットは3つあります。ひとつは、学校内の事情に詳しい第三者の視点をもらえること。ふたつは、お子さまの状態を専門家にざっくり評価してもらえること。みっつは、何より親御さま自身の話を聞いてもらえること。「子どもが学校に行かないストレス」は、想像以上に親御さまを消耗させます。「ただ話を聞いてもらえる場所」を確保することが、家庭の空気を守る何よりの防波堤です。

教育支援センター・適応指導教室の存在

各自治体には「教育支援センター」「適応指導教室」と呼ばれる、不登校のお子さまの居場所があります。学校に行けない時期に、家以外の安全な場所として利用できる施設です。出席日数として認められる自治体も多く、学校復帰の中継地点として活用できます。

連休明けの段階では「まだそこまでは」と感じられるかもしれませんが、知っているだけで親御さまの心の余裕が違います。「もし長引いたら、ここに行く選択肢がある」——その選択肢を頭の片隅に置いておくだけで、不安は半分に減ります。担任の先生か、自治体の教育委員会に問い合わせれば、案内をもらえます。

再発してしまったときの初期対応

慣らし運転をしていても、当日どうしても動けない——そんなことは起こり得ます。むしろ、これだけ準備してもダメだった日は、「お子さまの限界がここまできていた」という大事なサインです。大切なのは、再発を「失敗」ととらえないことです。お子さまの側からすると「前よりちゃんと自分の限界を感じ取れた」サインでもあります。

無理を重ねた末の本格的な不登校より、連休明けの段階で立ち止まれたほうが、回復の選択肢は多く残されています。「立ち止まれたこと」自体を、まず親御さまの中で肯定してあげてください。

まず意識したい初期対応を挙げておきます。

  • 最初の1〜3日は、無理に原因を聞かない。家を安全地帯に戻すことを優先します
  • 担任の先生へ早めに一報。「しばらく休むかもしれません」と伝えるだけで、学校側の対応もやわらかくなります
  • 生活リズムだけは緩く保つ。朝はカーテンを開ける、食事の時間は揃える、夜は部屋を暗くする——この3点で十分です
  • 身体症状が強いとき・2週間以上続くときは医療機関を検討。小児科・児童精神科・かかりつけ医、どこからでも構いません
  • 親御さま自身の相談先を確保する。スクールカウンセラー、教育相談センターなど、話を聞いてくれる場所を一つでも増やしてください

印象に残っているのは、連休明けの再発後、親御さまが「今回は焦らない」と決めて1週間休ませたケースです。その間、ご家族は普段どおりの食事と会話を続けただけでした。「学校のことは聞かない」「テレビを一緒に見る」「夕食は普通に食べる」——たったそれだけです。2週目の火曜日の朝、お子さまは自分から「今日、行ってみようかな」と言って登校していきました。休ませる決断は、甘やかしではなく回復の一部だと教えてもらったご家族でした。

医療機関を検討すべきサイン

連休明けの不登校再発が、医療的な介入を必要とするケースかどうか——その見極めは難しいものです。以下のようなサインがあれば、早めに小児科または児童精神科の受診を検討してください。

  • 身体症状が強い:頭痛、腹痛、吐き気、めまいなどが朝に強く出る。学校がある日だけでなく休日も続く
  • 睡眠の大きな乱れ:夜眠れない、深夜まで起きている、朝起きられない、過眠など
  • 食欲の極端な変化:食べられない、または逆に過食気味になる
  • 感情の起伏が激しい:些細なことで泣く・怒る、無表情が続く、何にも興味を示さない
  • 自分を傷つける言動:「消えたい」「いなくなりたい」「死にたい」などの発言、自傷行為
  • 2週間以上の継続:不登校状態が2週間以上続いている

これらのサインがあるからといって、必ず病気というわけではありません。ただ、医療の側に一度つながっておくと、いざというときの動きが早くなります。「今すぐ薬を出される」と心配する親御さまも多いですが、初診で薬が出ることは少なく、まずは状態の聞き取りと整理が中心です。「相談だけでも」という気持ちで構いません。

親御さま自身のメンタルケア

連休明けの「行きたくない」に直面したとき、もっとも消耗するのは、実は親御さまご自身です。朝の格闘、学校への連絡、家族や祖父母への説明、仕事との両立——お子さまを支える側の心と体に、想像以上の負荷がかかります。親御さまが倒れてしまっては、お子さまの回復は遠のく——これは現場で何度も実感してきた事実です。

「がんばりすぎ」の3つのサイン

親御さま自身の限界が近づいているサインを、3つ挙げます。

サイン①:朝が来るのが怖くなる。お子さまを起こす前から胃が痛い、目覚ましの音にびくっと反応する、寝つきが悪い——これは強いストレス反応です。「明日も同じことを繰り返すのか」という見通しが、心を圧迫している状態です。

サイン②:他の家族に当たってしまう。配偶者やきょうだいに余裕がない態度をとってしまう。本来なら気にならないことに苛立つ。これは、お子さま対応で使っているエネルギーの「お釣り」が、家族の他のメンバーに向かってしまっている状態です。

サイン③:自分を責め続けている。「私の育て方が悪かった」「もっと早く気づくべきだった」「他の家の子はちゃんと行ってるのに」——こうした思考が頭の中で繰り返されているとき、心はすでに消耗しています。

親御さまの「逃げ場」を確保する

お子さまだけでなく、親御さまにも「逃げ場」が必要です。逃げ場とは、お子さまのことを一時的に忘れていい場所、自分のことだけを考えていい時間のことです。具体的には、こんな選択肢が考えられます。

  • SCや教育相談センターでの面談:話すだけで頭の中が整理されます
  • 同じ経験をした親のコミュニティ:地域の親の会、オンラインのコミュニティなど
  • カウンセリング:対面・オンラインの両方が選べる時代です
  • 趣味の時間:罪悪感なしに自分のための時間を持つ
  • 運動・散歩:身体を動かすと心は驚くほど軽くなります

「子どもが学校に行けない時期に、自分が遊んでいてもいいの?」と罪悪感を覚える親御さまも多いです。でも、親御さまの笑顔は、何よりお子さまへの安心剤です。お子さまが家で休んでいるとき、親御さまも心まで休んでください。心が休まった親御さまが、結果としていちばんお子さまを支えられます。

オンラインカウンセリングという選択肢

近年、自宅から受けられるオンラインカウンセリングのサービスが充実してきています。匿名性が高く、夜遅い時間でも予約できるサービスもあり、忙しい親御さまにも利用しやすい選択肢です。「子どもが寝た後の30分だけ」「ランチ休憩の時間に」など、すきま時間で利用できるのが魅力です。

精神科看護師の視点からお伝えすると、「困ってから探す」より「平時に登録しておく」のがコツです。本当に追い詰められたときには、新しいサービスを探す気力すら残っていません。連休明けの今、まだ少し余裕があるうちに、信頼できる相談先をいくつかブックマークしておくことを強くおすすめします。

よくある質問(Q&A)

Q1. 連休明けに1日休んだら、もう癖になりますか?

1日休んだだけで癖になることは、ほぼありません。「癖になる」と心配される親御さまが多いですが、実際は逆で、無理して登校を続けたほうが長期化しやすいです。1日休んでお子さまの心と体がリセットできれば、翌日に向けてのエネルギーが戻ります。「1日休む」を恐れすぎず、状態に応じて選択肢に入れてあげてください。

Q2. 朝、起きてこないとき、どこまで起こせばいいですか?

3回までを目安にしてください。1回目で起きなければ、5〜10分後に2回目、さらに10分後に3回目。これでも起きない日は、「今日は休もう」と切り替えるのが現実的です。何度も起こしに行くと、親御さまの消耗も、お子さまの罪悪感も大きくなります。「3回でダメなら今日は休み」というルールを家族で決めておくと、朝の判断が楽になります。

Q3. 連休中、ゲームやスマホは制限すべきですか?

完全な制限はおすすめしません。ただ、就寝1時間前は画面を離すというルールだけは守れると、生活リズムへの影響が大きく違います。スマホやゲームを取り上げると、お子さまの「逃げ場」を奪うことにもなり、結果として家庭内の緊張が高まります。「夜だけ」「リビングで」など、ゆるい線引きを工夫してみてください。

Q4. 「学校に行きたくない」と言われたとき、まず何と言えばいいですか?

「そっか、行きたくないんだね」——この一言で十分です。原因を聞こうとせず、説得しようとせず、ただ気持ちを受け止める。これだけで、お子さまの心の負担はぐっと軽くなります。「なんで?」「どうして?」と聞きたくなる気持ちは自然ですが、最初の数日はぐっと飲み込んでください。気持ちが落ち着いてから、少しずつ事実を聞いていくのが順番です。

Q5. 連休明けに体調不良(腹痛・頭痛)を訴えます。本当に体調が悪いのでしょうか?

「ウソ」ではなく「本物の体調不良」と捉えてください。心の負担が大きいとき、身体には本物の症状が出ます。これを「心身症」と呼びます。胃酸の分泌、血流の変化、自律神経の乱れ——これらは目に見えない形でお子さまの身体に影響します。「お腹痛い」と訴える子に「ウソでしょ」と言うのは、骨折した子に「歩けるよね?」と言うのと同じくらい、お子さまを傷つけます。

Q6. 父親と母親で意見が割れます。どうすればいいですか?

これは非常に多い悩みです。一般的に、主に対応している側の判断を優先するのがおすすめです。日常的にお子さまと接している側が、状態をいちばんよく見えています。意見が割れたときは、まずお子さまのいない場所で大人だけで話し合う。お子さまの前で意見対立を見せると、お子さまの心は大きく揺れます。「夫婦で子育て方針が合わない」というテーマは、別記事で詳しく扱っています。

Q7. 祖父母から「甘やかしすぎ」と言われます。

祖父母世代と現代では、不登校への理解が大きく違います。祖父母の発言を真に受けて自分を責める必要はありません。「今は専門家の指導を受けながら対応している」と簡潔に伝え、それ以上の議論には入らない——これが現実的な対処です。「親の決定をぶれさせない」ことが、お子さまの安全基地を守ることでもあります。

Q8. 兄弟姉妹への影響が心配です。

兄弟姉妹は、状況を意外と冷静に見ています。ただ、「上の子ばかり気にされている」「自分のことは見てもらえない」と感じることはあります。連休明け以降は、下の子・上の子だけの時間を意識的に作るのがコツです。15分でいい、ふたりだけの会話の時間を作るだけで、兄弟姉妹は驚くほど安定します。

Q9. 担任の先生との関係がうまくいきません。どう対応すべきですか?

担任との相性は重要なテーマです。直接の対話で改善しないときは、学年主任や副校長(教頭)に相談する選択肢があります。担任を「飛ばす」ことに躊躇する親御さまも多いですが、教育委員会も「相談しやすい体制を作るのが学校の責任」という認識を持っています。「もっと上の人に話しても大丈夫」と覚えておいてください。

Q10. 不登校が長引いたら、進学はどうなりますか?

結論からお伝えすると、不登校でも進学の選択肢はたくさんあります。通信制高校、サポート校、フリースクール、定時制高校など、現代の教育環境は柔軟さを増しています。連休明けの段階で進路まで心配する必要はありませんが、「選択肢はある」と知っているだけで、親御さまの不安はかなり軽減されます。詳しくは別記事でご紹介しています。

夏休み・冬休みにも応用できるリズム作り

ここまでの内容は、GW明けだけのものではありません。夏休み明け(8月末〜9月)、冬休み明け(1月)、春休み明け(4月)にも応用できます。特に夏休み明けは、一年で最も深刻なケースが増えるタイミングです。どの長期休暇にも共通する考え方を、3つにまとめます。

  • 「後半でリズムを戻す」前提で計画する:前半にエネルギーを使い、後半は穏やかに
  • 起床時刻だけは大きくずらさない:朝は学校の日の±1時間以内に収めるだけで、体内時計はかなり保てます
  • 休み明け初日は「半分モード」でいい:早退・遅刻・保健室登校もすべて登校。完璧な初日を目指さず、翌日に続くことを優先してください

長期休暇は本来、心と体を休めるための大切な時間です。休暇を「不登校の入り口」と恐れるのではなく、休み方を少し整える意識でじゅうぶんです。

夏休み明けの注意点

夏休みは40日前後と長く、生活リズムの乱れが大きくなりやすい休暇です。さらに、9月1日は子どもの自殺がもっとも多い日とされており、児童精神科医療の現場でも特に警戒する時期です。GW明けの何倍も、夏休み明けは慎重な対応が必要になります。

夏休み中に意識したいのは、「外に出る回数を維持すること」「朝の起床時刻を平日±1時間以内」「家族との会話の時間を意識的に確保」の3点です。これだけで、9月の始業日の気持ちは大きく違ってきます。

冬休み明けの注意点

冬休みは年末年始の特別な行事もあり、生活リズムが大きく乱れる休暇です。さらに、冬の寒さと日照時間の短さが、心のエネルギーを奪いやすい季節でもあります。1月は、季節性うつの兆しが出やすい時期と重なります。

冬休み中は、「朝、必ずカーテンを開けて光を浴びる」ことを徹底してください。光は体内時計のリセットだけでなく、気分の安定にも欠かせない要素です。曇りの日でも、外の光は室内照明の何倍も強いので、窓辺で5分過ごすだけで違います。

春休み明けの注意点

春休み明けは「新学年・新クラス」という大きな変化が伴います。連休明けというより、ほぼ「新生活のスタート」です。前年度に登校できていたお子さまでも、クラス替えや担任交代で4月から動けなくなることは珍しくありません。

春休み中は、「新しい環境への期待と不安、両方を口に出していい」という空気を作ってあげてください。「新しいクラス、楽しみだね」だけでは、不安を抱えているお子さまは話す機会を逃します。「楽しみと、ちょっと心配と、両方あるよね」というニュアンスの方が、本音を引き出しやすくなります。

「行きたくない」が長期化したときの選択肢

連休明けの「行きたくない」が、1週間、2週間、1ヶ月と続いていく——そんな状況になったときの選択肢を整理しておきます。「ここまでくる前に」と考えがちですが、現実には連休明けからすぐに長期化するケースもあります。選択肢を知っておくこと自体が、親御さまの安心になります

選択肢①:保健室登校・別室登校

教室には入れないけれど、学校までは行ける——そんなときの選択肢です。保健室、相談室、空き教室など、学校内の別の部屋で過ごします。担任の先生やSCが定期的に顔を見せ、必要に応じて担任からプリントが届きます。多くの自治体で出席日数として認められています。

保健室登校・別室登校は、「家と教室の中間点」として機能します。完全に家にこもるより、社会との接点を1ミリでも保てるのが大きなメリットです。「教室に戻る」をゴールにせず、「今日も学校に行けた」を成果として認めてあげる姿勢が、本人のエネルギーを温存します。

選択肢②:教育支援センター・適応指導教室

前述の通り、自治体が運営する、不登校のお子さまの居場所です。学校以外の場所で、同じような状況の仲間と過ごせるのが特徴です。学習支援、簡単な体験活動、進路相談などのサービスがあり、出席日数として認められる自治体が多いです。

利用には、自治体への申し込みが必要です。担任の先生か教育委員会に問い合わせると、案内をもらえます。「家と学校以外の、もう一つの場所」を持っておくことは、お子さまの精神的な安定に大きく寄与します。

選択肢③:フリースクール

民間が運営する、学校以外の学びの場です。教育支援センターより自由度が高く、お子さま一人ひとりに合わせた過ごし方ができます。費用は施設によって違いますが、月3〜5万円程度が一般的です。一部のフリースクールは出席日数として認められる場合もあり、学校との連携も進んでいます。

選び方のポイントは、「お子さまが見学に行きたいと言うか」です。親が良いと思っても、本人が行く気にならなければ意味がありません。複数の見学を重ね、本人が「ここなら通えるかも」と感じる場所を一緒に探すプロセス自体が、回復の一歩になります。

選択肢④:オンライン学習・通信教育

外に出ること自体が難しい時期は、家でできる学びを確保することが次のステップになります。タブレット型のオンライン学習教材、動画授業、通信教育など、選択肢は豊富です。「勉強できなくて取り残される不安」を軽減するだけでなく、家にいながら「自分は何かに取り組めている」という感覚を取り戻す手段にもなります。

ただし、無理にやらせる必要はありません。お子さまが少しエネルギーを取り戻し、「ちょっとやってみようかな」という気持ちが出てきたタイミングで、選択肢として提示する——その順番が大切です。

まとめ|連休は「準備と戻し」の両輪で

GW明けの不登校再発は、お子さまの心と体が発してくれた正直なサインです。連休が悪かったわけでも、過ごし方が間違っていたわけでもありません。むしろ、安心して休めたからこそ、ためこんでいた疲れがちゃんと表に出てきた——そう受け止めてあげてほしいと思います。

連休を迎えるときは、「休む準備」と「戻す準備」の両方を少しだけ意識してみてください。前半でしっかり休み、後半でゆっくり慣らし運転。朝は不安より笑顔を選び、うまくいかなかった日は責めずに次の日に目を向ける——その繰り返しが、いちばんのお守りになります。

そして、親御さまご自身の休息も忘れずに。スクールカウンセラーや信頼できる人に話す時間は、お子さまへの何よりの安心にもつながります。「子どもが学校に行けない時期に、自分が遊んでいてもいいの?」と感じる必要はありません。親御さまが少しでも軽い顔で家にいることが、お子さまの安全基地を守ることになります。

連休明けの数日は、家族全員にとって試練の時期かもしれません。でも、これを乗り越えた経験は、夏休み明け、冬休み明け、来年のGW明けにも必ず生きてきます。「うちはうちのペースで」を合言葉に、目の前のお子さまと、目の前の朝に、丁寧に向き合っていきましょう。

こちらの記事もおすすめ

  • 不登校の初期サインとは?精神科看護師が見た「休みたい」の本当の意味
  • 不登校の子の一日の過ごし方【在宅でできること】
  • 子どもの暴言・暴力への対応

この記事を書いた人

星野レン|看護師歴8年。そのうち児童思春期精神科の病棟で5年間、不登校・発達障害・思春期のお子さまとそのご家族に日々向き合ってきました。「医療の言葉を、親御さんの言葉に翻訳する」をテーマに、現場で感じたことを綴っています。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療診断や治療方針に代わるものではありません。お子さまの心身の状態にご不安がある場合は、必ずかかりつけの小児科・児童精神科・スクールカウンセラーなど、専門家にご相談ください。緊急時は迷わず救急医療機関にご連絡ください。


看護師として見てきた「長期休暇明けの揺れ」

児童思春期精神科の現場で、長期休暇明けに「行きたくない」と訴えるお子さまを、数多く見てきました。看護師として強くお伝えしたいのは、「長期休暇明けの揺れは、多くのお子さまに見られる自然な反応だ」ということです。ゴールデンウィーク、夏休み、冬休みなど、まとまった休みの後は、生活リズムの変化や、学校生活への切り替えの難しさから、心が大きく揺れやすい時期です。

長期休暇明けに「行きたくない」が出る背景には、いくつかの要因があります。一つは、生活リズムの乱れです。休暇中に夜更かしや朝寝坊が習慣化すると、休暇明けに早起きすることが体にとって大きな負担になります。体内時計が休暇モードのまま、学校モードに切り替えられず、朝起きられない、体がだるい、という状態になりやすいのです。

もう一つの要因は、学校生活への切り替えの難しさです。休暇中は、家庭という安心できる環境で、自分のペースで過ごせていたお子さまにとって、再び集団生活のペースに戻ることは、想像以上に大きな負担になります。特に、もともと学校で緊張を強いられているお子さまは、休暇中に緊張から解放されていた分、再び学校に向かうことへの抵抗が強くなりやすいのです。

看護師として現場で実感してきたのは、長期休暇明けの「行きたくない」を軽く見て、無理に登校させ続けると、本格的な不登校に繋がることがある、ということです。この時期の「行きたくない」は、お子さまからの大切なサインです。サインを受け止め、お子さまの状態に合わせた対応をすることが、不登校の予防に繋がります。


休暇中にできる「切り替えの準備」

長期休暇明けの揺れを和らげるために、休暇中からできる準備があります。看護師として現場でお伝えしているのは、「休暇の後半から、少しずつ学校モードへの準備を始める」ことです。急激な切り替えではなく、緩やかに移行していく工夫が、お子さまの負担を減らします。

一つ目の準備は、「生活リズムを少しずつ戻す」ことです。休暇の終わりが近づいてきたら、起きる時間と寝る時間を、少しずつ学校がある日のリズムに近づけていきます。一気に戻そうとすると負担が大きいので、休暇の最後の数日をかけて、緩やかに調整していく姿勢が大切です。朝の光を浴びる機会を増やすことも、体内時計を整える助けになります。

二つ目の準備は、「学校生活を意識する小さなきっかけを作る」ことです。休暇の終わりに、学校の準備を一緒にする、時間割を確認する、持ち物を整える――こうした小さな行動が、お子さまの中で学校モードへの切り替えを助けます。ただし、プレッシャーにならない範囲で、お子さまのペースに合わせて行うことが大切です。

三つ目の準備は、「休暇明けへの不安を話せる雰囲気を作る」ことです。休暇の終わりが近づくと、お子さまは「また学校か」という不安を感じ始めます。この不安を、お子さまが言葉にできる雰囲気を家庭の中に作っておくことが大切です。「学校、どんな感じ?」「不安なことはある?」と、お子さまの気持ちを聞く姿勢が、お子さまの安心感を支えます。

そして、こうした準備をしても、お子さまの「行きたくない」が和らがないこともあります。その場合は、無理に学校モードに切り替えさせようとせず、お子さまの状態を見守りながら、専門機関への相談も視野に入れていく姿勢が大切です。準備はあくまで「負担を和らげる工夫」であって、「行きたくない気持ちをなくすもの」ではない、という理解が大切です。


休暇明けの朝の「行きたくない」への対応

休暇明けの朝、お子さまが「行きたくない」と訴えた時の対応は、その後の経過に大きく影響します。看護師として現場でお伝えしているのは、「まず気持ちを受け止め、無理強いしない」ことです。

朝の対応で避けたいのは、「何言ってるの、早く準備しなさい」「みんな行ってるよ」と、お子さまの気持ちを否定して急かすことです。こうした対応は、お子さまの不安をさらに高め、「自分の気持ちは分かってもらえない」という孤独感を強めます。すでに「行きたくない」と感じているお子さまにとって、追い詰められる言葉になります。

大切なのは、まず「行きたくないんだね」とお子さまの気持ちを受け止めることです。その上で、「何が一番不安かな」「どうしたら少し楽になりそう?」と、お子さまの気持ちに寄り添いながら、一緒に対応を考えていきます。お子さまが「気持ちを分かってもらえた」と感じることで、かえって登校への一歩を踏み出せることもあります。

そして、どうしても行けない日があっても、それを責めずに受け止める姿勢が大切です。「今日は休んで、また明日考えよう」と、長い目で見守ることで、お子さまは安心します。一日休んだからといって、不登校になるわけではありません。むしろ、無理に登校させ続けることのほうが、本格的な不登校のリスクを高めることがあります。お子さまの状態を見ながら、柔軟に対応していく姿勢が大切です。


再発のサインを見逃さないために

過去に不登校を経験したお子さまの場合、長期休暇明けは、再発のリスクが高まる時期です。看護師として現場でお伝えしているのは、「再発のサインを早期に見つけ、早めに対応する」ことです。

再発のサインとして、こうした変化があります。朝起きるのが辛そうになる、登校前に体調不良を訴える、学校の話題を避けるようになる、表情が硬くなる、夜眠れなくなる、食欲が落ちる――こうした変化が休暇明けに見られたら、お子さまの心が再び揺れているサインかもしれません。早めに気づき、対応することで、本格的な再発を防げることがあります。

サインに気づいたら、まずお子さまの気持ちを聞き、無理をさせない対応を取ってください。そして、過去に支援を受けていた専門機関やスクールカウンセラーがあれば、早めに相談することが大切です。「また始まったかもしれない」という段階で相談することで、より早く、より穏やかに対応できます。「様子を見すぎて対応が遅れる」ことを防ぐためにも、早めの相談を心がけていただきたいと思います。

看護師として、現場で多くのご家族と接してきて、再発のサインに早く気づき、早めに対応したご家族のお子さまほど、再発を穏やかに乗り越えていく、と感じてきました。一度不登校を経験したお子さまの揺れは、決して「後退」ではありません。揺れながらも、お子さまは少しずつ自分のペースを見つけていきます。長い目で、お子さまの回復を支えていく姿勢が大切です。


看護師として、ご家族へお伝えしたいこと

本記事を最後までお読みくださって、ありがとうございました。長期休暇明けのお子さまの「行きたくない」に悩み、本記事に辿り着かれた保護者の方の、お子さまへの愛情を感じています。

長期休暇明けの「行きたくない」は、多くのお子さまに見られる自然な反応です。けれど、その揺れの大きさや続き方には、お子さまそれぞれの背景があります。「みんなも経験すること」と軽く見すぎず、かといって「不登校になってしまう」と過度に心配しすぎず、お子さまの状態を丁寧に見ながら、柔軟に対応していく姿勢が大切です。

そして、保護者の方ご自身も、休暇明けのお子さまの揺れに向き合う中で、大きな不安や疲労を抱えておられることと思います。「自分の対応が悪いのでは」と自分を責めず、ご自身のケアも大切にしてください。保護者の方が穏やかでいられることが、お子さまにとっての最大の安心感に繋がります。

看護師として、現場から、ご家族の毎日を心から応援しています。長期休暇明けの揺れは、必ず和らいでいきます。焦らず、お子さまのペースを尊重しながら、ゆっくり進んでいってください。


学校との連携で「休み明けの不安」を支える

長期休暇明けのお子さまの揺れを支えるうえで、学校との連携は大きな力になります。看護師として現場でお伝えしているのは、「休暇明けに不安が予想される場合は、休暇中や休暇明けの早い段階で、学校に相談しておく」ことです。事前に学校と情報を共有しておくことで、お子さまが登校した時に、温かく迎えてもらえる環境を整えることができます。

学校に相談する内容として、こうしたものがあります。休暇明けに不安が強いこと、登校をためらう可能性があること、配慮してほしい点(保健室の利用、遅刻や早退への対応、無理をさせない関わりなど)――こうした点を、担任の先生やスクールカウンセラーと共有しておくことで、お子さまが安心して登校への一歩を踏み出しやすくなります。

そして、お子さまにとって「学校に安心できる人がいる」ことは、休暇明けの登校を大きく支えます。担任の先生、養護教諭、スクールカウンセラー、信頼できる友人――こうした「学校の中の安心できる存在」があると、お子さまは登校への抵抗を和らげやすくなります。学校と連携しながら、お子さまにとっての「学校の中の居場所」を一緒に作っていく姿勢が大切です。

看護師として、現場で多くのご家族と接してきて、学校と上手に連携できたご家庭のお子さまほど、休暇明けの揺れを穏やかに乗り越えていく、と感じてきました。家庭だけで抱え込まず、学校という大切なパートナーと協力しながら、お子さまを支えていく姿勢を、ぜひ大切にしていただきたいと思います。看護師として、現場から、ご家族の毎日を心から応援しています。

そして、長期休暇そのものは、お子さまにとって決して悪いものではありません。休暇中に心と体をしっかり休め、好きなことに没頭し、家族との時間を楽しんだ経験は、お子さまの心を豊かに育てます。「休み明けが大変だから休みも気が抜けない」と構えすぎず、休暇は休暇として、お子さまと一緒に楽しんでいただきたいと思います。よく休んだ経験があるからこそ、また頑張る力も湧いてきます。

休暇明けの揺れは、お子さまが「学校という場所と、どう折り合いをつけるか」を学んでいる過程でもあります。その過程を、保護者の方が焦らず、温かく見守ること。それが、お子さまの長期的な成長を支える、何よりの関わりです。あなたの愛情は、確かにお子さまに届いています。本日もお疲れさまでした。

休み明けの朝、お子さまが一歩を踏み出せた時には、その小さな勇気を、どうかたくさん認めてあげてください。「行けたね」という一言が、お子さまの大きな自信になります。看護師として、現場から心からのエールをお送りいたします。

たとえ行けなかった日があっても、それもまた、お子さまが自分と向き合っている証です。焦らず、ご家族のペースで進んでいきましょう。応援しています。


関連記事

【医療に関する免責事項】

本記事は、児童思春期精神科での看護経験に基づいた一般的な情報提供を目的としています。医療行為・診断・治療の代わりとなるものではありません。お子さんの心身の状態にご不安がある場合は、必ず主治医・かかりつけ医・スクールカウンセラー・地域の相談窓口など、お子さまを直接見ることのできる専門家にご相談ください。詳細は免責事項をご確認ください。

不登校
kokoro_nurse8_rxをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました